ゲント美術館:古都ゲントにあるベルギー最古の美術館

ベルギー・ゲントにあるゲント美術館は、「ベルギー最古」とも言われる伝統的な美術館です。14世紀から20世紀の作品を展示しており、ヨーロッパ芸術における巨匠達の作品を鑑賞することが出来ます。

ゲント美術館とは?

ベルギー・ゲントは、首都ブリュッセルとは異なった気質を持つ古都の町です。「北方ルネッサンス発祥の地」であるゲントには、現在も中世時代のギルトハウスが残っており、古き良き町並みを堪能することが出来ます。

また、夜景の綺麗な町としても知られており、まるで芸術品のような美しい町並みが広がっているのです。

そんな古き良き町に建つゲント美術館は、1798年に設立されたベルギー最古の美術館です。ベルギー出身画家の作品や、ヨーロッパ芸術の巨匠達が描いた、14世紀から20世紀の作品を展示しています。

ゲント美術館の収蔵品とは

かつて、ゲントで栄えたフランドル美術の作品を中心に、14世紀から20世紀の作品を楽しむ事が出来ます。特にヒエロニム・ボスが描いた2枚の傑作は、ベルギー芸術に触れたい方へお勧めです。

また、ゲント美術館では、2012年から聖バーフ大聖堂にある祭壇画、「神秘の子羊」の大規模改修を行っています。国家事業とも言える改修作業の様子は、一般の方でも見学することが出来るので、ぜひ見学してみてはいかがでしょうか。 (改修作業は、2025年頃に終了する予定)

『Ghent Altarpiece project』

(ゲントの祭壇画プロジェクトの概要)

ゲント美術館には、どのような作品が展示されているのでしょうか?早速見て行きましょう。

(Public Domain /‘Christ Carrying the Cross’by Hieronymus Bosch. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

〈十字架を背負うキリスト〉 ヒエロニムス・ボス

ヒエロニムス・ボスは、祖父、父、兄、叔父達が画家という、芸術一家の下に生まれました。はっきりとした修業時代などは不明ですが、早くから画家である父の側で技術を身に付けたとされています。資産家の令嬢メルヴェンヌと結婚した事により有名になりますが、彼の生涯には不明な点が多く、謎に包まれているのです。

ヒエロニムス・ボスは、ヨーロッパ全土から依頼を受ける程、人気を博していました。中でも、スペインのフェリペ2世は、彼の熱烈なファンであったと言われています。しかし、宗教改革が起こると、ほとんどの作品が焼失してしまい、僅か30点程しか残されていないようです。

彼の持ち味は、幻想的かつ怪異的な画風ではないでしょうか。本作品においても、快楽的な色合いでありながら、人間の奥底に眠る狂気的な部分を感じ取ることが出来ます。

(Public Domain /‘The Supper at Emmaus’by Jean Baptiste de Champaigne
(Image via WIKIMEDIA COMMONS)

〈エマオの晩餐〉ヤン・バティスト・デ・シャンパーニュ

キリストとその弟子達による何気ない場面のように見えます。しかし、キリストと気付かずに迎え入れた弟子達の表情は驚きに満ちており、それだけ衝撃的な瞬間を描いたという事が分かります。

本作品は、フィリップ・ド・シャンパーニュのアイデアを元に、甥っ子のヤン・バティスト・デ・シャンパーニュが製作しました。アイデアを生み出したフィリップ・ド・シャンパーニュについてご紹介しましょう。

貧しい家庭に生まれたフィリップ・ド・シャンパーニュは、宮廷の装飾を施す仕事に就きました。その縁で、装飾の指揮官を務めていたニコラの娘と結婚し、多くの装飾作業に携わるようになるのです。

(Public Domain /‘Ex-Voto de 1662’by Philippe de Champaigne. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

彼は、キリスト教の中でも特に異教徒とされた、ジャンセニムスの信者でした。娘の麻痺がジャンセニムスの中枢的教会・ポール・ロワイヤル修道院で奇跡的に治癒したことにより、強い信仰心を抱いていったのかもしれません。貧しい家庭に生まれた彼にとって、宗教は人を助け、豊かにする存在でもあったのでしょう。事実、代表作である1662年の奉納画では、彼の娘と共に女子修道院長カトリーヌの姿が描かれています。

(Public Domain /‘Maria Magdalena’by Alfred Stevens. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

〈マリア・マグダレネ〉アルフレッド・ステヴァンス

本作品に描かれているマリアは、罪深き女として知られた女性です。キリストとの結婚を示唆するような伝承もありますが、はっきりとした事は分かっていません。鋭い眼光と美しい表情は、何を見据えているのでしょうか。漆黒とも言えるこの背景は、まるで人間の心の闇を写し出しているかのようです。

(Public Domain /‘The Japanese Parisian’by Alfred Stevens. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

アルフレッドの父は元軍人で、美術収集家としても知られていました。さらに、兄も動物画家であったことから、幼少期の頃にはすでに芸術を身近に感じていたようです。彼が描く女性の絵は、優美でありながら何処かエロスを感じさせ、特に人気がありました。また、日本文化にも強い興味を持っていた彼は、絵画にジャポニズムを取り入れ、「着物姿のパリ娘」などの作品を残しています。

終わりに

ゲントは、古都の町並み共に芸術の変遷を辿ることの出来る町です。ベルギーの歴史と、芸術を堪能してみてはいかがでしょうか。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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