アフリカ博物館:アフリカ文化の豊かさを深く理解できる博物館

アフリカ博物館はオランダのヘルダーラント州のベルグ・エン・ダルにある博物館で、1954年に開館しました。アフリカ文化への敬意を払い、その芸術の美しさや豊かさへの理解を広めることを目的に設立されたこの博物館では、屋内と屋外で構成された多彩な展示を鑑賞することができます。そんなアフリカ博物館の歴史と所蔵品について詳しく解説していきます。

■アフリカ博物館とは

アフリカ博物館は、オランダのヘルダーラント市のベルグ・エン・ダルにある博物館です。ヨーロッパにおいて、アフリカの文化に敬意を払うとともに、その認識を高める目的で1954年に設立されました。常設展では主に、植民地時代のアフリカの人々の日常生活や宗教的慣習を物語る品々が紹介されています。

アフリカ彫刻の芸術性に深く感銘を受けたJ.B.ファン・クルーネンバーグ神父は、アフリカ文化の美しさや豊かさを多くの人々に広めたいと考えていました。コレクションが増えていくにつれ、原始的とみなされていたアフリカ文化の品々はしだいに称賛されるようになったのです。

アフリカの芸術はアフリカ大陸が独特な視覚文化を有する民族や社会、文明であふれ、多様であることから、地球上において最も創造性豊かな芸術的遺産であるといわれています。厳格な規範に沿って生み出される傾向の強い西洋文化とは異なり、アフリカ文化ではそれぞれの村によっても独自性が見られるほどの多様性を持ち、革新し続けてきました。20世紀初頭の芸術家であるピカソやマティス、モディリアーニなどがアフリカ彫刻に感銘を受け、彼ら自身の作風を確立していることからも、アフリカが世界的な芸術に影響を与えていることがわかります。また、アフリカの芸術作品は、その1点ずつに多くの意味や用途、社会的文脈などが含まれており、その多重性をすべて探求することは難しいといわれています。

アフリカ博物館は20世紀の間にさらに視野を広げていき、宗教的、伝統的な展示品に加え、大規模な現代美術のコレクションも展示するようになりました。ここにあるすべての展示品は、私たちが人種の違いを越えて同じ存在であることをテーマにコレクションされています。

■アフリカ博物館の所蔵品

アフリカ博物館では屋内には彫刻をはじめとしたアフリカの伝統的な芸術作品や、音楽、写真、ビデオ映像などの展示があり、屋外ではアフリカの村を再現した展示も行っており、ガーナ、レソト、マリ、カメルーン、ベナンなどの国々の伝統的な建築についても紹介しています。

そんなアフリカ博物館のコレクションには、どのようなものが含まれているのでしょうか。主要な展示についてご紹介します。

・《アフリカ彫刻(仮面)》

アフリカ芸術において、大胆かつ独特な木彫り作品は特に優れており、世界的画家たちにも影響を与えてきました。そのなかでも仮面は、アフリカの伝統社会において非常に重要な役割を果たしていました。アフリカでは王国や村の祭礼、秘密結社の通過儀礼が行われる際に踊り手が仮面と衣装を身にまといますが、その時の踊り手は人ではなく、身につけている仮面に宿った精霊そのものになっているとみなされます。木から独創的な形に彫り出され依り代となった仮面は、アフリカ人の生命力や独創性を強く象徴する貴重な芸術品といえます。

アフリカの仮面は人や動物の顔がモチーフになっているものの、どれ一つとっても他にはない、バラエティ豊かな形や表情で作られています。美術史の中で写実性が重視されてきた時代でも、アフリカ芸術は大胆なデフォルメや歪んだ表現を使い、そこに美しさやリアリティーを追求してきたのです。

・《マリのドゴン族の住居》

こちらの展示は屋外にあり、西アフリカ大陸のマリ共和国の中の中央高原地域に住む民族集団、ドゴン族の群住居を再現したものです。

ドゴン族は共通の祖先を持つ大家族が最小集団の単位で、最年長の男性が大家族の長となり、この大家族の集まりにより村が形成されています。彼らはバンディアガラの断崖で農耕を営んで生活しており、その独特な文化や社会制度、彫刻などには神話の影響が強く見られます。

バンディアガラの崖の近くにあるこの村の群住居は、岩の上に位置する台地型と、崖の急斜面に位置する崖型との二種類のタイプがあります。それらの小屋は、石や木の幹でできた基礎の上に、藁を混ぜた日干し煉瓦の壁が造られ、そこに泥が塗られています。小屋と小屋の間は石の壁でつながれ、その壁で囲われた部分が中庭となっています。中庭は台所や仕事場として使われ、家族の生活にとって大変重要な場所となっています。

・《ガーナの集落》

この展示コーナーは屋外にあり、西アフリカのガーナ共和国において伝統的な建築で造られた住居を再現したものです。

19世紀初頭にヨーロッパの植民地となる以前、ガーナでの建築は、その居住地の家族の規模や宗教的信念、気候を考慮された伝統的なものでした。建物は主に粘土で造られ、屋根は茅葺やヤシの枝などで覆われて、囲われた中庭がありました。この住居の形により、一族すべての家族が同じ施設内に住むことができたのです。この伝統的な住居は、泥の性質により熱帯気候の暑さを和らげる働きがあることや、デザイン、快適さ、清潔さなどの面でも評価され、ユネスコの世界遺産にも登録されています。

ヨーロッパ人の到来により、ガーナにはセメントや大理石などの新しい建築材料や技術、デザインが導入されていきました。これらの技術やデザインはガーナが独立した後も引き継がれ、建築文化は大きく変わっていったのです。

■おわりに

アフリカ博物館は2014年より、アムステルダムの熱帯博物館、ライデンの国立民族博物館とともに世界文化博物館として統合されました。常設展に加え、多彩な展示会、毎年恒例のフェスティバルも開催されています。また、屋外にはショップやレストランの他に、アフリカの神話上の動物の彫刻がたくさんあり、家族全員で楽しめる施設となっています。

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※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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