ブータン織物博物館:伝統文化の織物を展示した博物館

「世界一幸せな国」ブータンにあるのが、ブータン織物博物館です。テキスタイルアカデミーと同じ建物の中にあり、ブータンの伝統的な織物の歴史やコレクションを公開しています。白くモダンな建物には独特の模様が描かれ、訪れる人々を魅了するでしょう。館内では職人による織物の実演が行われており、制作された作品の数々は併設のショップで購入できます。ブータンのお土産探しにもおすすめの場所です。ブータン織物博物館の歴史や見どころを紹介します。

ブータン織物博物館とは

ブータンは南アジアに位置する国です。インドと中国に国境が接する内陸国で、ときに「世界一幸せな国」とも称されています。7,000mを超える山脈に恵まれたブータンは国土の約70%が自然に覆われ、穏やかな空気が満たされた地域です。信心深い仏教徒が多く、なかには毎日のように長時間お祈りをする人々もいます。その熱い心は、ブータンの幸せの秘密といえるでしょう。

首都のティンプーは、国土の中央西側に位置するブータン最大の町。ティンプーでは法律によって伝統的な様式の建物以外の建造が禁止されています。そのため、長く伝わるブータンの伝統的な街並みが楽しめるでしょう。そんなティンプーの一角に博物館はあります。ブータンのテキスタイルアカデミーと同じ建物内にあり、2013年に現在の場所に移転してきました。

白色を基調とした明るい外壁と華やかな柄で装飾された窓枠。大きなガラス窓は、ほかの建物にはないモダンな印象を与えます。伝統的な建築様式を踏襲しながらも、どこか先進的な印象を受けるでしょう。黄金のプレートに刻まれた「TEXTILE MUSEUM」の文字が、ブータンの伝統たる織物文化の重さを象徴しています。また、中庭からは鳳凰のような柄を描いた別の装飾が目に入ります。赤と青をベースにした模様は生き生きとしており、とても明るく華やかです。

館内に入るとまず天井の高さに驚くでしょう。外観から見た通り館内は採光性が高く、とても明るく開放的な空間です。展示スペースに進むと、ブータンの伝統的な模様を使った布や衣装などのコレクションに魅了されるでしょう。獅子をモチーフにしたものや仏像を描いたものなど、ブータンの文化を反映した世界観にグッと引き込まれるはずです。

モダンな建物に広がるブータン伝統の文化、博物館内ではいったいどのようなコレクションが公開されているのでしょうか。

ブータン織物博物館の見どころ

博物館内で公開されているのは、ブータン伝統の織物コレクションが主です。また、職人による織物の実演もおこなわれています。ブータンの伝統的な衣装は、男性用は「ゴ」、女性用は「キラ」と呼ばれており、お祭りなどのイベント時にはこれらの晴れ着を身につけて、それぞれの時間を過ごすことが風習となっています。制作物のなかには希少価値が付き、驚くほどの値段が付いたものもあるそうです。それだけの手間がかかるのでしょう。

(※画像はイメージです)

館内では、そんなブータンの伝統衣装を着る際の様子を収録した映像が上映されています。展示だけでは知ることができない、実際の着方や着た後の様子を知ることができるでしょう。マネキンに着せられた衣装は、素朴な色使いながら華やかな模様が目を引きます。

仏陀を中心に描かれたテキスタイルは、博物館を代表する展示のひとつです。仏陀の背景には動物をモチーフにした神々が描かれ、その背後には十数人を数える仏の姿が描かれています。明確で明るい色使いはほかの作品にはない特徴です。見上げるほどの大きさで、壁に堂々と掲げられています。細かな描写はまるで絵画のような驚きを与えてくれるでしょう。

ここからは、ブータン織物博物館のなかでも特に主要な見どころを紹介します。

(※画像はイメージです)

手織りの実演

手織り用の織り機が並べられたフロアでは、職人がひとつひとつの作品を手作りで制作している様子がみられます。正面に張られた糸のスキマを、専用の器具を使って縫い上げていく様子は圧巻です。歩みはゆっくりですが、しかし確実にすばらしい模様ができあがっていきます。ひとつひとつの動きにムダはなく、また正確です。ブータンの伝統衣装に込められた情熱と手間暇が垣間見えるでしょう。職人の目つきは厳しい一方で、優しさも兼ね備えています。

ブータンの伝統的な織物は、現代的なシンプルな織物の台頭によって急速に失われているそうです。博物館でみられる職人技は、ブータンを代表する貴重な資産ともいえるでしょう。職人たちは伝統的な織物文化の伝え手としての立場も担っているのです。古くから伝わるブータンの伝統を、ぜひ実演を通して感じてみてください。

男性用の絹の織物

はんてんのようなゆったりとした男性用の絹の織物は、20世紀後半に制作されました。オレンジ色の生地に何色もの色を使った装飾が施されており、華やかさは抜群です。織物博物館で人気の展示のほか、日本など海外でおこなわれる展覧会でも披露されたことがあります。絹を素材に使っているため、肌触りは至高でしょう。ブータンの織物の歴史を伝える、貴重なコレクションとなっています。

おわりに

ブータンの首都ティンプーにあるブータン織物博物館の歴史や見どころを紹介してきました。ブータンの伝統である織物文化を、豊富なコレクションと職人による実演を通して体感してみてはいかがでしょうか。建物内にはギフトショップも併設されており、施設で制作された生地や服を購入することもできます。とてもカラフルな装飾がされた靴もあるので、ぜひのぞいてみてください。ブータン土産を探すにもおすすめの場所です。

博物館があるティンプーには、ほかにも見どころが豊富にあります。メモリアル・チョルテンは、「近代ブータンの父」と呼ばれた第3代国王ジグミ・ドルジ・ワンチュクに対する尊敬を込めて建造された仏塔です。1974年に建造されてから、祈りの対象としてブータンの人々に愛され続けてきました。3階建ての建物内では仏画や仏像、立体の曼荼羅(まんだら)などの貴重な展示品に出会えます。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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