ソアレス・ドス・レイス国立美術館:16世紀から20世紀の絵画や彫刻などの美術品を所蔵する美術館

ソアレス・ドス・レイス国立美術館はポルトガルのポルトにあるポルトガル最古の国立美術館です。日本との交易があったため日本の南蛮屏風などアジアの美術作品や16世紀から20世紀にかけて製作された絵画や彫刻などを数多く所蔵しています。そんなソアレスドスレイス国立美術館の歴史と所蔵品について解説します。

■ソアレス・ドス・レイス国立美術館とは

ソアレス・ドス・レイス国立美術館はポルトにある1833年に開館したポルトガル最古の国立美術館です。18世紀に建築されたカランカス宮という新古典主義の宮殿に開設されています。この宮殿の壁はポルトガル独特のアズレージョが装飾されています。

美術館の名前はポルトガルの有名は彫刻家であるソアレス・ドス・レイスに因んでつけられており、ソアレス・ドス・レイス国立美術館には彼の彫刻だけを展示している展示室があります。

(Public Domain /‘cecilia’by Henrique Pousão. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

2001年には19世紀から20世紀に活躍したポルトガルの作家を積極的に展示するための展示室が開設されています。とくにポルト派といわれる自然主義画家の作品はとても充実しています。絵画コレクションは約2500点、また彫刻などの作品は約700点所蔵されています。

また大航海時代、鎖国前の日本へ訪れていたポルトガルだからこそといえる、17世紀初頭の狩野派による「南蛮屏風」も所蔵されています。

≪甘やかされて育った≫1872年アントニオ・ソアレス・ドス・レイス

本作品は1872年にポルトガルの彫刻家として著名なポルト出身のアントニオ・ソアレス・ドス・レイスによって製作されました。

(Public Domain /Retrato de Soares dos Reis’. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

アントニオ・ソアレス・ドス・レイスは1847年に誕生。ポルトの美術学校で彫刻などを学び、その後パリとローマに留学しています。

留学後、ポルトに戻ったソアレス・ドス・レイスは1881年マドリード美術展で金賞を受賞し、国内外に認められるようになりました。このころ彼は母校であるポルトアカデミーオブファインアーツで彫刻教師として勤めることになります。また1883年から1884年にかけて政治家や富裕層から肖像画の依頼も受けています。この時期は彼が最も精力的に活動していたといえるでしょう。

1885年頃からソアレス・ドス・レイスは身体的にも精神的にも疲弊していきます。それはいくつかの肖像画の依頼を断ったりしていることからもうかがい知ることができます。その後も彼の精神状態は改善されることなく1889年に自殺してしまいました。

本作品はアントニオ・ソアレス・ドス・レイスによって製作されたしなやかなラインが印象的な彫刻で、1882年のローマの展示会で金賞を受賞しました。ソアレス・ドス・レイス国立美術館ではこの他にも彼の作品が多く展示されています。

≪南蛮屏風≫17世紀初頭狩野派

本作品は日本からポルトガルにもたらされた17世紀初頭に狩野派の絵師によって製作された2対の屛風絵です。

日本における狩野派は約400年間日本最大の絵師集団として活躍していました。狩野派の絵師たちは代々、権力者の御用絵師として知られています。

狩野派の創始者は狩野正信で御用絵師として活躍しました。とくに漢画を得意としていたそうです。2代目の元信はいろいろな人々の注文をこなすため独自の工房を作り、画期的な弟子の育成方法を確立しました。

狩野派は弟子たちに「粉本」という作品のモチーフになりうるいろいろな資料を模写することで、筆の運びなど絵師としての基本的な技術を身につけさせていました。これにより400年という長い時を経ても、狩野派の基本的スタイルは守られ続けました。
このことにより狩野派は多くの注文を、品質を保ちながらこなしていくことができたのです。

本作品はそんな狩野派の絵師たちによって描かれた南蛮屏風です。日本が鎖国する以前に活発に行っていた南蛮貿易の中で、この南蛮屏風はポルトガルへと渡ってきました。日本に到着した南蛮人、すなわちポルトガル人の様子を見事に表現しています。ソアレス・ドス・レイス国立美術館の中でも特に大きな展示物となっており、とても見応えのある作品です。

≪陶器類≫17世紀から20世紀

ソアレス・ドス・レイス国立美術館では多くの陶器を所蔵しています。とくにポルト周辺で製作された美しい陶器が多く展示されています。

18世紀から19世紀にポルトのミラガイア工場で製作されたヴィンテージブルーの背景に黄色い花輪があしらわれたサービングトレイは、シンプルでありつつも印象的な雰囲気を醸し出しています。

陶器のインクカートリッジはポルトの工場で19世紀につくられました。上部には手のひらを握るローマ神話の女神ミネルバが配置されています。ミネルバは芸術作品にもよく用いられる題材で知恵・医学・工芸などを司る神様だとされているそうです。

また16世紀から19世紀にかけて中国で製作された陶磁器の壺などが展示されています。この作品は16世紀から17世紀の作品が展示されているオリエンタルアートルームに展示されています。
このほか18世紀ごろの中国の磁器も多く展示されており陶器のコレクションがとても充実しています。

終わりに

ソアレス・ドス・レイス国立美術館には日本からヨーロッパに渡った狩野派の南蛮屏風や美術館の名前にもなっている彫刻家アントニオ・ソアレス・ドス・レイスの作品が多く展示されています。またポルト派の自然主義の画家たちの絵も充実しています。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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