国立歴史博物館:アルゼンチンの歴史をまとめた充実のコレクション

先史時代からの歴史を誇るアルゼンチンの歴史をまとめた施設が、国立歴史博物館です。レサーマ家のお屋敷を改装して造られた博物館は豪華絢爛、白色で施された精巧な装飾が目を引きます。館内ではアルゼンチンの歴史を反映した家具や調度品、硬貨や民族衣装などが公開されており、「独立の父」として知られるサン・マルティン将軍が晩年を過ごした部屋も再現されています。この記事では、アルゼンチンの国立歴史博物館の歴史や見どころを紹介します。

国立歴史博物館とは

国立歴史博物館があるのは、南米に位置する国アルゼンチンです。アルゼンチンは世界第八位の面積を誇る巨大な国で、首都のブエノスアイレスは「南米のパリ」と呼ばれ、ヨーロッパ調の建物と先進的な高層ビルが見事に調和した景観が楽しめます。

博物館があるのは、そんなブエノスアイレスにあるレサーマ公園の敷地内です。レサーマ家の邸宅を改装して開設された博物館は、オレンジ色の外壁と白色の装飾が特徴でしょう。まるで貴族の屋敷を訪れたかのような錯覚を抱きます。入口の門飾りは美しく、庭には巨大な大砲や鐘のオブジェが展示されています。横にあるライオン像の迫力に、驚くこと間違いなしです。

博物館で公開されているのは、主にアルゼンチンの歴史に関するコレクションです。アルゼンチンの歴史は紀元前11,000年ごろまでさかのぼります。パタゴニアにはこの時代に描かれた壁画が残る「手の洞窟」があり、ユネスコ世界遺産に認定されています。その後スペイン植民地時代を経て、独立戦争や内戦が起こった戦いの時代、国家統一を巡る時代など、アルゼンチンは激動の歴史を辿ってきました。博物館では、その歴史の真実に深く迫ることができます。

国立歴史博物館は入場無料なところも嬉しいポイントでしょう。ですが、公開されているコレクションは無料とは思えないくらいに充実しています。博物館ではいったいどのようなコレクションが公開されているのでしょうか?

国立歴史博物館の見どころ

国立歴史博物館で公開されているコレクションのジャンルは多岐に及びます。家具や硬貨、武器や民族衣装、古代文明の出土品など、さまざまな展示品を通してアルゼンチンの歴史を巡ることができるでしょう。

家具のジャンルでは19世紀の優雅な様式の椅子、長く滑らかな曲線を描いた脚が設置されたヴィクトリア調のテーブル、付随するものでは銀器のように輝くインク壺などがあります。硬貨はアルゼンチンの歴史を彩ってきたコレクション、一緒に展示されている武器には金色の華やかな装飾が施された剣や、小さいながらも丹念な装飾がされた銃などがあります。衣装のジャンルには伝統的な民族衣装や兵隊が着るようなフォーマルなものまで、さまざまあります。

館内でもっとも注目を集めているといっても過言ではないのが、独立の父と呼ばれるサン・マルティン将軍が愛用していたサーベルです。滑らかなカーブを描いたサーベルは、黒と金が見事に調和した匠の技が詰まった芸術的な作品です。ガラスケースに入ったサーベルの周囲には厳格な表情をした警備員が立ち、常に厳しい視線を向けています。サン・マルティン将軍はこのサーベルを帯刀して戦場を駆け抜け、死を迎えるまで手放すことはなかったといいます。

ほかにも古代文明の出土品も多数公開されています。ジャンルもさまざまな国立歴史博物館のコレクション。ここからは、そのなかでも主要とされる見どころを紹介します。

1746年に描かれた絵画

16世紀から18世紀のクスコ伝統の様式を用いて描かれた絵画は、博物館で注目の展示品のひとつです。中央の窓のような空間に描かれた女性は、聖母のように神聖な雰囲気をそなえています。背後には渓谷のような荒涼とした空間が描かれ、後方にはお城のような建物が描写されています。周囲には丸い窓のようなものが描かれ、複数の人物が中央の女性像に視線を注いでいるかのようです。天使や修道士など、画面に描かれているのは歴史上の偉人かもしれません。

壁に架けられた絵画からは、当時の信仰の様子が伝わってくるでしょう。あざやかな色使いは、明るい印象を与えてくれるはずです。

サン・マルティン将軍の部屋

ここまでに何度も紹介してきた、アルゼンチン独立の父ホセ・デ・サン=マルティン。サン・マルティン将軍の命日はアルゼンチンの祝日に制定されており、またその肖像は紙幣に描かれています。

(Public Domain /‘Random antique objects with alegoric images of José de San Martín’by Own work. Image viaWIKIMEDIA COMMONS

博物館展示のハイライトのひとつが、そんなサン・マルティン将軍が晩年を過ごした部屋です。アルゼンチンで活躍したサン・マルティン将軍は、晩年をフランスで過ごしました。当時の様子が再現された部屋は白い壁紙や白色の建具が映えるシンプルな空間構成が特徴です。配置された家具は机やベッド、ソファなど最小限に抑えられています。部屋の中央天井からは天蓋のような布が下がっており、空間を彩るアクセントになっていますよ。

ベッドやソファに配された黄色が、空間を華やかなものに変化させています。晩年をこの部屋で過ごした将軍はどんなことを思い、またどのように故郷への思いを馳せていたのでしょうか?さまざまな想像が喚起される、博物館屈指の見どころです。

おわりに

アルゼンチンの国立歴史博物館の歴史や見どころを紹介してきました。先史時代からスペインによる支配時代、独立戦争や内戦などの時代を経てきたアルゼンチンの歴史を、豊富なコレクションとともに巡ることができるでしょう。きらびやかな装飾が施された建物自体も、ぜひ注目してみてください。時代を駆けてきたコレクションの数々は、きっとあなたの好奇心・感性を、たっぷりと刺激してくれるでしょう。

国立歴史博物館があるのは、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスです。博物館のほかにも、見どころとなるスポットが豊富にあります。ブエノスアイレスの南東部に位置するラ・ボカ地区は、特に人気が集まる地区です。カラフルな家々が立ち並ぶカミニートのあざやかな街並みは、観光客を魅了してやみません。タンゴを踊る情熱的なアーティストもみられるので、ぜひ訪れてみてください。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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