軍事博物館:博物館で巡るネパールの軍事史

軍事博物館はネパールの軍事にまつわる歴史を展示した施設です。国立博物館の向かいに位置する博物館では、特にネパールの部族間による争いの歴史を知ることができるでしょう。バリエーション豊富な軍服のコレクションから、重々しい雰囲気を持った銃器や兵器まで、幅広い所蔵品を公開しています。屋外には軍用機や戦車などの重兵器が展示されており、その迫力には目を見張るでしょう。ネパールにある軍事博物館の歴史や見どころを紹介します。

軍事博物館とは

軍事博物館があるのは南アジアの内陸国ネパールです。ヒマラヤ山脈の最高峰エベレストの玄関口として、世界中の登山家から熱い視線を集めている国。さまざまな民族が暮らすネパールは多様性に溢れ、国土に広がる多くの寺院は異国情緒を感じさせるでしょう。首都カトマンズは国内最大の街であり、かつてはヒッピーのメッカとして大勢の人々が立ち寄っていました。現在はバックパッカーの聖地ともいわれ、世界中の旅人が立ち寄り、また魅了されています。

軍事博物館があるのはそんなカトマンズの一角です。まるで貴族の邸宅のような、赤いレンガ造りが特徴でしょう。門は固く閉ざされており、一見して重々しい雰囲気が漂っています。門を潜って左側にはチケット売り場があります。支払いをすませたら、そこで一緒に荷物も預けましょう。カメラの持ち込みは有料になるので、チケット購入時に一緒に申し出てください。

館内で展示されているのは、ネパールの軍事に関する歴史やコレクションです。ネパールの土地では4世紀に成立したリッチャヴィ朝や、9世紀に勃興したデーヴァ朝、13世紀末に興ったマッラ朝など、歴史とともに新しい王朝が生まれてきました。また、中世には3つの王国が並立するなど、多様な文化が生まれる環境にありました。18世紀、19世紀には清・ネパール戦争やグルカ戦争など、国家間の戦争も勃発しています。その歴史は軍事の歴史ともいえるでしょう。

ネパールの軍事の歴史を展示した軍事博物館のコレクションとは、いったいどのようなものなのでしょうか?

軍事博物館の見どころ

軍事博物館に展示されているのは、ネパールで使用された銃器や戦車などの重兵器、バリエーション豊富な軍服などのコレクションです。銃器の展示は壁に架けられた小さな銃から肩にかけて使用するであろう大型の機関銃、大きな台座に設置された巨大なものまでさまざまです。対空用の砲台は、黒々しく重々しい雰囲気をたたえています。砲身は空に向けられており、今まさに弾丸が発射されるかのような状態です。その圧倒的な迫力には、目を見張るでしょう。

戦闘中に使用されたであろう手持ちの大きな旗は糸がほつれており、戦いの激しさを物語っています。同じく展示された笛やトランペットは、戦場で合図を送るために使用されたものでしょうか?ところどころ錆びた楽器の数々は、戦場の厳しい状況を語る代弁者のようです。ネパールの国旗を含んだ大量のワッペンは、デザインも色使いもさまざまです。これらのワッペンを胸に付け、大勢の人々が戦闘に臨んだのでしょうか?想像すると胸が熱く痛むでしょう。

また、豪華できらびやかな衣装をまとった人々の肖像画は、時代を代表する権力者や国王の姿を描いたものでしょう。民衆のそれとは一線を画す華やかな衣装は、彼ら彼女らの当時の権力を雄弁に物語っています。パネルの下にはそれぞれ詳細な解説文が書かれていますので、当時の情勢を知ることもできるでしょう。ネパールの時代を学ぶにも最適の展示となっています。

ここからは、軍事博物館のなかでも主要な見どころを紹介しましょう。

戦闘の様子が再現されたジオラマ

迷彩服を着て空を見上げる軍人や、車に乗って正面を一心に見つめる軍人など、博物館内では戦闘時の様子を再現したジオラマが公開されています。背景画にはいくつかの戦闘機と、戦闘機に向けられた砲台が描写されています。再現された状況は、今まさに戦闘機を撃墜しようと弾丸を発射する間際の瞬間でしょう。戦場のリアルな迫力がひしひしと感じられるはずです。

軍服のコレクション

軍服のコレクションは代表的な迷彩柄のものからフォーマルな雰囲気のものまで、種類豊富に展示されています。赤色や緑色、尊厳がありそうな白色まで、デザインや素材まで多種多様です。なかには軍服にみえないようなオシャレかつモダンなデザインもあります。すべての軍服はマネキンに着せられているので、ショールームのような空間で展示を楽しむことができるでしょう。余談ですが、軍事博物館で働くスタッフも迷彩柄のユニフォームを着用しています。

戦車などの軍用兵器

博物館の屋外には戦車や軍用機などの軍用兵器が展示されています。赤い六芒星をシンボルにした軍用機はイギリス製のもので、ショート・スカイバンと呼ばれています。戦場では空挺として輸送機として使用されていました。巨大なバネとタイヤを装備した戦車のような車は、機動性に長けていたのでしょう。こちらは1960年代に製造されたものです。キャタピラを搭載した車両にはブルドーザーのような平らな板が取り付けられており、独特の雰囲気が漂います。

また軍用兵器ではありませんが、展示にはかつての国王が愛用していたロールス・ロイスが含まれています。淡いブラウンが上品なたたずまいの車は、国王が相当に愛していたのだとか。博物館の館内展示は注目ですが、同様に屋外にあるコレクションも楽しんでみてください。

おわりに

ネパールの軍事の歴史を展示した軍事博物館の歴史や見どころを紹介してきました。たくさんの民族が暮らし、またたくさんの文化や言語が根付いたネパールの歴史の背景、そこには戦いの歴史も含まれています。博物館を見学することで、通常の観光ではみられないネパールの新しい側面に気付くことができるでしょう。ネパールを訪れたらぜひ足を延ばしてみてください。

軍事博物館があるネパールの首都カトマンズは、世界遺産にも認定された歴史的な街です。仏塔や寺院など、街を散策するだけで異国情緒に浸ることができるでしょう。なかでもカトマンズの世界遺産「カトマンズ盆地」を構成している重要な寺院・スワヤンブナートは必見です。ネパールで現存する最古の寺院として知られ、高さ15mの仏塔と“ブッダ・アイ”とも呼ばれる目の装飾が大勢の人々を魅了しています。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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