ウンベルト・エーコ:ストーリーに文学や歴史を組み込みながら物語を描いた小説家

ウンベルト・エーコ(1932−2016)
イタリアの小説家、エッセイスト、文芸評論家、哲学者、記号学者。1980年に発表された長編歴史ミステリー「薔薇の名前(Il nome della rosa)」の作者としても知られています。小説以外に絵本やエッセイなども手掛け、多くの作品を残しました。

<数々の名門大学で講義>

ウンベルト・エーコはイタリア北部のピエモンテ州、アレッサンドリアに生まれました。父から法律家になるよう勧められましたが、哲学や文学を学ぶためトリノ大学に入学し1954年には学位を取得します。卒業後はイタリア放送協会(RAI)に務めドキュメンタリー番組のプロデューサーを担当。1956年から1964年まではトリノ大学で講義も行なっています。1992年からはハーバード大学の教授を務め、2002年にはニュージャージー州のラトガース大学より名誉文学博士の称号を贈られています。

<物語に組み込まれる歴史や文学の要素>

1980年にエーコはミステリー小説「薔薇の名前」を発表しました。この作品は修道院で起こる連続殺人事件の真相を解明するというミステリーではよくある内容ですが、物語の中にキリスト神学や中世の神学論争を分かりやすく盛り込むことで読者の心を掴み、謎解きブームの先駆けとなりました。1986年にはショーン・コネリー、クリスチャン・スレーター出演で映画化もされ、7,000万ドル以上の興行収入を記録しています。彼の作品は難しいと思われがちな文学や歴史をストーリーに組み込み、その要素を活かしながら物語が展開するという独特の魅力があります。1988年には2作目の小説「フーコーの振り子」を発表し、テンプル騎士団をテーマにした内容でこちらも好調な売れ行きとなりました。

※「薔薇の名前」

<エーコの考える記号論>

エーコは小説以外にも「ヴァーサス(Versus Quaderni di studi semiotici)」という記号論ジャーナルを創設し、学者が意味論や記号論に関して発表をする重要な基盤となりました。彼自身も記号学者として活躍しており、「記号とはなにか」について書いた本も出しています。エーコは「古書や古文を記号のルールから読み取り、そこから解釈をしていくことで作者との触れ合いを楽しむ。またその解釈には千差万別がある」と考え、中世美学や古文、オカルトも作品に組み込みました。また彼はこの学術論を多くの大学で講演しています。そして児童書や詩、エッセイなども出版し、さまざまな形で自身の考えを記しました。

<さいごに>

物語に歴史や文学的内容を盛り込み、その特徴を活かしながらストーリーを描いたウンベルト・エーコ。彼の作品は数々の国で翻訳され、いまも多くの人に親しまれています。絵本では戦争や平和について描いているものもあり、大人が読んでも深く考えさせられるような内容となっています。小説や映画などいろいろな形で作品に触れることができるので、興味のある方はお好きなものを見つけてエーコの世界に浸ってみてはいかがでしょうか。

出典:(Wikipedia、ウンベルト・エーコ)(7,2021)

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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