アイドゥン考古学博物館:ヘレニズム時代からオスマン時代にかけての出土品を展示する博物館

アイドゥン考古学博物館はトルコ・アイドゥンにある博物館です。コレクションは約6万点で、常設展示でも訪れるたびに新たな発見があります。また、併設している多目的ホール・図書館など、施設の充実度にも注目です。そんなアイドゥン考古学博物館の歴史と所蔵品について詳しく解説していきます。

■アイドゥン考古学博物館とは

アイドゥン考古学博物館はトルコ西部の都市アイドゥンにある博物館で、1959年に設立しました。

アイドゥンとその周辺地域には古くからの集落・遺跡があり、そこで発掘された出土品は市の所有するコミュニティセンターで保管していました。1950年になるとこれらは財務省の事務局管理となり、1959年、ザファー小学校の部屋にアイドゥン博物館が設立されました。

1973年4月に博物館が完成すると、所蔵品は全てこちらに移されました。開館当初は民俗学の資料と工芸品が同じフロアで展示されていましたが、翌年にアイドゥン周辺の遺跡から発掘された資料が持ち込まれ、保管庫に収容しきれなくなります。そうして2000年に新たな博物館の建設計画が始まりましたが、資金難のためなかなか実現しませんでした。

その後2011年に、文化観光省が新館プロジェクトを引き継ぐことになりました。新たな博物館には約5億円(約450万米ドル)の建設費がかけられ、地下室のある2階建ての建物が完成しました。2012年にオープンを果たしたこの建物には、常設展示ホールのほか、特別展示室やワークショップなどを行う多目的ホール、展示機能を備える裏庭、図書館、実験室、会議室、事務局なども併設しています。

アイドゥンにある遺跡

■アイドゥン考古学博物館の所蔵品

アイドゥン考古学博物館のコレクションは、ヘレニズム時代・ローマ時代・ビザンチン時代・オスマン時代の遺跡からの出土品が中心です。発掘場所は、アイドゥン・マグネシア・アラバンダ・テペチク・アリンダ・アミゾンなど広範囲に及びます。

その数も膨大で、遺跡からの出土品約11,000点・民俗学資料約4,000点・古代のコイン約45,000点などをコレクションしています。

常設展示ホールは11室あり、それぞれのセクションごとに「モザイク」「石の工芸品」「コインコレクション」などテーマを決めて展示しています。裏庭には遮光効果のある日よけが作られ、屋外展示スペースも注目すべきスポットの1つです。

また、入り口には博物館の歴史を15分間にまとめたプレゼンテーション映像や、3D画像を利用した紹介映像などを流しており、現代的な設備も備えている博物館です。

そんなアイドゥン考古学博物館のコレクションには、どのような作品が含まれているのでしょうか。主要な作品をご紹介します。

・《セイキロスの墓碑銘の記念パネル》

本作品は紀元前2世紀頃から紀元後1世紀頃に、セイキロスが建てた墓石の記念パネルです。

セイキロスの墓碑銘は、完全な保存状態で見つかった世界で最も古い楽曲です。墓石には歌詞と古代ギリシャ音符によるメロディが刻まれており、それを現代の五線譜で表すと、6/8拍子の音楽になります。セイキロスの妻エウテルペに捧げた楽曲であると考えられています。

オリジナルのセイキロスの墓碑銘は、現在デンマークのコペンハーゲン国立博物館で所蔵されています。

当博物館にはオリジナル作品はありませんが、アイドゥンの地で発掘されたことを記念して入り口にパネルを展示し、来館者を出迎えています。

・《古代ローマの火葬壺》紀元前300年頃~紀元前30年頃 作者不明

本作品は紀元前300年頃~紀元前30年頃に制作されました。館内のコレクションの中でも重要な展示物として有名な作品です。

古代ローマの埋葬方法は火葬が一般的で、そのための油を塗装された壺に入れて運んでいました。そして、葬儀後は空っぽになった壺に、灰を入れていたことが分かっています。

当作品も葬儀に使用された壺の1つです。表面には色彩豊かな絵画が描かれています。モチーフとなっているのは原始神エロス・運命の神モイラ・個人の魂・冥界の神ハデス・裁判官・三頭の番犬ケルベロスなどで、人間の死と生まれ変わりを表現していると考えられています。

・《古代ローマのモザイク床》紀元前2世紀頃 作者不明

本作品は紀元前2世紀頃に制作された作品で、アイドゥンにあるオルソシアの古代都市で発見されました。

モザイクとは石・陶磁器・カラーガラス・貝殻・木片などを、細かく敷き詰めて絵や模様を描く技法です。世界中の集落・遺跡から発掘されているとともに、紀元前2600年頃の作品も見つかっていることからも、古代には各地で制作されていたことがわかります。主に室内装飾・工芸品に使用される技法で、モチーフは幾何学模様・宗教画・動物など様々でした。床に用いたモザイク画では古代ローマ時代のものが有名です。

本作品は、古代ローマのヴィラ(別荘)の床に使用されていたモザイク画です。本作品は4つのメインパネルと幾何学模様の境界パネルで構成されています。一部欠けているところもありますが、繊細な色使いで敷き詰められたテセラは美しく、その技術力には驚きを覚えます。

アイドゥンにある遺跡

■おわりに

アイドゥン考古学博物館はトルコ・アイドゥンにある博物館で、主に古代ギリシャ・古代ローマの遺跡からの出土品を鑑賞することができます。館内は広々と見やすく、裏庭の開放的な展示も見どころの一つです。

muze

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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