ラテンアメリカ芸術博物館:南米有数のモダンな現代美術館

南アメリカの国アルゼンチン、その首都ブエノスアイレスにあるのがラテンアメリカ芸術博物館です。アルゼンチンをはじめ、ブラジルやコロンビアなど、ラテンアメリカの現代芸術家の作品を中心としたコレクションを公開しています。四角い形状のモダンな建物も注目でしょう。南米のパリと称されるブエノスアイレスでも、ぜひ訪れておきたいスポットのひとつです。アルゼンチンにあるラテンアメリカ芸術博物館の歴史やコレクションを紹介します。

ラテンアメリカ芸術博物館とは

ラテンアメリカ芸術博物館があるのは、南アメリカで二番目の国土の広さを持つ国アルゼンチンです。アルゼンチンは豊かな自然と先史時代までさかのぼる遥かに長い歴史が知られている国。ユネスコ世界遺産に認定された物件も多く、南アメリカ屈指の観光大国としての地位を確立しています。首都のブエノスアイレスは、ほかの国にはないヨーロッパ調の街並みが魅力の大都市。傑作と称される美しいメトロポリタン大聖堂など、見どころも豊富な人気の街です。

ラテンアメリカ芸術博物館があるのは、そんなブエノスアイレスで最大の地区・パレルモ地区です。パレルモ地区は高級住宅街として知られ、洗練されたバーやブティックショップ、カフェやレストランが連なるブエノスアイレスの流行の発信地として認識されています。そんなパレルモ地区に溶け込むようにたたずむ博物館は、略称MALBAと呼ばれ、愛され続けています。

博物館はブエノスアイレス出身の著名なビジネスマン・エドゥアルド・コスタンティーニによって、2001年に創設されました。創設以降多くの美術愛好家からの支持を集め、現在は年間100万人以上が訪れる、国内屈指の人気施設にまで躍進しています。四角く茶色い外観の建物は、とてもモダンな印象を与えるでしょう。正面には略称である「MALBA」の文字が輝いており、博物館の存在感をより一層高めています。芸術的なデザインはそれ自体が見どころでしょう。

博物館内は大きなガラスからたっぷりの自然光が入り込み、とても明るく開放的です。天井は吹き抜けになっており、まるで屋外にいるかのような暖かさを感じるでしょう。建物の二階は常設展、三階は時期によって異なる特設展の会場として公開されています。博物館では、展示を通して地域圏の芸術家や一般の人々に対する啓蒙活動を、積極的におこなっているのだとか。南米有数のコレクションを通して、訪問者は自分の感性と向き合うことになるでしょう。

建物自体も見どころたっぷりのラテンアメリカ芸術博物館では、いったいどのようなコレクションが楽しめるのでしょうか?次章では、その内容を紹介していきます。

ラテンアメリカ芸術博物館のコレクション

ラテンアメリカ芸術博物館で所蔵しているコレクションの中心は、20世紀初めから現代にかけての現代芸術品です。アルゼンチンをはじめ、ブラジル、コロンビア、コスタリカなど、特にラテンアメリカの現代芸術作品とじっくりと向き合えるでしょう。展示しているコレクションは、絵画はもちろん彫刻やインスタレーションまで多岐にわたります。

メキシコを代表する画家フリーダ・カーロ、もっともコロンビアらしいと称される芸術家フェルナンド・ボテロ、特に壁画の評価が高く、自身の名前を冠した美術館や博物館がいくつもあるディエゴ・リベラなど、歴史にその名前を刻んだ巨匠の作品も多数所蔵しています。

ここからは、ラテアメリカ芸術博物館の主要なコレクションを紹介します。

《チャンゴとオウムとの自画像》1942年フリーダ・カーロ

チャンゴとオウムとの自画像は1942年、メキシコを代表する現代画家フリーダ・カーロによって制作された作品です。

(Public Domain /‘Frida Kahlo’by Guillermo Kahlo. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

フリーダ・カーロは現代のメキシコを代表する存在として認識されている画家です。幼少期に父親から絵画の手ほどきを受けたカーロは、1925年に遭遇した事故によって入院を余儀なくされました。そのときに退屈を紛らわすためにはじめた絵画が、画家としての人生の始まりといわれています。カーロは200点に及ぶ作品を制作していますが、そのモチーフの多くは自画像でした。自分自身を描くことで、ひたすら自分という存在に向き合っていたのでしょう。

本作品は穏やかな黄色の背景に葉のモチーフが描かれ、その前面にカーロの自画像が描かれています。髪を頭の上で結ったカーロの表情は、どことなく凛々しい印象を覚えるでしょう。視線は一心に正面に向けられており、その瞳には力強い意思が燃えるように表現されています。一緒に描かれたサルとオウムは画面に優しい印象を与え、どこか南国然とした雰囲気を醸し出しています。この作品を見るために訪れる人がいるほどの、博物館を代表する傑作です。

《アバポル》1928年タルシラ・ド・アマラル

アバポルは1928年、ブラジルの画家タルシラ・ド・アマラルによって制作された作品です。

(Public Domain /‘Tarsila do Amaral’by Unknown author. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

タルシラ・ド・アマラルはブラジル出身の画家です。サンパウロで絵画の技術を学んだアマラルは、ラテンアメリカのモダニズムを大きく前進させた立役者として知られています。アマラルの築いた独自のスタイルは、ラテンアメリカの現代芸術を語る上では欠かせないでしょう。

本作品・アバポルは「食人」と訳せる画家の代表作のひとつです。空と太陽、サボテンが描かれた背景はどこか牧歌的な雰囲気が漂います。その前面には画面を埋めつくさんばかりの巨大な体を持った巨人が描かれ、どこか宇宙のような世界観を生み出しています。本作品はアマラルが夫の誕生日に贈った作品でもあり、この作品をきっかけに大きなムーブメントを引き起こすことになりました。画家の経歴を語るには外せない、現代芸術を代表する作品です。

おわりに

アルゼンチンにあるラテンアメリカ芸術博物館の歴史やコレクションを紹介してきました。モダンな建物はとても開放的で明るく、鑑賞気分を盛り上げてくれるでしょう。館内にはカフェや映画館、ミュージアムショップが併設されています。特にミュージアムショップは訪れた人たちが口々に絶賛するほど、洗練されたグッズが販売されています。陶器やアクセサリーなど、センスよい品々を購入してみるのもおすすめの楽しみかたです。

また、常設展のほか期間限定の特設展も注目でしょう。過去にはアメリカの写真家シャンディ・シャーマンの企画展などが開催されています。時期によって異なる展示を目的に、訪れてみるのもよいでしょう。

アルゼンチンのブエノスアイレスは博物館のほかにも観光名所が充実しています。世界三大劇場にも数えられるコロン劇場は、1908年に完成した歴史的建造物です。ブエノスアイレスの目抜き通り・7月9日通りに面して建てられているので、ぜひ訪れてみてください。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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