グリュプトテーク(ドイツ):ミュンヘンの穴場的美術館!世界一の古代彫刻がここに

グリュプトテークは、ドイツのバイエルン州ミュンヘンにある古典古代彫刻専門の美術館です。彫刻専門の美術館も存在するとは、まさに隠れた芸術の街・ミュンヘンといってもよいでしょう。グリュプトテークは、古典絵画の展示・所蔵をメインとしたアルテ・ピナコテークと同じく、バイエルン州を当時治めていたルードヴィヒ1世が設立しました。さらに、開館したのは1830年と、アルテ・ピナコテークよりも開館日が早いのです。ギリシャの神殿のような設計のグリュプトテークですが、実は第二次世界大戦の戦火により、一度は閉館に追い込まれるほどの甚大な被害を受け、1972年に再開館しています。そんなグリュプトテーク美術館の美術館としての歴史と所蔵作品について、詳しく解説していきます。

グリュプトテークとは

グリュプトテークは、ドイツのバイエルン州・ミュンヘンにある古典古代彫刻専門の美術館です。グリュプトテークという名前は、ギリシャ語で「彫刻館」という意味があります。

広大な敷地に現れるギリシャの神殿のような建物が非常に印象的なグリュプトテークは、それぞれ有名なアルテ・ピナコテークとノイエ・ピナコテークからほど近い場所にあります。設計したのは、新古典主義の建築家レオ・フォン・クレンツェという人物です。彼は、当時バイエルン州を治めていた国王ルードヴィヒ1世の宮廷建築家としても名を馳せていました。そう、グリュプトテークは、ルードヴィヒ1世が設立した美術館なのです。ルードヴィヒ1世は、絵画だけでなく、古代ギリシャ・ローマの美術全般に魅せられていたようです。そのコレクションが、グリュプトテークに集められています。

グリュプトテークが開館したのは、1830年です。同じミュンヘン市内にあるアルテ・ピナコテークよりも、6年早くグリュプトテークは開館しています。

第二次世界大戦で起きた空襲によって、一時閉館に追い込まれるほどの被害を受けていますが、1972年に見事復興し、再度開館したという歴史があります。

グリュプトテークの所蔵品・展示

グリュプトテークは、主に古代ギリシャ・ローマ時代の彫刻を集めたドイツ国内屈指の名門美術館です。そのため、展示物は彫刻のみ。しかしながら、見学した人たちの心をギリシャ彫刻でいっぱいに満たしてくれるのが、このグリュプトテークです。

では、グリュプトテークのコレクションには、どのような作品があるのでしょうか。ここで、グリュプトテークの主な作品および展示品をご紹介します。

《エギナ島アファイア神殿の彫像》紀元前500年頃作者不明

本作品は、ギリシャ・アテネの南西にある島、エギナ島にあるアファイア神殿の彫刻です。これらはペディメント彫刻と呼ばれており、日本でいうところの破風(はふ)にあたる部分に装飾として掘られた彫刻です。破風彫刻ともいわれています。この彫刻は、トロイア戦争を表していると考えられています。欠損部分があるものの、紀元前の物とは思えないほどの白く美しい彫刻です。この部分だけを、ルードヴィヒ1世が買い取り、ミュンヘンへと運ばせました。

(Public Domain /‘The 5 central figures of the west pediment of the Temple of Aphaia’byUnknown artist. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

破風彫刻の代表作といえば、大英博物館にあるパルテノン神殿が大変有名ですが、グリュプトテークにあるアファイア神殿のものは、アルカイック後期において最も完成されたものであったとされています。グリュプトテークには、アファイア神殿の破風の西側と東側の両方が存在しています。破風の三角部分に合わせて作られた彫刻は、巧みに戦士たちの動きと連動しており、当時の彫刻家の腕の高さも感じられます。
中央に立つのは、アテネの守護神アテネです。凛々しい姿が何とも美しい彫刻として表現されています。
グリュプトテークにおける、大注目の彫刻展示です。

《ブラキスのアルテミスの像》紀元前1世紀頃作者不明

(Public Domain /‘Artemis Braschi’by Unknown artist. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

本作品は、紀元前1世紀頃に作られた、ギリシャ神話に登場する狩猟の神アルテミスの彫刻です。残念ながら作者は不明ではあるものの、衣服の柔らかさまでも完璧に表現されているこの彫刻の美しさは、見る人々をくぎ付けにしてしまうほど。まさに、息をのむほどの美しさとは、このことです。
下を見ると、小鹿がアルテミスと戯れているという構図になっています。残念ながら、左手が欠損していますが、この左手には、弓を持っていたとされています。

《テネアのアポロン》紀元前550年頃作者不明

(Public Domain /‘Kouros of Tenea’by Unknown artist. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

本作品は、紀元前550年頃に作られたアポロンの彫刻と言われています。一方で、実はアポロンではなく、青年の墓像であるともされています。ギリシャのペロポネソス半島北部にあるコリントス近郊のテネアという場所で発掘されたことから、テネアのアポロンと呼ばれています。このアポロン像は、直立不動な姿が大変印象的です。この時代は、ギリシャ・アルカイック期と言われており、この時代における彫刻の人体表現は、男女問わず直立不動の姿であることが最大の特徴です。

《円盤投げ》紀元前480年頃-紀元前445年ミュロン

本作品は紀元前480年頃から紀元前445年に、古代ギリシャの彫刻家ミュロンによって作られた円盤投げをする男の彫刻です。紀元前の古代を生きた人が作成したこの彫刻は、本当に古代に作られたのかと疑ってしまうほどの、息をのむほどの曲線美が特徴的です。また、激しい運動である円盤投げというスポーツの瞬間を巧みにとらえた傑作と言われています。

ミュロンは、アテネで活躍したとされる彫刻家です。アッティカとボイオティアとの境にある、エウレテライという地で生まれたとされています。

おわりに

グリュプトテークには、上記でご紹介の作品以外にも、様々な彫刻をコレクションしています。静かにゆっくりと古代ギリシャ・ローマの古典彫刻が見られるのは、グリュプトテークだけです。まさに、彫刻好きの聖地ともいえる美術館です。また、向かいにある古代美術博物館とセットで見学されることが多いので、時間の許す限り、古代の美術に触れてみてください。美術館を出る頃には、あなたも古代芸術のファンになっていることは、間違いありません。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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