ゲント市立現代美術館:現代作品を味わえる至極の空間

ゲント市立現代美術館は、現代アートに着目した美術館です。美術館といえば、中世の古典的な作品のイメージがあると思いますが、この美術館では現代アートの真骨頂を味わうことが出来ます。また、同じ敷地内にあるゲント美術館とセットで回ると、より違いが分かるかもしれません。

ゲント市立現代美術館とは

ベルギー第三の都市ゲントは、美しい景色と花々に囲まれた町です。別名「花の都市」とも呼ばれ、4年ごとに大規模な花の祭典が行われています。

世界遺産「ゲントの鐘楼」

園芸業が盛んなゲントですが、かつては織物産業で栄えた町でした。長きに渡る戦乱の影響で栄華を失ってしまいましたが、文化的遺構の世界遺産登録などによって、町の威厳を取り戻しつつあります。

そんな美しい町ゲントに構えるこの美術館は、1945年以降の作品に拘り、世界中から集めた画家たちの作品を展示しています。また、館内にはカフェも併設しているので、ゆったりとした時間を過ごすことが出来るでしょう。

ゲント市立現代美術館の収蔵品とは

この美術館では、1945年以降の芸術作品を収蔵しています。現代アートは一見すると難解な作品も多いですが、まるで作品と空間が共鳴しているような不可思議な空気を感じることが出来ます。特に、古典作品を多く展示しているゲント美術館を観賞した後は、より作品の特異性を感じるかもしれません。

また、現代作家によるアート展を定期的に開催しており、現在進行形のアートの世界を楽しむことが出来ます。絵によって政治的風刺を表現する中世の作品とは異なり、人々に芸術の在り方を教えていくのが現代アートの特徴ではないでしょうか。

『CloseUp | Charbel-joseph H. Boutros, An Artwork That Is Shown … and Catwalk, S.M.A.K. 2020』

(クローズアップCharbel-joseph H. Boutros、展示されているアートワーク…およびCatwalk、S.M.A.K.2020)

果たしてゲント市立現代美術館には、どのような作品が有るのでしょうか?早速見て行きましょう。

〈パンのランプ〉

このパンのランプの集団は、簡単に作ることが出来るのです。パンの中をくり貫き、その中にランプ台を設置すると、パンから煌々と光が流れ出てきます。

パンから繰り出される光は、幻想的でありながら、面白味も感じます。しかし、パンには賞味期限があるため、作品としての寿命は短く、定期的に作り直さなければなりません。その儚さも、魅力の1つではないでしょうか。このようなアート作品は、たとえ言語が通じなくても、平等に面白さを感じることが出来るのです。

『ZomerWaf | Vedran Kopljar』

〈誰もが金持ちではない〉

この黄色い積み荷のような置物は、空間の片隅に配置されており、一見作品とは気付かないような代物です。本作品は誰でも手に入れられるポリエステルによって、金の延べ棒を象っています。タイトルの「誰もが金持ちではない」というのは、市民の誰しもが声を大にして言いたい事なのです。本来であれば本物の金で作りたいですが、庶民には叶わぬ夢であるという「現実」を突き付けているかのようです。

本物の金ではないので物質的価値はありませんが、アートとして世間へ広める事で、芸術的付加価値を見出だす事が出来るのです。元は価値の無い物質でも、時として本物の金以上の価値が付くというのが芸術の真骨頂であり、大きな可能性ではないでしょうか。

〈ガルガンチュア〉

一見すると廃棄物のようですが、こちらは立派なアート作品です。例え価値のない物でも、明確な理念を持ち、魂を吹き込んで製作すれば、アートになるという事を教えてくれます。

本作品は実際の廃棄物で作られており、ハンマー投げのハンマーのような球体が何を表現しているのか、素人には分かり得ない作品です。大概の人は、ただの球体と感じると思いますが、それをアートと言ってのけるのも現代アートの醍醐味なのです。

ガルガンチュアは、ある小説に登場する巨人の名前でもあります。ガルガンチュアは大きな図体で、か弱く脆い部分がありますが、陽気で明るく、何事にも立ち向かう強さも持ち合わせています。

本作品は「心の塊」を証明しており、たとえ廃棄物で作られていたとしても、「作り方次第で人の心は動かせる」というメッセージが込められているのです。

終わりに

現代アートは、共鳴しにくい部分もあり、多くの方が難しく感じているのではないでしょうか。しかし、それが面白さであり、芸術の進化に出会うきっかけとなるのです。ゲント市立現代美術館では、日々アップデートされる芸術作品と、新しいアイデアに出会うことが出来ます。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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