国立美術館:1896年開館の歴史ある美術館

アルゼンチンにある国立博物館は、南米屈指の充実したコレクションを所蔵した美術館です。モネやマネ、レンブラントやクールベなど、世界的な知名度を誇る画家の作品を、惜しげもなく公開しています。オレンジ色の宮殿のような建物自体も注目でしょう。所蔵作品の総数は12,000点を超えており、膨大なコレクションを満喫できます。ブエノスアイレスを訪れたら必見でしょう。アルゼンチンの国立博物館の歴史やコレクションを紹介します。

国立美術館とは

国立美術館があるアルゼンチンは、南アメリカに位置する共和国です。正式名称はアルゼンチン共和国、通称アルゼンチンは、ラテンアメリカでブラジルに次ぐ二番目の面積を持つ巨大な国です。ロス・グラシアレス国立公園やイグアス国立公園など、雄大な自然を誇る世界遺産地区や歴史的な建造物の存在は、古今東西にわたって大勢の人々を魅了しています。首都のブエノスアイレスは「南米のパリ」と称される美しい街で、南米屈指の観光都市となっています。

国立博物館はそんなブエノスアイレスに1896年に創設されました。その歴史と膨大ともいえる質の高いコレクションから、アルゼンチンでもっとも権威ある美術館ともいわれています。オレンジ色で統一された建物はまるでギリシャ宮殿のように堂々として美しく、正面にある円柱の連鎖が芸術感ある空間を演出しています。南米のパリと呼ばれるブエノスアイレスはヨーロッパ調の建物の美しさが有名ですが、そのなかでも博物館の美しさは際立ったものです。

国立博物館は合計3つのフロアに分かれており、展示ホールは39個にもなります。作品は年代と題材によって分けられているため、鑑賞もしやすいでしょう。特に見どころとなっているのは一階の展示で、中世から20世紀までのコレクションが、24個のホールに分けて展示されています。そのうちの8つのホールは20世紀を代表するアルゼンチンの画家のために用意されており、国内の芸術家に対する情熱と尊敬が感じられます。

また、美術館の入場料が無料なことも、特筆すべきポイントでしょう。無料とは思えないようなコレクションの質の高さに驚くはずです。館内の写真撮影が許可されているのも、嬉しいところでしょう。ただし、フラッシュの使用は禁止されているので撮影時は注意してください。

アルゼンチンで屈指のクオリティを誇る国立美術館のコレクション、その内容はいったいどのようなものなのでしょうか?

国立美術館のコレクション

国立美術館の所蔵作品数は12,000点以上と膨大です。そのなかにはアルゼンチンの芸術家をはじめ、世界的な巨匠の作品が多数含まれています。マニエリスム後期の巨匠エル・グレコ、バロック期を代表する画家レンブラント、フランスの写実主義を代表するクールベ、ゴッホと共同生活を送ったことも有名なポスト印象派の画家ゴーギャン、青騎士の活動が有名な抽象絵画の創始者カンディンスキーなど、錚々(そうそう)たる巨匠の作品がじっくりと楽しめます。

ここからは、国立美術館の主要なコレクションを紹介します。

《アルジャントゥイユの橋》1875年クロード・モネ

アルジャントゥイユの橋は1875年、印象派を代表する画家クロード・モネによって制作された作品です。

(Public Domain /‘The Bridge at Argenteuil’by Claude Monet. Image viaWIKIMEDIA COMMONS

クロード・モネはフランスの印象派を代表する画家として知られています。池に浮かんだ睡蓮を描いた「睡蓮」シリーズは、画家の名声を確固たるものにした代表的な作品でしょう。モネは1871年12月にフランスのアルジャントゥイユに拠点を移し、1878年初頭まで、およそ6年の歳月を過ごしました。この期間にモネが制作した作品数は約170点にもなるといいます。

本作品は、モネがアルジャントゥイユに滞在中の1875年に制作されたものです。「川のきらめき」を意味するアルジャントゥイユの美しさを象徴するように、モネは明るい印象を画面に落とし込みました。手前に描かれたたっぷりの草木の先にあるのは、汽車が走る橋の姿です。柔らかく優雅なタッチと世界観は、モネならではの表現でしょう。画家のアルジャントゥイユに対する愛情が伝わってきそうな、博物館を代表する傑作のひとつです。

《嵐の海》1870年ギュスターヴ・クールべ

嵐の海は1870年、フランスの写実主義を代表する画家ギュスターヴ・クールベによって制作された作品です。

ギュスターヴ・クールベはフランスの写実主義を代表する画家として知られる人物です。幼少期から絵を描いて過ごし、学生時代にはルーヴル美術館に入り浸り、過去の巨匠の作品を模写することで技術を磨いていきました。1849年から1850年にかけて描かれた「オルナンの埋葬」は発表当時に大きな非難を浴びた代表作のひとつです。現在はオルセー美術館に所蔵され、賞賛を集めています。

本作品・嵐の海は、クールベが幾度も題材に挙げている海をテーマにした作品です。自然の風景を写実的に捉えた画家の真骨頂が垣間見えるでしょう。激しい嵐に波立つ海の様子を的確に表現しています。博物館にはほかにも「10歳のジュリエッタ」など、クールベの作品が所蔵されています。合わせて鑑賞してみてはいかがでしょうか?

《流れ星》1947年ジャクソン・ポロック

流れ星は1947年、アメリカの画家ジャクソン・ポロックによって制作された作品です。

ジャクソン・ポロックは20世紀のアメリカを代表する画家の一人。アクション・ペインティングと呼ばれる動きを伴ったユニークな作風は、当時大きな旋風を巻き起こしました。ジャクソン・ポロックの作風と作品は後世の画家に大きな影響を残しています。その生涯は映画化もされ、世界の注目を集めました。

本作品・流れ星は、黒の線を中心に構成されたジャクソン・ポロックのユニークな世界観が楽しめる傑作です。画面上を飛び交うように描かれたいくつもの線は、まさしく宇宙を駆ける流れ星そのものでしょう。いくつもの線が混じり合い、またそれぞれの軌道を描く様子は、鑑賞者を独自の世界に引き込みます。本作品からは、まるで宇宙のような広がりが感じられます。

おわりに

アルゼンチンにある国立美術館の歴史やコレクションを紹介してきました。南米屈指の珠玉のコレクションを、ぜひ堪能してみてください。館内では絵画のほか彫刻やスケッチなども公開されています。また、常設展以外に期間限定で開催される特設展もおこなわれていますので、時期による変化も楽しめるでしょう。

国立美術館があるブエノスアイレスは南米のパリと呼ばれるくらいに美しく、また観光名所が凝縮しています。なかでも5月広場は人気の観光スポットのひとつです。広場にはアルゼンチンの大統領官邸もあり、ピンク色の外観から「ピンクハウス」の愛称でも親しまれています。ブエノスアイレスの交通の要所でもあるので、アクセスも容易でしょう。国立美術館をはじめ、見どころ満載のブエノスアイレスへ、ぜひ次回の旅で訪れてみてはいかがでしょうか?

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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