ボストン美術館:世界に名をとどろかせる最高峰の美術館

ボストン美術館は世界的に有名な美術館の一つで、一生で一度は訪れたい美術館として人気です。アメリカ3大美術館のひとつにも選ばれています。展示部門も幅広く、アメリカの地に居ながら、ヨーロッパ、日本、中国、エジプトなどの複数のジャンルを楽しめます。また、頻繁にリニューアルを行っており、今なお進化し続けている美術館でもあります。今回は、そんなボストン美術館を詳しく解説していきます。

ボストン美術館とは

ボストン美術館のあるボストン市は、アメリカ最古の街と言われ、豊富な歴史を持つ町です。かねてより製造業が盛んであったため、古くから多くの人々が居住し、文化を発展させていきました。また、大きな港を持つ事から、早くから各国と交易をしてきました。輸出業が盛んであった中、加えて輸入品の中継地点ともなり、今日のアメリカ経済の発展を支えて来ました。今や、世界的経済都市ニューヨークと同等の経済指標を持っていると言っても過言ではありません。

ボストン美術館は、分野にこだわらずに世界各国の芸術品を集める美術館です。コレクションされているジャンルの豊富さには、たいへん驚かされます。そのコレクションの中でも、特にエジプト関連の作品やフランス絵画が群を抜いており、アメリカという原産国にとっては異国の地において、その素晴らしさを味わえます。むしろ、異国の地で作品を体感するからこそ、またちょっと違う楽しみが出来るのかもしれません。ここ一ヶ所で芸術の世界一週旅行が出来ると言えるでしょう。

ボストン美術館の収蔵品とは

幅広いジャンルを扱っていると言うだけあって、美術館内部の面積は本当に広く、案内が無ければ迷う事間違いなしです。ただ、様々な多くの観光客が訪れるのに合わせ、複数の言語に対応したパンフレットが用意されているので、心配は入りません。現在でもコレクションは増加し続けており、拡張工事が度々行われていますが、そのペースが間に合っておらず全ての収蔵品展示には辿り着いていません。

美術館は、地下+3階立て構造となっており、地下から回るとアメリカ美術の歴史を順に追う事が出来ます。その美術史からは、アメリカが大国へと進化して行った過程を知ることも出来ます。特に日本美術との関わり合いは深く、小さいながらも日本庭園を要しているほか、浮世絵も展示されており、小さい日本を確かに感じます。それ以外にも、各国の作品より着想を得て多くの作家が切磋琢磨して来た事を感じることができます。

果たしてどのような収蔵品が有るのでしょうか?早速見て行きましょう。

〈カルロス皇子と侏儒〉ディエゴ・ベラスケス

(Public Domain /‘Prince Balthasar Charles With a Dwarf’by Diego Velázquez. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

16歳と言う若さでこの世を去ったカルロス皇太子の幼年期を描いた物です。スペイン出身の巨匠ベラスケスの代表作で、宮廷画家として活躍した彼を象徴する一枚です。特にフェリペ4世から寵愛された彼は、多くの王族や貴族の絵を描きました。特に写実派として有名なベラスケス。荒々しいタッチでありながらも、良く見ると繊細に且つありのままの姿を描いており、その絵は、真実に基づいたものになっています。

カルロス皇太子の姿は、幼児特有のまんまるの頬が描かれています。その愛らしくあどけない表情は、カルロス皇太子の幼少当時の瞬間をありのままに表しています。特にカラフルなその色合いから、王族らしい高貴な格好であると分かります。ともに描かれている小人は、どこか大人びた顔持ちをしていて、皇子のあどけなさとは全く印象が異なります。

〈ラ・ジャポネーズ〉クロード・モネ

(Public Domain /‘Prince Balthasar Charles With a Dwarf’by Diego Velázquez. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

この作品は、フランスの印象派と日本文化が融合した作品であり、両者を一枚に巧みに結合させた絵です。モネは、日本の文化に並々ならぬ関心を寄せていました。こちらは、自らの妻のカミーユに打掛を着せた作品です。当初はなかなか評価されず、苦悩するモネでしたが、晩年にこの作品は高く評価されるようになります。その色彩豊かなタッチは、鋭い観察眼から来ており、何てことの無い風景ながら豊かな感受性を感じられ、とても明るい気分にさせてくれます。

カミーユが着ている打掛には、日本の歌舞伎の姿が大きく描かれています。その顔は、明るく笑うカミーユの笑顔とは、全く異なる印象を与えるでしょう。背景には、日本の景色と取れる団扇が多数配置され、日本文化への関心の高さが伺えます。また、海外文化の流通が今ほど盛んでは無かった時代に日本にこれだけ関心を寄せ、それを作品にしたのは、強くインスピレーションを感じた故でしょう。特にこの作品の中の赤はとても美しく、惚れ惚れするほどです。この絵一枚で多くの日本文化を知る事が出来る、当時としては本当に貴重な作品でした。

〈ブージヴァルのダンス〉ピエール・オーギュースト・ルノワール

(Public Domain /‘Madame Monet wearing a kimono’by Claude Monet. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

この作品のモデルはシュザンヌとポールというルノワールの友人です。丁寧で写実的な古典主義が特徴のルノワールの絵でしたが、古典主義の進化の限界を感じたため途中からがらりと画風が変わり、次第に新たな技法へと着手して行きました。失業の経験や画壇で上手くいかなかった事が彼の心に暗い闇を残し、それは如実に技法習得の道にも影響しました。ルノワールの描く人々は、その人の顔を目の前で観察したかのようにありのままの姿で描かれており、その心理描写も事細かに残されています。

楽しそうに踊るこの二人の絵は、見ているだけでも気分が上がるでしょう。ポールの方がいかにもいとおしそうにシュザンヌを見る様子から、二人だけの世界を傍観している他者の目線による絵だと分かります。特にまんざらでもなさそうなシュザンヌの優しい眼差しも、目に焼き付きます。後ろには楽しそうに談笑する人影もあり、このシーンは全てにおいて幸せを感じられます。

終わりに

ボストン美術館は、アメリカ美術史並びに各地の芸術を知る事の出来る美術館で、アメリカ屈指の観光スポットでもあります。この美術館のありさまは、まるで多様な文化を受け入れるアメリカ社会を表しているようです。ボストンに行った際には、是非足を運んでみてはいかがでしょうか。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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