ニューヨーク市立博物館:ニューヨークの魅力を様々な角度から再発見できる場所

ニューヨーク市立博物館は、主にニューヨーク市の歴史文化、社会やアートをテーマにした、ニューヨークについて知るための博物館です。ニューヨークをテーマとしたオリジナル性あふれる展示が特徴で、同じ博物館にいるとは思えないくらい、個性豊かな展示があなたを待っています。また、アメリカのドラマ「ゴシップガール」のロケ地にもなった場所ですので、このドラマが好きな方も楽しめる要素が満載です。今日はそんなニューヨーク市立博物館を紹介します。

ニューヨーク市立博物館

ネオ・ジョージアン様式(新ジョージアン様式)と呼ばれる建築様式で、赤レンガがとても印象的なニューヨーク市立博物館は1923年に設立された、ニューヨーク市とその歴史や文化を知るための美術館です。
ニューヨーク市立博物館は、スコットランド生まれのニューヨークの歴史家で講師、作家だったヘンリー・コリンズ・ブラウンによって設立されています。設立当時はグレイシーマンションと呼ばれる、ニューヨーク市長の公邸にありましたが、1932年に移転をして現在の場所に移っています。現在の赤レンガ様式になったのは、この移転の時からです。

ニューヨーク市立博物館は地元の人々を大事にしている博物館で、なんと近所に住む人は入館料が無料です。ニューヨーク市立博物館は、地域密着型の博物館なのです。

ニューヨーク市立博物館の所蔵品・展示

ニューヨーク市立博物館には、19世紀から20世紀にかけてのニューヨークに関する展示を主に3つの分野でなされています。移民の歴史についてだけでなく、ニューヨークのショービジネスやおもちゃ、家具の展示まで、展示構成は多岐にわたっています。
ニューヨーク市立博物館の所蔵・展示品の数は、およそ150万点にも及びます。また、単に展示がなされているだけではなく、動画を使って学べる展示コーナーもあります。ニューヨークというテーマだけでこれだけ多くの展示が構成されているのが、ニューヨーク市立博物館なのです。

では、ニューヨーク市立博物館ではどのような作品を見ることができるのでしょうか。ここで、ニューヨーク市立博物館の主な作品および展示品をご紹介します。

《ニューヨーク通史》

ニューヨーク市立博物館の1階部分は、いわゆるニューヨークの通史についての展示がメインとなっています。
この展示は、ニューヨーク・マンハッタンがヨーロッパ人に発見されオランダ領になっていた時代から、現在の「世界の中心」となった歴史までを3つのセクションで振り返っており、未来のニューヨークについて考えるという構成をとっています。
通史の展示は主に、下記のように分類されます。
●Port City・・・1609年から1898年の展示
●Word City・・・1898年から2012年の展示
●Future City Lab・・・装置を使って今後や未来のニューヨークを考えるコーナー

展示方法も画期的で、まるでお店のショウウィンドウのように展示されているため、非常にコンパクトな作りとなっています。

こちらの通史展示では、ビデオや体験をすることができる展示で、来館者を楽しませる仕組みが出来上がっていますので、歴史好きからニューヨーク好きまでを満足させることができる展示方法を取っています。

《The Bay and Harbor of New York》1855年頃サミュエル・ベル・ウォー

本作品は、アメリカの画家であるサミュエル・ベル・ウォーが、ニューヨーク港での貿易船を描いた作品です。あまり聞きなれない名前かもしれませんが、実はサミュエル・ベル・ウォーは、エイブラハム・リンカーン大統領などの肖像画を描いた人物としても有名なのです。

(Public Domain /‘Samuel Bell’by The original uploader was Outremer31 at English Wikipedia. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

サミュエル・ベル・ウォーは、1814年にペンシルバニア州ニューウィルミントン生まれました。彼の幼少期やどのような教育を受けていたのかについてはほとんど知られていませんが、父は開拓者として入職し、雑貨屋を経営していたそうです。
また、1834年には展覧会を行っています。

サミュエル・ベル・ウォーは、生涯においてフィラデルフィアを代表する肖像画家のひとりとなりました。肖像画以外に、風景画家としても認められています。

《Crack is Wack(麻薬はくだらない)》1986年キース・ヘリング

本作は、キース・ヘリングが1986年に描いた作品です。当初はニューヨーク市の許可なく描かれたものでしたが、現物の制作後すぐニューヨーク市によって保護されています。

ニューヨーク市立博物館には、シンプルなのにどこかユニークな落書きが世界中で愛されている画家、キース・ヘリング氏に関する展示が多数あります。
彼の誕生日である5月4日には、グーグルのホームページのロゴがキース・ヘリングの作品を引用したものになっているほどです。
キース・ヘリング氏の作品は、1980年後半を代表するいわゆるストリートアートの先駆であり、シンプルな線と色で描かれています。
このデザイン性の高さは世界的な人気を博していて、キース・ヘリングの作品がTシャツにプリントされて販売されるなどして広く知られるようになりました。

キース・ヘリングは、1958年にアメリカのペンシルバニア州レディングで誕生しました。1980年、ニューヨークの地下鉄構内にある使われていない広告掲示板を使用し、ドローイングを始めたのが活動のきっかけです。
キース・ヘリングの作風は、多くの通勤客の間で評判が高まり、結果的に彼の名前は知られるようになります。

その後は、ニューヨークの画商トニー・シャフラジの支援もあり、数回個展を開催していくごとに、知名度を上げていきます。キース・ヘリングの活動はニューヨークだけにとどまらず、世界に広がるようになり、壁画を制作するというような公共の場での活動を多く行っていました。

また、キース・ヘリングは自身がHIV感染者であったこともあり、作品を通してAIDS撲滅活動や恵まれない子供たちへの活動といった社会貢献活動も積極的に行っていました。
特に、12月1日の世界エイズデーのエイズ啓発運動のひとつである、アクト・アゲインスト・エイズ(AAA)のポスター第一号を手掛けています。

作品を通じてAIDS撲滅運動を行っていたキース・ヘリングでしたが、1990年にエイズによる合併症で31歳という若さで亡くなりました。
彼の遺作は、イタリア・ピサ中央駅のそばにある教会の壁に描かれた作品「Tuttomondo」です。

おわりに

ニューヨーク市立博物館には、上記以外にもニューヨークにまつわる作品や、注目すべき所蔵・展示作品があります。
ニューヨーク市立博物館は、ニューヨークについて深く知ることができる博物館でもあり、またニューヨークの魅力を再発見できる場所といえます。絵画や骨とう品の展示だけでなく、衣類や宝石類、アーキテクチャーのようなものもあるので、飽きることなく回れます。
ニューヨーク市立博物館のミュージアムショップも、ニューヨークにまつわるお土産が多数ありますので、これぞ、ニューヨーク!というようなものを求めるにも最適です。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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