アイ・フィルム・ミュージアム: 映画などの映像作品を直に体感できるミュージアム

アイ・フィルム・ミュージアムは、オランダ・アムステルダムにある映画や映像作品専門の博物館です。主にオランダの映画作品を中心に、世界各地から名画と称される映画・映像作品、さらにポスターや写真など膨大な数のコレクションを所蔵・展示しています。今回は、アイ・フィルム・ミュージアムについて、主なコレクションも交えてご紹介していきます。

■アイ・フィルム・ミュージアムとは

アイ・フィルム・ミュージアムは、オランダの首都であるアムステルダムにある映画や映像にまつわる施設です。ミュージアムと銘打っていますが、形としては巨大な映画館に近く、複数ある映画館やカフェスペースなどの施設や、映画・映像技術の歴史などの資料を展示しています。主にオランダ国内の映画や映像作品を中心に、世界中から取り寄せた貴重な作品や資料が展示されています。

フィルムミュージアムと言うだけあり、名画として知られる古典映画ギャラリーやビデオレコーダーの歴史、映像を使ったインタラクティブアート、実際に体験して楽しめるアトラクション形式のものなど実に多彩な形で映画や映像という表現に触れることができます。また企画展も積極的に行っており、アイ・フィルム・ミュージアムならではの体験をすることができます。

名画ギャラリーは展示室を丸ごと使った現代的なインスタレーションになっていて、展示室の四面すべてを映像で埋め尽くすような、ユニークかつエキサイティングな手法がとられています。こちらの展示は、室内にある特別な機材を操作することで、映画の名場面や様々な映画でのダンスシーンなどに自在に切り替えることができます。そのほか、映像と遊べるインタラクティブアートのコーナーや、5秒間の動きをコマごとに切り分けて撮影し、まるでパラパラ漫画のように印刷する(印刷したものはショップで購入可能)機械など、映像という表現方法を取り入れた個性的な展示が数多くあります。

展示内容だけでなく、建物の外観も実にスタイリッシュで魅力にあふれています。この建物は、オーストリア・ウィーンを拠点として活動し、ドイツのポルシェ美術館も手掛けた『デルガン・マイスル・アソシエイティッド・アーキテクツ』によって設計されました。施設内には、開放的な雰囲気のレストランカフェがあり、階段状になっているオープンスペースに腰掛けることもできます。またカフェは展示スペースも兼ねているため、個性豊かなアート達を眺めつつ、食事やティータイムを満喫することができます。また、オープンテラス席もあり、ボートが進む川岸の風景を眺めながらゆったりと休憩することが可能です。

■アイ・フィルム・ミュージアムの所蔵品

アイ・フィルム・ミュージアムでは、映画などの映像作品にまつわるコレクションが収蔵されていて、それぞれ映画37,000点、ポスター60,000点、写真700,000点、書籍20,000点と実に膨大な数を所有しています。

そんなアイ・フィルム・ミュージアムのコレクションには、どのような作品が含まれているのでしょうか。主要な作品をご紹介します。

・《グレタ・ガルボのポスター》 1920年頃 アレクサンダー・バインダー

(Public Domain /‘Greta Garbo in The Joyless Street.’ by Alexander Binder. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

アレクサンドリア出身の写真家、アレクサンダー・バインダーによって撮影された、女優グレタ・ガルボのフォトグラフィックです。グレタ・ガルボはスウェーデン生まれのハリウッド女優で、ハリウッドのサイレント映画期や初期のころのトーキー映画などに数多く出演した名女優として活躍し、現代でも伝説的なスターとして語り継がれています。このポスターでは彼女の優雅さとセクシーさが合わさった、独特の魅力が漂いスターの風格を感じさせます。

グレタ・ガルボは3度のアカデミー主演女優賞ノミネートのほか、1954年にはアカデミー名誉賞が贈られ、1935年の『アンナ・カレニナ』と1936年の『椿姫』では、ニューヨーク映画批評家協会賞において主演女優賞を受賞するほどの実力と実績があります。また、1999年、アメリカン・フィルム・インスティチュートによって選ばれた映画スターベスト100女優部門にて5位にランクインされるなど、死後もなお高い評価を受けた名女優です。

・《トルコのチャーリー》 1919年 パット・サリバン

オーストラリア出身でアメリカの漫画家であるパット・サリバンによって作られた、10分弱ほどのサイレントアニメーションムービーです。あらすじは、古書店で読んだ本に影響された放浪者・チャーリーが、夢の中でトルコの王宮に紛れ込み、シバの女王を誘惑するといった冒険をするといった内容となっています。白黒でセリフや音楽もない無音で展開されるのですが、コミカルなイラストとアクション、そして小気味よいテンポで観る人を惹きつけ、思わず笑いを誘います。

作者のパット・サリバンは映画プロデューサーにしてアニメーションのパイオニアとしても知られています。誰もが一度は目にしたことがあるキャラクター、フィリックスも彼によってアニメーション化されました。

・《フェナキスティスコープ》

一見するだけではアート作品のように見えますが、実はれっきとした映像機器です。初期のアニメーション装置で、スリット入りの円盤の内側には連続した絵が描かれ、回転させてスリットから鏡に映った像を眺めると、絵が動いて見えるという仕組みになっています。

因みにフェナキスティとはギリシャ語で『だます』という意味があり、静止画の連続によってまるで動いているように目をだましているところが名前の由来だそうです。

■おわりに

今回は、オランダの映画専門ミュージアムであるアイ・フィルム・ミュージアムをご紹介していきました。ただ作品や映画関連の資料を展示するのではなく、臨場感のある体感型のスタイルを取り入れることで、映画・映像作品の楽しさを大人から子どもまでしっかり味わえるのが、アイ・フィルム・ミュージアムの魅力と言えます。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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