ニューヨーク近代美術館:近現代美術を堪能できる都会の芸術オアシス

ニューヨーク近代美術館は、アメリカ合衆国のニューヨークにある近代美術を専門に取り扱う美術館で、別名「ザ・モダン」と呼ばれるモダンアートの聖地でもあります。「MoMA」の愛称で親しまれているニューヨーク近代美術館は、2019年に敷地面積を増やし、リニューアルオープンを果たしました。ニューヨーク近代美術館には、20世紀以降の現代美術を大きく3つに分けた展示スタイルが特徴的で、分野の垣根がない展示形式をとっています。有名なゴッホやモネ、セザンヌをはじめとする画家たちの作品、ピカソやブランクーシ、カンディンスキーやウォーホールなどの現代美術を代表する画家たちの作品も多数所蔵しています!展示品の鑑賞だけでなく、カフェやショップ、それに中庭まで余すことなく楽しめる都会の芸術オアシスです。

ニューヨーク近代美術館とは

ニューヨーク近代美術館「MoMA」は、アメリカ合衆国ニューヨーク市に存在している、19世紀後半の印象派たちの作品から、20世紀中盤までを代表とするヨーロッパやアメリカの近代アートを集めた美術館です。2004年の改装に伴って選ばれたのは、日本人建築家・谷口吉生の設計案です。

その後、さらなる増築工事により2019年にリニューアルオープンをしたニューヨーク近代美術館は、ギャラリースペースを増築以前より30%も拡大しました。ニューヨーク近代美術館の代表展示品を始め、国境や国籍を超えた数多くのアーティストたちによる作品がたくさん所蔵されています。その数なんと10万点以上にも上るのです。

さらに、展示方法も増築以前までと異なります。増築以前までのニューヨーク近代美術館での展示は、絵画や彫刻、デザインなどといったジャンルによって分けられていましたが、改装後のニューヨーク近代美術館は、1880年以降から現在までの作品を3つの時代に大きく分類する展示スタイルをとっています。これにより、美術作品の時代変遷を追うことができるようになりました。

ニューヨーク近代美術館の設立は、L.P.ブリス、C.J.サリヴァン夫人、そしてJ.D.ロックフェラー2世夫人という3名の女性によって構想・発案されました。そして1929年、ついにニューヨーク近代美術館を開館するに至ったのです。この時代の近代美術専門美術館の設立構想というのは、美術史の中でもとても注目に値する出来事でした。開館当時の第1回展は「セザンヌ、ゴーギャン、スーラ、ゴッホ展」でした。これらの画家たちの作品が当時の前衛芸術に値していて、20世紀以降の現代美術における最初の画家たちなのです。

ニューヨーク近代美術館の所蔵品・展示

ニューヨーク近代美術館は約10万点以上に及ぶ所蔵品を有しており、その中には数多くの著名画家の作品があります。ニューヨーク近代美術館には、どのような作品があるのでしょうか。ここで、ニューヨーク近代美術館の主な作品および展示品をご紹介します。

《記憶の固執》1931年サルバドール・ダリ

本作品は、チュッパチャプスのパッケージデザインを手掛けた、有名なスペインの画家サルバドール・ダリによって描かれた作品です。サルバドール・ダリの代表作として知られた油絵で、時計が解けてふにゃふにゃになっている不思議な絵柄が特徴的な本作品は、スペイン・カタルーニャ地方のクレウス岬半島が描かれています。

サルバドール・ダリは、1904年にスペインで生まれたシュルレアリスム(超現実主義)を代表する画家で、自称「天才」として様々な奇行や逸話が残っています。

そんなサルバドール・ダリは少年時代から絵画に興味を持っていました。マドリードにある王立サン・フェルナンド美術アカデミーに入学したのちは多くの芸術家と知り合い、1925年には最初の個展を開きます。その2年後、パブロ・ピカソを始めとするシュルレアリスムの中心人物たちと知り合うことになりました。

以降サルバドール・ダリは、絵画だけでなく彫刻やオブジェなどといった様々な作品を残しています。特に、彼の描いたタロットカードは、今でも全世界で販売されています。

ダリは妻のガラを心から愛しており、ガラが亡くなった1年後の1983年5月以降は、絵画制作を止めています。その後、1989年には心不全により、82歳でこの世を去りました。

《眠るジプシー女》1897年アンリ・ルソー

(Public Domain /‘The Sleeping Gypsy’by Henri Julien Félix Rousseau. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

本作品は、フランスの素朴派画家アンリ・ルソーによる作品です。砂漠の静かな夜にたたずむライオン、そして鮮やかな色の衣類を身にまとったジプシーの女性が描かれたものです。しかし、ライオンはジプシーを襲うことなく、ただたたずむだけ、という詩的な雰囲気が醸し出されています。このジプシーは、ルソー自身が投影されていると言われています。また、ライオンは獣を庇護する王という解釈がなされています。
また、本作品はサイモン・グッケンハイム夫人がニューヨーク近代美術に寄贈した作品でもあります。

1844年にフランスのラヴァルで生まれたアンリ・ルソーは、パリ市の税関職員と画家という二足の草鞋でした。このことから通称、フランス語で「ル・ドゥアニエ(税関吏)」と呼ばれていました。しかし、アンリ・ルソーの残した多くの作品は、実は彼が税関を退職した50代に描かれた作品なのです。

アンリ・ルソーが最初に作品を描いたのは1879年でした。以降亡くなるまで、美術展であるアンデパンダン展に作品の出品をつづけていました。そんなアンリ・ルソーは税関の仕事を退職し、早くも年金生活をしながら絵画活動に専念するようになりました。
ニューヨーク近代美術館に所蔵・展示されている≪眠るジプシー女≫も、この頃に描かれた作品です。

晩年、アンリ・ルソーは手形詐欺事件に関わっていないにも関わらず拘留されてしまいます。本人も事情を知らなかったことから、利用されていただけなのでは、という説もありますが、真相は今でも明らかになっていません。

そしてその翌年、肺炎により66歳でこの世を去ります。

おわりに

ニューヨーク近代美術館には、上記以外にも数多くの有名画家の作品や、注目すべき所蔵・展示作品が多数あります。
増築が進められた現在、見学にはおよそ2~3時間を要しますが、ミシュラン二つ星のレストランだけでなく、カフェやミュージアムショップも充実しているので、訪れるなら最低半日は欲しい魅力的なスポットです。見学の中休みに、館内中庭の芝生にあるベンチでくつろぐのも、とても優雅ですよ!

また、ニューヨーク近代美術館の1階には無料ギャラリーもありますので、時間が限られている場合やニューヨーク近代美術館がどんなものか体験してみたい、というあなたにもおすすめです。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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