ヒックとドラゴン How to Train Your Dragon:ヒックとドラゴンが好きになる5つの理由


子供の頃、ヴァイキングVikingに憧れたことはないだろうか。粗野だけれど屈強で逞しく、海と家族と仲間たちをこよなく愛する誇り高き民族。ここでご紹介する「ヒックとドラゴン」は、そんなヴァイキングを統べる部族長の一人息子として生まれた、少年の成長物語だ。彼の頼りになる相棒は、なんとドラゴン。精密でリアルなグラフィックスや個性あふれるキャラクターたちなど、大ヒット冒険ファンタジーアニメーションの見どころをご紹介しよう。

●「リロ・アンド・スティッチ」の監督たちが再集結。新しい冒険が始まる。

※クレシッダ・コーウェルとディーン・デュボア

「How to Train Your Dragon」は、2010年にアメリカで制作されたアニメーション映画。ドリームワークス・アニメーションSKGが制作を担当し、全編3D CGで制作された。

メガホンを取ったのは、カナダ人のディーン・デュボアと、アメリカ人のクリス・サンダース。映画監督であるとともに脚本家、アニメーターの肩書きを持つふたりは、2002年にとてもキュートなディズニーファンタジー「Lilo&Stitch」を制作、世界中を熱狂させたコンビだ。

彼らがふたたびタッグを組んだ「How to Train Your Dragon」は、児童文学が原作。著者はイギリスの作家、クレシッダ・コーウェルだ。しかしアニメ版では、設定のほとんどがオリジナルに変更されている。

主人公ヒック(Hiccup)と謎に満ちた希少なドラゴン、トゥース(Toothless)との心の交流や、幼なじみとの恋模様、族長である父との確執など、アニメーション版のストーリーは、よりドラマチック。2014年には第2作が全米公開され、その後カートゥーン・ネットワークで2シーズン、テレビアニメシリーズとして放送された。

そして2019年2月、完結編となる第3作の公開が予定されている。

●ヒックとドラゴンが好きになる理由①ちょっとひ弱な主人公

ヴァイキングといえば、もじゃもじゃのヒゲをたくわえ、体つきは筋骨隆々、ヒグマを思わせる巨漢というイメージがある。だが「How to Train Your Dragon」の主人公ヒックは、まったくの正反対。第1作ではまだ15歳という年齢を差し引いて考えても、小柄で華奢で、同年代の子供たちと並べてもひ弱に見える。

ヒックの父親でヴァイキングの長を務めるストイック(Stoick)が、対照的に「クマ」なので、余計に貧弱ぶりが際立って見える。けれどその芯には、確かにヴァイキングの血が息づいている。夢に向かって進もうとする勇気や、信念を曲げない男らしさなど、強い男に成長するために必要な資質が見え隠れするのだ。

鍛冶屋での修行を生かして、いろいろな物を作り出す器用さも持ち合わせている。頭の回転が早い。そしてなにより、仲間想いだ。自然に応援したくなる。まさに主人公にふさわしい資質が与えられたキャラクターなのだ。

そんな彼の人生を変えるのが、一匹のドラゴンとの出会いだ。

●ヒックとドラゴンが好きになる理由②トゥースが愛らしくてカッコいい

ヒックが住む世界では、ドラゴンは人間や家畜を襲って損害を与える害獣扱いされている。だからヴァイキングたちは、村を襲うドラゴンを駆除しようとする。一人前のヴァイキングとして認められるためには、ドラゴンを殺さなければならない。

しかしヒックは、凶暴なハズのドラゴンに魅せられてしまった。世界中に大小さまざまな種類が存在するドラゴンの中でも、もっとも危険と言われる希少種「ナイト・フューリー」の子供と運命的に出会い、その美しさと賢さに魅了されてしまったのだ。

耳のように見えるツノで表現する感情は、とても豊か。ヒックのぎこちない微笑みを真似て、耳まで口を広げてみる姿も、およそ恐ろしいドラゴンとは思えない。なによりクリクリとよく動く瞳は、マスコットキャラ=ペットとしては定番とも言える情の深さを漂わせている。

ヒックとトゥースはやがて人とペットの関係を超えて、まるで兄弟のように強い絆で結ばれて行く。ヒックが失った左足とトゥースが失った尾羽半分は、その関係を象徴しているもののひとつ。

観ているうちにいつの間にか、自分用のトゥースが欲しくなりそう。ヴァイキングでドラゴン・ライダー。なんとも贅沢な妄想に浸るのも悪くない。

●ヒックとドラゴンが好きになる理由③ヒロインが強くてキュートだ

ヒックはトゥースとの関係を村の面々には秘密にしていた。けれどある時、幼なじみのアスティ(Astrid)にそれを知られてしまう。けれどヒックの説得とトゥースの愛らしさが、彼女の中にあったドラゴン像を覆すことになる。それが結果的に、仲間たちの心を動かしやがて村全体の運命を変えることになる。

金髪の美少女ながら、逞しさではヒックを凌ぐアスティは、初めは族長の息子であるヒックをライバル視している男勝りな印象がある。けれどトゥースと心を通わせる姿を見て、ドラゴンを心から守りたいと願う信念を知り、応援するようになると、一気に好感度がアップ。

初めは互いにぎこちない恋も、5年後となる第2作では愛しあう関係に変わっている。時にともに戦い、時に自然に寄り添い合う姿が、なんとも微笑ましいカップルだ。

●ヒックとドラゴンが好きになる理由④仲間たちとの絆が熱い

劇場版の2作はもちろんだが、テレビアニメのシリーズではヒックとアスティの仲間たちが、大活躍している。双子の兄妹、タフ(Tuunut)とラフ(Ruffnut)のしようもない口喧嘩=掛け合い漫才や、ラフを巡るスノット(Snotlout)とフィッシュ(Fishlegs)の報われない三角関係が、本筋とは別のところで物語を盛り上げる。

デッドリー・デンジャー、グロンクル、ダブル・ジップ、モンスター・ナイトメアといった、彼らのパートナー・ドラゴンも、それぞれにカラフルで個性的、そしてとてもキュートだ。ヒックを乗せたトゥースとともに、力を合わせて戦う姿はさすがヴァイキングの血統!と思わせてくれる。

●ヒックとドラゴンが好きになる理由⑤美しい広がりを見せる世界の空気感。

3D CGアニメーションにもさまざまな演出の仕方があるが、「How to Train Your Dragon」はキャラクターをデフォルメして、親しみやすいイメージを作り上げている。しかし背景や水などの質感は、まるで本物のようにリアルだ。

この「演者」と「舞台」の微妙な空気感のズレは、ドリームワークス・アニメーションが得意とする見せ方のひとつだと思う。とくに「How to Train Your Dragon」では、海に囲まれた岩山などのわずかなスペースに、人や動物、ドラゴンたちが住む場所が点在している。そのユニークな世界観に、3DCGによる演出が絶妙にマッチしている。

●ヒックとドラゴン、第3作・完結編に向けて

第1作では、ヒックがトゥースと出会い、それがきっかけで人間がドラゴンと仲良くなっていくまでが描かれていた。第2作では特殊な力でドラゴンを操る、凶悪で凶暴な敵役が登場。彼との戦いの中でヒックは大切な人を失い、やがて重大な決断を迫られることになる。

トゥースも含めて、すべてのドラゴンが奪われてしまうなど、第2作はとても緊迫した展開を見せる。その一方でヒックは行方不明となり死んだと教えられていた母親と再会、彼のドラゴンを大切に想う気質が、実は母親譲りのものだったことを知る。

第2作のヒックは、いくつもの壁にぶつかり乗り越える中で、さまざまなことに気づき、考え、悩み、その分だけ確実に成長して行く。バーク島に敵の大群が押し寄せ、絶体絶命の窮地に陥ってなお信念を貫き通し、やがて新たな長として村の仲間たちを守る決意をする。

そして第3作。そこには少し切ない「おわり」が待っている。子供だった時代、未熟だった時代と決別し、人もドラゴンもそれぞれに旅立つ時を迎える。真っ白なナイト・フューリーと出会ったトゥースの選択とは。それに対するヒックの決意とは。

深い感動と一抹の寂しさとともに、ヒックたちの大冒険に優しい拍手を贈りたくなる。それが「How to Train Your Dragon」という物語だ。

公式H P:DreamWorks Official Site

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

関連記事一覧