国立視覚美術館:ウルグアイの代表画家の作品を展示した美術館

ウルグアイの著名なアーティストの作品を所蔵しているのが、国立視覚美術館です。赤、青、黄色のパネルが目を引く外観はとても印象的。広大なロドー公園の一角にたたずむ美術館は、国内屈指の充実したコレクションを公開しています。ラファエル・バラーダスやペドロ・フィガリなど、特にウルグアイの巨匠の作品とじっくりと向き合えるでしょう。また、時期ごとに異なる特設展も注目です。この記事では国立視覚美術館の歴史やコレクションを紹介します。

国立視覚美術館とは

国立視覚美術館があるのは、南アメリカの国ウルグアイです。ウルグアイは南アメリカの南東部、ブラジルの南に位置する国です。大西洋に面しており、小規模な国ながら南米で屈指の生活水準の高さを誇る国として知られています。スペインやイタリアからの移民が多く、多様性に溢れていることも特徴でしょう。

首都のモンテビデオにあるロドー公園。その敷地内に国立視覚美術館はあります。ウルグアイの文学者エンリケ・ロドーの名前を冠した公園には博物館のほか遊園地や野外劇場もあり、特に夏場は多くの人たちで混雑します。博物館を訪れる前に、散策してみるのもおすすめです。

そんなロドー公園に国立視覚美術館が開館したのは、1911年のことです。ウルグアイで最大の芸術作品のコレクションを揃えた美術館は、開館以来モンテビデオの観光名所のひとつとして人気を博してきました。青、赤、黄のパネルが取り付けられたカラフルな外観は、美術館のアイコンとなっています。華やかな色使いは、遠目にもその存在が分かるほど目立っています。

美術館では常時開催されている常設展のほか、時期によって異なる特設展も開催されています。特設展は主に国外のアーティストに焦点を当てて開催され、これまでにピカソやシャガール、ミロなど、世界的な知名度を誇るアーティストのための展覧会を開いてきました。今後の開催スケジュールにも注目でしょう。

建物や時期によって異なる特設展も注目の国立視覚美術館では、いったいどのようなコレクションが楽しめるのでしょうか?

(Public Domain /‘Rafael Barradas’by Unknown author. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

国立視覚美術館の常設展では、主に19世紀以降のウルグアイを代表する芸術家の作品を公開しています。初期モダニズムを代表する画家ペドロ・フィガリ、ウルグアイの紙幣に肖像が描かれたこともあるホアキン・トーレス・ガルシア、スペインの抽象彫刻家パブロ・セラーノなど、ここでしか見られない作品も多数所蔵しています。

また、美術館を訪れたら必ずチェックしておきたいアーティストが、ラファエル・バラーダスです。バラーダスはスペインを拠点に活躍したウルグアイの画家で、グラフィック・アーティストとしてのキャリアも築いてきました。1890年に生まれたバラーダスは幼少期から芸術に興味を示し、知識の多くを独学で学んでいったといいます。1919年にスペインのマドリードでスタジオを開設、1928年に故郷であるウルグアイに戻り、人生の最後を迎えました。

美術館ではバラーダスの作品を多数所蔵し公開しています。独特の角ばった表現は、バラーダスの個性の象徴でしょう。美術館を訪れたら、ぜひその作品の数々に注目してみてください。

ここからは国立視覚美術館のコレクションのなかから、特に主要な見どころを紹介します。

《ピクニック》1925年ペドロ・フィガリ

ピクニックは1925年、ウルグアイの画家ペドロ・フィガリによって制作された作品です。

ペドロ・フィガリはウルグアイの初期モダニズムを代表する画家です。自身の経験や記憶を元にした独自のスタイルを形成し、特にラテンアメリカの芸術界に大きな影響を与えてきました。独特の柔らかなタッチは、フィガリ独特の表現方法が大いに反映されています。

本作品・ピクニックは、画面上部の半分以上が空の描写に捧げられています。空のような自由さを感じる一方で、海のような深淵性も同時に感じるでしょう。芝生のような緑の地面には大勢の人々が描かれており、水色やピンク色など、カラフルな衣装をまとった人々が和やかな時間を過ごしています。右側には馬車のようなものや馬の姿もみられるため、人々は上流階級の出身なのかもしれません。画面に世界の広がりを閉じ込めた、美術館屈指の名作です。

《宇宙記念碑》1938年ホアキン・トーレス・ガルシア

宇宙記念碑は1938年、ウルグアイ出身の著名な芸術家ホアキン・トーレス・ガルシアによって制作されたオブジェです。

ホアキン・トーレス・ガルシアはモンテビデオに生まれ、幼少期を過ごしました。17歳のときにスペインに移住し、同世代のパブロ・ピカソとも交流があったといわれています。画家としての活動以外におもちゃの製造業や出版など、多岐にわたるジャンルで才能を発揮した才人でもありました。ウルグアイの紙幣に肖像画が描かれたこともある、国内きっての著名人です。

本作品・宇宙記念碑は、美術館の庭に設置されたオブジェです。太陽、星、人間など、さまざまなモチーフをレンガの上に描いています。どこか幾何学的な印象があることは否定できないでしょう。世界の広がりや宇宙の神秘を的確に表現しているかのようです。手前にある井戸のようなものは、宇宙への入口を示唆しているのでしょうか?さまざまな解釈が生まれる、議論の余地が残る作品です。

また、美術館ではホアキン・トーレス・ガルシアの絵画も展示されています。《都市景観》は街中をいく電車を中心に、モダンな都市の生活風景を抽象的に表現した作品です。この作品には、スペインを拠点に活躍したスペインでの記憶が大きく反映されているのでしょうか?《インテリア》は1924年に制作された作品で、キュビスムを想起させる描写が用いられています。開いた窓から流れる風、揺らめくカーテン、ソファやテーブルなど日常の風景を描写しています。

おわりに

ウルグアイの国立視覚美術館の歴史やコレクションを紹介してきました。主にウルグアイの巨匠にスポットを当てた充実のコレクションは、ぜひ目を通しておきたい屈指の内容です。豊富な絵画や彫刻の出来栄えに、ぜひ感嘆してみてはいかがでしょうか?また、訪問するときは特設展の内容もチェックしてみてください。運命の出会いがあるかもしれません。

国立視覚美術館のあるモンテビデオには、観光スポットがたくさんあります。特におすすめなのは、豪華絢爛な邸宅を改装して美術館として公開しているタランコ宮殿です。館内では絵画や彫刻、ルイ15世、ルイ16世が使用した家具などが展示されています。美しい建物と一緒に、ぜひ豪華な雰囲気に浸ってみてください。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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