国立考古学民族博物館:グアテマラの考古学と民俗学研究の聖地

中央アメリカに位置するグアテマラにあるのが、国立考古学民族博物館です。マヤ文明の石版や人形、レリーフなど、考古学的な価値の高いコレクションが公開されています。総数25,000点以上になる圧巻のコレクションは必見でしょう。中庭を中心に設計された美しい建物も注目です。この記事ではグアテマラの国立考古学民族博物館の歴史やコレクションを紹介します。

国立考古学民族博物館とは

国立考古学民族博物館があるのは、中央アメリカの国グアテマラです。グアテマラは中央アメリカの北部に位置する共和制国家で、カリブ海と太平洋に面しています。メキシコを除くと中央アメリカでもっとも人口が多い国で、世界的なコーヒー生産国として名を馳せています。

首都のグアテマラシティは国内最大の街で、中央アメリカ全体でも屈指の発展を遂げた先進的街です。国立考古学民族博物館は、そんなグアテマラシティに1898年に設立されました。設立後何度か立地を変え、1946年に現在の建物に移転しています。オレンジ色をベースに白のアクセントカラーが入った優雅な建物は、博物館の特徴でしょう。中央にある中庭を中心に、囲うように展示スペースが展開しています。

博物館で楽しめるコレクションは、主にマヤ文明に関する品々です。メキシコやグアテマラ、ベリーズなどの地域一帯に栄えたマヤ文明は、象形文字であるマヤ文字を有するなど、高度に発展した文化を形成していました。高度な技術を駆使したピラミッドや神殿など、遺跡として残されている建物からは、マヤ文明の発展ぶりが伺えるでしょう。グアテマラ観光には必ずといってよいほど、マヤ文明の遺跡が欠かせません。

国立考古学民族博物館のコレクション

国立考古学民族博物館には、マヤ文明の貴重な出土品のコレクションがあります。約2万点の考古学的な出土品と約5千点の民俗学的なコレクションは、博物館の見どころとなっています。

マヤ文明の土器を展示したコーナーでは、赤色のあざやかな装飾が施された器の数々が公開されています。大きなお皿や王様が食事をする際に使用していたとされる土鍋、神様のモチーフが彫られたお皿や動物の姿を模した香炉などもあります。現在とあまり変わらない美しい見た目からは、マヤ文明の技術の高さが伺えます。

博物館に入ってすぐに展示されている石版には、マヤ文明の文字・マヤ文字が彫られています。表面は碁盤状に区切られており、それぞれのスペースに異なるモチーフが施されています。伝統的な模様の数々は、マヤ文明の芸術性を伝えてくれるでしょう。隅に彫られた人物像は、展示されている2枚の石版それぞれに配置されています。向かい合うように刻まれた人物像は王様のような荘厳な衣装を身につけているため、人物の権威を表現しているのでしょうか?

マヤ文明の伝統を伝えるように展示されている人形は、さまざまな種類があります。祈りを捧げる人、楽器を演奏する人、凛々しい表情を浮かべた戦士、上流階級であることを感じさせる豪華な髪飾りを身につけた人など、細部にわたるこだわりが光る人形は必見でしょう。人物像のほか、壺などの装飾品や、カエルなどの動物も再現されています。

紙に描かれたマヤ文明の神々の姿は、当時の信仰の様子を伝えてくれるでしょう。絵が描かれた手紙のようなものもあり、博物館の貴重なコレクションとなっています。また、カミナルフユやティカルなど、グアテマラを代表する遺跡を特集した展示室もあるので、ぜひ見学してみてください。

ここからは、博物館の展示のなかでも主要な見どころを2点ご紹介します。

エル・ペルー遺跡から出土したレリーフ

エル・ペルー遺跡は高さ100mの断崖絶壁にそびえる遺跡です。その遺跡から出土した石のレリーフには、職人技としか思えない細やかな装飾が施されています。人の顔や王の横顔、アクセサリーや仮面など、多種多様なモチーフには息を飲むでしょう。石の隅々まで丁寧に彫られており、まるで神様のような神々しさすら感じます。

博物館に展示されているのはレプリカですが、それでもレリーフの精巧さと神秘的な雰囲気は十分に感じとれるでしょう。

ジャガー人間像

幼児のような姿をしたジャガー像は、ガバッと大きく開いた動物のような口が特徴です。目は重たく腫れているかのようにぼってりとしており、手を体の正面で組み、堂々の存在感を放っています。どことなく不気味な印象を覚えるかもしれません。頭が大きく、全体を見るとアンバランス感は否めないでしょう。その特異な形状から、ベビーフェイスとも称されています。

ジャガー人間像は、紀元前1200年から紀元前400年にかけて栄えたといわれるオルメカ文明からの出土品です。オルメカ文明はメソアメリカの母文明ともいわれています。アメリカ大陸で最初に誕生した文明ともいわれており、未だに謎も多いのだとか。

ジャガーをモチーフにした石像が多く出土しているため、オルメカ文明ではジャガー信仰の文化があったといわれています。キュッと「へ」の字に結ばれた唇からは、どこか確固たる決意のようなものを感じるでしょう。サイズとしては小さめですが、ジャガー像が放つ存在感は博物館でも屈指のものです。

おわりに

グアテマラシティにある国立考古学民族博物館の歴史やコレクションを紹介してきました。グアテマラに根付いたマヤ文明にまつわる歴史を、豊富な所蔵品や遺跡からの出土品から知ることができるでしょう。考古学に興味がなくても、夢中になること間違いなしです。ヒスイを使った美しいアクセサリーや遺跡にまつわる資料や展示品など、グアテマラの古代の遺跡に浸る旅ができるはずです。ぜひ、古代文明の神秘のロマンに浸ってみてはいかがでしょうか?

また、グアテマラシティには国立考古学民族博物館と併せて訪れておきたい博物館があります。マヤ文明の歴史を展示したポポル・ブフ博物館には、陶器のコレクションが充実しています。考古学民族博物館とはまた違った角度から、マヤ文明の真実に迫れるでしょう。鉄道博物館では、グアテマラの蒸気機関車や鉄道に関するコレクションが充実しています。見どころが豊富なグアテマラシティ。グアテマラを訪れたら、ぜひ足を延ばしてみてください。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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