MOCOミュージアム:バンクシーを中心に世界的に有名な現代アートが集う

MOCOミュージアムは、オランダ・アムステルダムにある私立美術館で、2016年4月にオープンした、新しい美術館です。MOCOミュージアムでは、バンクシーの作品を中心に現代アートが飾られていて、そのほかウォーホールやバスキア、草間彌生など世界的に有名なアーティストの作品も多数展示されています。

■MOCOミュージアムとは 

MOCOミュージアムは、オランダ・アムステルダムのミュージアム・プレイン(美術館区域)にある私立美術館で、2016年4月に開館しました。近隣にはゴッホ美術館やアムステルダム国立美術館があり、併せてじっくりとアート巡りを楽しむことができます。経営者は、アムステルダムのライオネル・ギャラリーのオーナーを務めているライオネルとキム・ロギース夫妻で、バンクシーをメインに、ウォーホールやバスキア、草間彌生の作品が展示されています。

本館は1904年にエドアルド・カーパースによって設計されたもので、赤レンガで作られた建築はメルヘンさとともにノスタルジックな風情にあふれています。地下階から地上3階まであり、バンクシーの作品が所狭しと並べられています。また、地下階にはカフェやミュージアムショップがあり、ショップではTシャツやスマホケースなどのバンクシーグッズを購入することができます。

■MOCOミュージアムの所蔵品

MOCOミュージアムでは、『祈る少年』など主にバンクシー作品が展示されています。バンクシーはイギリスを拠点とするストリートアーティストで、独自の哲学と視点によって描かれた風刺的な作風は、根強いファンが多いことで有名です。各国都市や美術館、果ては紛争地まで赴いて絵を描くその神出鬼没なスタイルから、『芸術テロリスト』とも称されています。

そのほか、独特のアートスタイルで有名な草間彌生のかぼちゃの絵や、ウォーホル、ダリ、キースへリングなどの作品も展示されており、ユニークかつ哲学的な作品と巡りあうことができます。

そんなMOCOミュージアムのコレクションには、どのような作品が含まれているのでしょうか。主要な作品をご紹介します。

・《モナ・リザ》 バンクシー

この作品は、ルネサンスの巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた『モナ・リザ』をモチーフに、世界的ポップアーティストとして知られるアンディ・ウォーホルのスタイルを取り入れて描かれています。正方形の画面の中で、MOCOのモチーフカラーであるピンクと白、そしてモノクロームで描かれたモナ・リザの顔が印象的で、白いラインが入った目元からはどことなく挑発的な雰囲気が漂います。古典絵画の名作と、ポップアートの巨匠のニュアンスがミックスされたスタイリッシュなこの作品は、シンプルながらも思わず目が離せない魅力を持っています。 

バンクシーは本作品以外でもモナ・リザをモチーフにした壁画を多数手がけていて、赤い絵の具の付いたローラーを手に、自身を塗りつぶしているモナ・リザや、バズーカやマシンガンを手にして微笑むという過激なものまで、実に多彩なテーマでバンクシー流のモナ・リザを描いています。

・《花を投げる男》 バンクシー

本作品は、バンクシーが手掛けたものの中でも特に有名なものの一つで、覆面で口元を覆っているモノクロームの男が、標的に対して武器を投げつける姿をモチーフにしています。しかしながらその手には、火炎瓶や手榴弾などの相手を傷つける武器ではなく、誰かを祝うために贈られるような、青や黄色の色とりどりの花束が握られています。この花束こそが、紛争やテロに対するバンクシー流の『武器』なのでしょう。

同様の絵はパレスチナ自治区のベツレヘムにもあり、分離壁に花束を投げ込む一瞬が描かれた姿が非常に大きく描かれています。本作品はこの世にはびこる紛争やテロリズムへのアンチテーゼとして、そして世界平和を心から願うというメッセージとして残されています。

MOCOミュージアムで展示されているものは、パレスチナ自治区のベツレヘムにある分離壁にあるものよりも小さめですが、それでも絵が訴えかける反戦と平和へのメッセージがひしひしと伝わってきます。

・《風船と少女》 バンクシー

モノクロームで描かれた少女と、赤いハート型の風船をモチーフにしています。バンクシーの作品の中では『花を投げる男』と並んで有名なこの作品は、2002年にロンドン・ウォータールー橋で最初に発見され、以後ロンドン周辺で見られるようになりました。しかしながら2006年に描かれたのを最後に、ロンドンにあった『風船と少女』の絵は全て塗りつぶされてしまいました。

社会支援のために様々なパターンの限定プリントなどが出回っていて、特にバンクシーのサイン入りのものはオークションにて推定落札価格よりも2倍の落札価格で競り落とされるほどです。オークションと言えば、バンクシーに興味が無くとも、2018年に起きた『シュレッダー事件』をご存知の方は多いと思います。2018年10月、『風船と少女』がサザビーズオークションにて約1億5,500万円で落札された直後、フレームに隠されていたシュレッダーによって裁断されてしまったという事件で、MOCOミュージアムでも本作品の下を覗いてシュレッダーが無いか確認する人も少なくないそうです。

また、バンクシーはロンドン以外でもイスラエル西岸地区分離壁に7つの風船が束になったものを持つ少女が黒一色で描かいたものや、シリア内戦が3年続いたことで、そのアンチテーゼとして『風船と少女』のグラフティアートを手掛けました。

この作品では、黒一色で描かれた少女とは対照的に、赤く色づいたハート型の風船が実に印象的なのですが、バンクシーにとって、赤い風船は希望を象徴するようです。そうした点を頭に置いて眺めてみると、少女がどこかの遠い国の名前を知らない人のために、赤い風船に希望を乗せて贈っているかのようにも見えます。

■おわりに

オランダ・アムステルダムにあるMOCOミュージアムについてご紹介していきました。本美術館では、アーティスト、バンクシーの作品を通じて、彼の独自の視点から生まれる哲学やポリシーを理解することができます。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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