モンサントとデュポン:アメリカが誇る2大総合化学メーカー

ここで取り上げたい2大総合化学メーカーは、モンサント社とデュポン社です。この両企業は、第一次世界大戦前よりアメリカ合衆国において様々な事業分野で活躍しました。現代社会においては世界規模のコングロマリットとして、各種分野で大きな影響力を有するようになっています。特にこのコラムの後半には、この両社の農業政策に関して言及します。なお、モンサント社は2018年6月にドイツの総合化学メーカーであり医薬品企業であるバイエル(アスピリンの開発で有名)に買収され、このモンサントと言う社名が完全に消滅した事が公表されていることを念頭に置いてください。しかし、モンサント社のアメリカ経済に果たした役割は非常に高く、モンサント社として紹介したいと思います。

モンサント社・デュポン社の規模

両者を対等に比較する為、同時期のデータを取りますと、資料は少し古くなりますが、モンサント社の2010年における従業員数は、21400名、一方のデュポン社は、2011年現在で、64,000人と公表されています。更に、営業利益高を比較しますと、モンサント社が16億USドル、デュポン社が35億USドル、純利益で見ますとモンサント社が11億USドル、デュポン社が49億USドルになります。ここで示された企業規模の比率傾向は現在も尚継続的に続いています。先ほども記述しましたが、モンサント社はドイツのバイエルに吸収合併されているため、2018年を持ってその歴史は幕を閉じていると言って良いでしょう。

モンサント社の歴史

モンサント社は、アメリカ合衆国ミズーリ州クレーブクールに拠点を置いたコングロマリットで、2005年度の売上総額は62億USドル、2008年度には110億USドルを誇る企業に成長しました。そもそも、このモンサント社は1901年にアメリカ合衆国ミズーリ州セントルイスに創業したことがその歴史の始まりで、2018年のバイエル社による買収により、その117年に及ぶ歴史を閉じたことになります。なお、モンサントと言う社名は創業者の妻の姓にちなんだものでした。1920年代初頭より各種化学合成物質(硫酸、ポリ塩化ビフェニル等)で売上高を劇的に向上させ、1940年代からは、プラスティック、合成繊維にも手を伸ばし、世界的に影響力を持つに至りました。しかし、同社の負の側面としては、アメリカ合衆国と当時のソビエト連邦の代理戦争であったベトナム戦争で使用された悪名が高い「枯葉剤」は、同社の製造によるもので、含有するダイオキシンによる催奇形性の有害事象により非難を浴びた時代がありました。その後、そうした除草剤などをヨーロッパ等で農業用に導入し強力な商品構成で攻勢を掛け、EU諸国からその営業戦略の非難が上ったこともあります。しかし、現代に至り総合農業ソリューション企業として、後述するようなICTの活用による、IoT等に秀でた技術を有するようになりました。今回のドイツのバイエル社によるM&AによりそのDNAは受け継がれていくことになると思われます。

デュポン社の歴史

デュポン社は、現在アメリカ合衆国デラウェア州に本社を置く総合化学メーカーとして全世界に販売網を持つコングロマリットになります。デラウェア州は租税回避地としてアメリカ合衆国の大手企業が名ばかりの本社機能を置くことでも有名です。そもそも、このデュポン社は社名がアメリカらしくないという点でお分かりいただけると思いますが、18世紀末の1799年フランス革命の戦禍を避けるためにアメリカに移住したエルテール・デュポン氏により創業された会社になり、200年以上の歴史を誇ります。移住後、創始者であるエルテール氏により黒色火薬の製造がおこなわれ、フランス仕込みの性能の良い製品がアメリカ合衆国で認められ、規模拡大の要因となりました。その後順調に社業を伸ばしたデュポン社は1914年に後継者であるピエールによって自動車産業界に進出することになります。この時、ジェネラルモーター社に出資し、ピエールがGMの社長になったこともありました。その後1920年代には総合化学分野へその力を傾注し、数々の新規物質・新製品を世に送り出すことに成功しました。しかし、社業が拡大するに伴い、反トラスト法(企業独占を戒める法律)等により規制を受けることになります。しかし、現代社会においてアメリカでの三大財閥の一角として称せられるようになり、その勢力は減じることなく成長し続けていると言って良いでしょう。ちなみに、アメリカにおける三大財閥とは、メロン財閥、ロックフェラー財閥、デュポン財閥であり、後者の2財閥は、Du Pont Familyとして閨閥関係にありその関係性は深いと言って良いでしょう。

モンサント社における農業ソリューションについて

モンサント社は、古くから農業分野での活躍が著しい世界的企業になっています。今や世界人口は、爆発的増加が予測され、少子高齢化が世界各国の人口問題になっています。世界的な規模では、大よそ20年から30年後には40%の人口が増えるとの予測もあります。そこでモンサント社では、その予測される人口の急増に対応する農業を、その需要に歩調を合わせ、農業生産性と農業そのものの持続可能性を高めるという取り組みを行っています。同社では、世界人口が2050年には90億人に達するとし、その人口増加の歩調に合わせ、サステナブルな農業の実現に向け、以下の三点に重点を置き積極的に取り組んでいます。
第一に、農業生産性の向上が上げられます。2000年を基準に2030年にはトウモロコシ、ダイズ、ワタ、春播きカノーラの収穫量レベルを200%とするために高品質な種子と栽培手法を研究開発中です。
第二に、資源の保全です。これも同様に2000年を基準に2030年には、同じ収穫高を上げるために主要資源の1/3を削減できるように資源保全に取り組む計画を発表しています。
第三に、営農者の生活改善に取り組んでいます。これは、2020年までに、今後さらに世界的に500万人増加するとされる資源に恵まれない営農者やその家族の生活を改善するような計画を持っています。
今後、これらの農業ソリューションに関する方向性はドイツバイエル社に受け継がれていくこととなるでしょう。

デュポン社における農業ソリューションついて

デュポン社に関して、新たな農業ソリューションカンパニーとして、今までの農業分野の事業をデュポン・プロダクション・アグリサイエンス部門として大々的に世界展開しています。同社は、積極的に農業ソリューションに取り組んでいく姿勢を見せています。まず、この企業の基本姿勢は、全世界的に直面するであろう大きな課題に向けて、Co-Generatingによって科学的かつ革新的なソリューションを生み出すことを標榜しています。
農業分野においては、農作物種子の改良により収穫量の増加や、害虫駆除法、病害予防のソリューションを発見して、農産物の収穫量の増大と品質の向上に努力している報告が多数あります。デュポン社の農業ソリューションには長年世界的に培われた、ありとあらゆる知見を総合的に見つめ直すことで、新たな方向性や成果物を作り出していることにその特徴を見つけることが出来ます。

現代社会が抱える今後の農業ソリューションとは

モンサント社(バイエル社)、デュポン社2企業の抱く、全世界的な農業ソリューションの潮流は、世界食糧事情の緊迫した事情によるものが大きく、食糧自給率が先進国の中でも低いレベルにある国々においては、喫緊の課題を解決してくれる企業になります。全世界的な規模で、長年実践してきた知識や技術、それにノウハウは非常に高いレベルのものを持っています。農業の王道は、やはり種子から生育し収穫に至るまでの営農者の姿勢によるものに大きく依存します。
両社が、そうした営農者個人ごとに向き合うことで、よりその営農者に合致した農業ソリューションが提案でき実践に則した内容になります。今こそグローバルな視野に立って農業を行うべきだと言えます。そうした意味でも、ここで示したモンサント社(バイエル社)やデュポン社が最先端の技術を用いて世界食糧事情の改善に努めるべきだと各国政府が世界的協調の下、産官学連携による対策を講じ、この両社が最重要なポジションを持っていると言えるでしょう。

まとめ

世界的規模を誇る、モンサント社(バイエル社)とデュポン社についての現代に至る歴史を概説し、各々両社の持つ農業ソリューション事業について言及しました。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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