マイヤー・ファン・デン・ベルグ美術館:至極の個人コレクション

(Public Domain /‘Portrait of Fritz Mayer van den Bergh’by Jozef Janssens. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

マイヤー・ファン・デン・ベルグ美術館は、美術品コレクターであったマイヤー・ファン・デン・ベルグが収集したコレクションを展示しています。短い生涯の間、彼がこれだけ膨大な数のコレクションを収集した事に心から感服します。今回は、そんなマイヤー・ファン・デン・ベルグ美術館について、詳しく紹介していきましょう。

マイヤー・ファン・デン・ベルグ美術館とは

アントワープはベルギー第2の都市で、古くからの伝統が残る格式高い町です。また、大きな運河に恵まれているアントワープは、交易が盛んで、国際経済都市としても栄えてきました。

※アントワープの主要なショッピング通り「MeirStreet」

近年では、新たにファッションの地として注目を集め、モード界を牽引しています。

そんなアントワープにあるマイヤー・ファン・デン・ベルグ美術館は、美術コレクターとして名を馳せた貴族、マイヤー・ファン・デン・ベルグの個人コレクションを展示しています。残念ながら43歳という若さで亡くなりましたが、彼の母親によってゴシック様式の邸宅が建てられ、息子の遺品とも言うべきコレクションは一般へ向けて公開されました。

『Museum Mayer van den Bergh』

(マイヤー・ファン・デン・ベルグ美術館)

マイヤー・ファン・デン・ベルグ美術館の収蔵品とは

美術館のコレクションは、絵画や彫刻、タペストリー、ステンドグラスなど多岐に渡ります。館内は、ゴシック様式の建物を活かした場所と、現代美術館のような場所が混在しており、現代らしさと歴史的遺構を同時に堪能することが出来ます。

果たしてマイヤー・ファン・デン・ベルグ美術館には、どのような作品が有るのでしょうか?早速見て行きましょう。

(Public Domain /‘Dull Gret’by Pieter Bruegel the Elder. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

〈狂女フリート〉ピーテル・ブリューゲル 1561年

ブリューゲルは、自身による文面を残しておらず、謎多き人物です。彼に関する逸話のほとんどが伝説的な物ばかりで、確証を得ることは出来ません。しかし、それが芸術家としての神秘性を高めているとも言えます。しかし、彼はブリューゲルの農民を多く描いていた事から、この地方の農民出身ではないかと推測されています。

暗黒の世界とも言える本作品は、蜘蛛やヤモリ、蛙や魚などが得体の知れない姿をして登場しています。悪女とされるフリートは、多くの宝を抱えており、他の人々から盗みを働いたと思われます。

ブリューゲルは、死の間際に多くの素描を捨てさせており、宗教色の強い作品も多く描いていた事が分かります。当時、社会的風刺画を描くという事は、家族も迫害を受ける恐れがあり、命懸けの行動だったのです。また、彼はローマ旅行やアントワープへの移住など、様々な文化に触れた事で創造性の強い絵を得意としました。

〈ベツレヘムの人口調査〉ピーテル・ブリューゲル(子)

親子共々画家として活躍していたため、息子はブリューゲル(子)と称されています。ブリューゲル(子)は、父親の作品を多く模写し、その才能を開花させていきました。息子である彼も謎多き人物ですが、早くに両親を亡くした為、父の創作現場に触れる機会は少なかったのかもしれません。しかし、両親亡き後に引き取ってくれた祖母も、画家として活躍していた事から、芸術へ触れる機会が多かった事に違いはありません。

本作品は、人口調査と称した役人達が人々の前で活動を行っている様子です。恰もその場面を見ていたような写実的描写で、彼が役人達の仕事を監視しているようにも捉えられます。皆が寒そうにしている様子は、雪に囲まれたこの土地ならではの原風景と言えるでしょう。

(Public Domain /‘The Census at Bethlehem’by Pieter Bruegel the Elder. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

ちなみに、父親が描いた「ベツレヘムの人口調査」は、ベルギー王立美術館に収蔵されています。

〈告解火曜日〉 ヒエロニムス・ボス

ヒエロニムス・ボスは、父や祖父、兄や叔父達も揃って画家という芸術一家に生まれました。画家を目指すのは当然の事で、早くから芸術の才能を開花させていきました。名士の娘と結婚した後、その人脈を巧みに生かし、富裕層向けの作品を多く残しています。その色鮮やかで幻想的な空間美は、特に王族や貴族に好まれました。

本作品は、パンケーキを多く消費する日を描いている事から、「パンケーキデイ」と称されています。イギリスでは、「パンケーキデイ」後の40日間は断食期間とされており、未だにこの伝統が根付いているのです。

人々は浮かれているようにも、堕落的なようにも見え、何処か心揺さぶられる作品です。

終わりに

マイヤー・ファン・デン・ベルグ美術館は、ゴシック様式の邸宅と共に作品を楽しむことが出来る場所です。これだけのコレクションを個人で収集したという事は、彼がこよなく美術を愛していたという証なのでしょう。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

関連記事一覧