スタンリー・ボッグス博物館:マヤ文明の遺跡タスマル付属の博物館

スタンリー・ボッグス博物館は、エルサルバドルを代表する遺跡のひとつ「タスマル遺跡」に付属した博物館です。タスマル遺跡から出土した器や彫刻、装飾品を主に公開しています。白色と赤色のシンプルな建物内で、マヤ文明の神秘に触れてみるのもよいでしょう。また、隣接するタスマル遺跡は、複合的な建造物があるエルサルバドル屈指の見どころです。博物館と合わせて足を運んでおくことをおすすめします。この記事では、スタンリー・ボッグス博物館の歴史や見どころを紹介します。

(※ホヤ・デ・セレン遺跡)

スタンリー・ボッグス博物館とは

スタンリー・ボッグス博物館があるのは、中央アメリカの国、エルサルバドルです。エルサルバドルは古代マヤ文明の遺跡が豊富にあることで有名な国。世界遺産に認定されたホヤ・デ・セレン遺跡をはじめとした、古代のロマンに浸ることができる場所です。首都のサンサルバドルは中央アメリカで屈指の発展を遂げている先進的な街で、連日大勢の観光客を受け入れています。

タスマル遺跡は、そんなエルサルバドルを代表する遺跡のひとつです。マヤ文明遺跡の代表として、エルサルバドルの紙幣のモチーフにもなっています。1947年には国家歴史記念物にも指定されました。

まるでピラミッドのような構造の建物をメインに、いくつもの建造物が敷地内で発見されています。祭壇や礼拝堂などもあり、マヤ文明が栄えた当時の様子を伝えてくれるでしょう。最古の部分は紀元前6世紀から紀元前3世紀、新しい部分は6世紀から11世紀に建造されました。首都のサンサルバドルにある国立考古学博物館には、タスマル遺跡から出土した「タスマルの聖母」が所蔵されており、博物館の目玉のひとつとなっています。

スタンリー・ボッグス博物館は、そんなタスマル遺跡に付属した博物館です。敷地内の一角にたたずみ、白色と赤色のシンプルな外観が特徴です。内部は白と黒のモノトーンを基調としておりモダンな雰囲気となっています。床に張られた赤色のタイルは、見学気分を盛り上げてくれるでしょう。

博物館の正面には「ラス・ビクトリアスの石」という、オルメカ様式の石の彫刻が展示されています。オルメカ様式はメソアメリカで進化を遂げたスタイルで、各地の建築形式を発展させる礎となりました。ラス・ビクトリアスの石の表面には、神官のようなたたずまいの人物像が彫られており、当時の芸術文化の発展ぶりを伝えてくれます。石の4面には異なる場面が彫られているので、ぜひじっくりと鑑賞してみてください。博物館の目印として覚えておきましょう。

エルサルバドルを観光するなら、ぜひ訪れておきたいタスマル遺跡とスタンリー・ボッグス博物館。博物館の見どころは、いったいどのようなものなのでしょうか。主要な作品を紹介します。

(※画像はイメージです)

スタンリー・ボッグス博物館の見どころ

スタンリー・ボッグス博物館には、タスマル遺跡から出土した歴史的な品々が所蔵されています。お皿やコップなどの器、遺跡の様子を撮影した写真、ヒスイのような透明感ある宝石を使用した華やかなアクセサリーなど、マヤ文明の生活様式を如実に知ることができる展示品が充実しています。

(※画像はイメージです)

器の展示は、特に当時の暮らしぶりがわかるコレクションとなっています。お椀のような小さな器や平たく大きなお皿、壺のように深く丸い器や取手が付いた鍋、大きな持ち手が付いたコップや艶やかな色合いの壺など、バリエーションも豊富です。赤色の装飾が施されたものが多く、とても印象的でしょう。

透明感のあるアクセサリーには、人々を模したものや動物をイメージしたものなどがあります。ヒスイのようにあざやかな緑をたくわえた色合いは、見る者を魅了するでしょう。繊細に彫られた宝石の表面からは、当時の深い美意識が伺えます。

(※画像はイメージです)

シペ・トテック神の彫像のレプリカ

シペ・トテック神は、アステカ神話で穀物の神様とされています。博物館で展示されているのはまるで土偶のような形をした彫像で、指の細かいところまで入念に彫られています。顔は空を見上げており、その表情は祈りを浮かべるように静かです。大きな鼻や耳はデフォルメしたものでしょうか、どこか可愛らしい印象を抱きます。服の質感や足に履いたサンダルのような履物まで、職人の技術の粋を結集したであろう細部の表現は、必見といえます。

(※画像はイメージです)

ヒスイの装飾具

スタンリー・ボッグス博物館のなかでも特殊な展示が、ヒスイの装飾具です。男性の上半身を再現したマネキンに、ヒスイを使用した装身具が付けられており、どのように使用されていたかを目で見て知ることができます。ユニークな鼻輪や頭に被った華やかな帽子は、マヤ文明時代の伝統的な衣装でしょうか。帽子はたっぷりの羽のようなものと、陶器のアクセサリーが目を引きます。たくましい男性像をベースに、華やかなヒスイのアクセサリーは一層際立っています。

ほかではあまり見られないリアルな展示方法です。耳や首元、腕や手首など、まさに全身にわたって装飾具が付けられています。豪華な装飾なので、おそらく貴族階級のものでしょう。

おわりに

エルサルバドルにある、タスマル遺跡とスタンリー・ボッグス博物館の歴史やコレクションを紹介してきました。複数の建造物があるタスマル遺跡は隅々まで見どころが豊富です。併設された博物館では、出土した貴重なコレクションが公開されています。遺跡から出土した器やアクセサリー、彫像など、マヤ文明の歩みを伝えるさまざまなコレクションに、ぜひ目を通してみてください。

スタンリー・ボッグス博物館があるエルサルバドルには、ほかにもたくさんの遺跡があります。ホヤ・デ・セレン遺跡はエルサルバドルで初めての、そして唯一の世界遺産として知られています。タスマル遺跡からは約50km、車でおよそ1時間の距離にあります。熱い火山灰に埋まっていたため建物の保存状態もすばらしく、約1400年前の暮らしぶりを如実に知ることができるでしょう。エルサルバドルを訪れたらぜひ、タスマル遺跡とスタンリー・ボッグス博物館に足を延ばしてみてください。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

関連記事一覧