エスビャウ美術館:デンマーク芸術の歴史と鑑賞の学び

エスビャウ美術館は1910年に設立された歴史ある美術館で、より多くの作品を人々に鑑賞してもらえるよう、移転や大規模な拡張も行ってきました。現在は、隣接する舞台芸術センターと物理的に接続し、芸術分野の複合施設として多くの市民に愛されています。時代と共にその在り方を変えていく事で、多くの人に受け入れられている良い例といえるでしょう。そんなエスビャウ美術館を紹介します。

エスビャウの風景

エスビャウ美術館とは

南デンマークの最大都市であるエスビャウは、デンマーク国内でも重要都市として知られています。首都コペンハーゲンからは鉄道で三時間かかりますが、鉄道の他に高速道路やフェリー航路も通っており、非常に交通の便が優れた場所です。また、かつてはデンマーク最大の漁港をもつ漁業の町としても知られていました。現在エスビャウの港は、油田の中継地として重要な役割を担っており、比較的産業に恵まれた裕福な都市であると言えるでしょう。

そんなエスビャウにあるエスビャウ美術館ですが、その設立は1910年まで遡ります。1962年には新しい建物を建設して移転。コレクションも増えて行きました。元々デンマーク国内の作品展示を中心に行っていた事もあり、国内作品に関しては他に類を見ない程豊富です。現在では国際的な芸術作品の展示にも努めており、デンマーク以外の作品も多数抱えています。

エスビャウ美術館の収蔵品とは?

1910年の設立以来、デンマーク作品の収集に努めてきたエスビャウ美術館では、特にモダニズム作品を多く所蔵しています。1962年に建物を新築した際には、リチャード・モーテンセンなどの作品を手に入れています。

20世紀のデンマーク作品が充実していることはもちろんですが、現代美術と古典美術の特別展も開催しており、デンマーク絵画の歴史を一挙に見る事ができます。加えて、国際アートの最新トレンドも紹介しているため、世界の芸術作品に触れることができるでしょう。

それでは具体的な収蔵品を見て行きましょう!

〈幸福の庭〉1947年 アスガー・ヨルン

美しさと不穏さを感じさせる不思議な一枚です。タイトルから察するに、幸福感を表したかったと考えられますが、本当のところはわかりません。

土の中なのか、まるで芋虫のような大きいものが寝転がっています。ですが、顔と思われる部分ははっきりせず曖昧です。鳥らしきものも見られますが、少々不気味に感じます。濃い緑によって塗られた木々も何だか邪悪なオーラを出しており、これが本当に幸福を表しているのか不思議でなりません。想像が掻き立てられる絵です。

〈ランジェリニーにて〉1924年 エドヴァルド・ウェイ

『幸福の庭』同様、抽象的でありながらも何となく絵の中に人物を感じることのできる絵です。とある公園のワンシーンのようにも見えます。

何となく分かる人間の姿や色使いを見て、どのような場所のどんな場面を描写しているのか、色々な妄想をする楽しさがあるでしょう。

私には帽子のような物体が、その形と色合いから何だか椎茸のようにも見え、面白い絵に思てきてしまいます。

※イメージ

体験教室

エスビャウ美術館には、自分の手や目で芸術を体験することのできる環境が整っています。特に1997年の大規模改修の際に新設された美学研究所は、芸術を自然科学、音楽、技術と融合させ、それを視覚的に楽しもうと言うコンセプトにより成り立っています。様々な分野とコラボさせる事で同じ絵でも全く違う姿を見せてくれます。

絵を見る中でその絵に対して何を思うのか、そして何を思い描くのか、見ると言う行為にどのような目的が隠されているのか。芸術には特にルールも無ければ、正解もありません。作者の意図とは違うことを感じても、果たしてそれは不正解なのでしょうか?このようなことを考えるために、自分の目を養う必要があるのかもしれません。

エスビャウ美術館で、様々な「見る」体験や学習をして、見方について新たな発見をしてみましょう。芸術の奥深さまでも感じることができるはずです。

終わりに

エスビャウ美術館は、デンマークの芸術を振り返るとともに、新たな芸術を知ることのできる美術館です。鑑賞するだけでなく、体験型の展示や実験教室などの参加型イベントも充実しており、たくさんの学びと気付きが得られるでしょう。

また、1997年には大規模な拡張工事が行われ、隣接していた舞台芸術センターと接続。今は街の芸術複合施設として成り立っており、絵画作品や現代アートのみならず、様々なジャンルの芸術・文化・音楽に触れることができる場所となっています。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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