ラホール博物館:パキスタン最大規模の美しい博物館

パキスタンのラホール博物館は国内最大規模を誇る博物館です。所蔵しているコレクションは多岐にわたり、伝統的な楽器や斧や剣などの武器類、ガンダーラの仏教芸術作品などが主要な部分です。特にガンダーラ芸術の最高峰ともいわれる「断食する仏陀」の像は、博物館屈指のコレクションとして注目を集めています。館内を見学することで、パキスタンの歴史と芸術分野への造詣を深めることができるでしょう。ラホール博物館の歴史や見どころを紹介します。

ラホール博物館とは

ラホール博物館があるのは南アジアの国パキスタンです。パキスタンはインドや中国、アフガニスタンなどの国々と国境を接した多様性が溢れる国。発祥を紀元前までさかのぼるインダス文明に起源を持つ、歴史ある場所です。博物館があるラホールは、そんなパキスタンで第二の人口規模を持つ巨大な街です。世界で五番目の大きさを誇るモスク、バードシャーヒー・モスクや、世界遺産のラホール城塞など、観光名所も多数ある国内屈指の観光都市でもあります。

ラホール博物館は1894年に開館した国内最古の博物館です。また、規模としても国内最大を誇っています。赤色のレンガを贅沢に使った建物は、まるで宮殿のような堂々たるたたずまい。古さはまったく感じさせずむしろモダンな雰囲気が漂っています。この建物自体も博物館の代表的な見どころといえるでしょう。入場口の門は白く、色のコントラストも見事なものです。

館内の撮影は有料ですが可能です。もし希望があれば、チケット購入時にスタッフに相談しましょう。館内は広く、隅々まで丁寧に整頓されています。展示されているコレクションはそれぞれのテーマごとにわけられており、頭を整理しながら見学を進めることができるでしょう。

ラホール博物館の見どころ

ラホール博物館が所蔵しているコレクションは多岐に及びます。紀元前にさかのぼるインダス文明の出土品や古代王国ガンダーラの仏教芸術作品、シルクロードの交易品などが主要なところでしょう。パキスタンの伝統的な楽器や王族が身につけていた衣装や靴のコレクション、イスラム建築で使用される青色のタイルなど、ここで挙げきれないほどに種類豊富な所蔵品を展示しています。斧や剣、弓矢などの武器類や肖像画の数々も、重要なコレクション内容です。

ガラスに覆われ壁に架けられた巨大な象牙は、博物館の見どころのひとつです。鋭く尖った像の牙からは、野生の動物が持つあまりある脅威が感じられます。子供の背丈ほどもある圧倒的な迫力に、驚くことは間違いないでしょう。中東の伝統的な工芸品であるペルシャ絨毯は、現在も高価な値段で取引されています。博物館にはこのペルシャ絨毯も展示されており、繊細な模様と数多ある色のバリエーションに圧倒されるでしょう。まるで宝石のような美しさです。

パキスタンの起源ともされるインダス文明の出土品には、動物を模した彫像があります。しかし見た目には不揃いで、作品によっては何をイメージしたのかわからないものもあります。インダス文明の芸術への関心は、そう高くなかったのかもしれません。対してガンダーラの仏像は凛々しく、また力強い印象を与えるものばかりです。ガンダーラの美術はギリシャやペルシャ、インドの影響を受けて洗練を重ね、特に仏教に関する芸術の美しさは随一といいます。

このように、展示から時代背景を読み取ってみるのも、博物館の楽しみかたのひとつといえます。ひとつひとつの作品に込められた意図や背景を、ぜひ考えてみてください。ここまでに紹介してきたように、多岐にわたるコレクションを所蔵したラホール博物館。ここからは、そのなかでも特に主要な見どころを紹介していきましょう。

チェスのセット

純白の駒と盤を含んだチェスのセットは、どこか東洋の雰囲気を持ったコレクションです。果たしていつの時代にパキスタンにもたらされたものなのか、モンゴルの民族衣装のような服を身につけたチェスの駒からはたしかな職人のこだわりが感じられます。古くからチェスのセットを通して、知的なやりとりをしていたのでしょう。当時の状況がありありと想像できます。

断食する仏陀の像

断食する仏陀の像はラホール博物館のハイライトともいえる作品です。2世紀から3世紀に制作されたと推察されており、その完成度の高さからガンダーラ美術の最高峰と称されています。

黒を基調とした仏陀の像は目が落ちくぼみ、まるで屍のようにただそこに座っています。肋骨や血管は浮き出ており、今にも命の鼓動が聞こえてきそうです。体に張り付くように表現された筋肉の質感は、まるで本物の人間そのものです。傑作と賞賛される理由がわかるでしょう。

同じくパキスタンにあるペシャワール博物館にも、同じ題材を用いた仏像があるのだとか。サイズは70cmから80cmと大きくはないですが、その大きさ以上の圧倒的な迫力を兼ね備えています。静かに瞑想を続ける仏陀は、もはや空腹すらも超越したのでしょうか?博物館にはほかにも「金箔と漆の仏陀」など、ブッダをモチーフにした作品がたくさんあります。制作された年や地域によっても印象が大きく変わりますので、その違いを比べてみるのもおすすめです。

おわりに

パキスタンにあるラホール博物館の歴史やコレクションを紹介してきました。国内最大かつ最古の博物館は、まず建物そのものがひとつの作品となっています。宮殿のような美しいたたずまいに、ぜひ魅了されてみてください。広大な館内ではパキスタンの歴史にまつわる展示から、仏教に関する展示、伝統的な絨毯なども展示されています。どれもこれも見逃せない、珠玉のコレクションばかりです。時間に余裕を持って、じっくりと楽しんでみてください。

パキスタン屈指の観光都市、ラホールは博物館以外もスポットが充実しています。現地の人々からは「王の城」と呼ばれ親しまれているラホール城塞や、水路が連なる美しい空間シャーラマール庭園はその筆頭候補でしょう。どちらもユネスコ世界遺産に認定されている、歴史的な名所です。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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