ブランコ・ルネッサンス美術館:「バリのダリ」と呼ばれたアントニオ・ブランコの作品を展示する美術館

ブランコ・ルネッサンス美術館は、バリ島中部のウブド地区の景観の良い高台にあります。「バリのダリ」と呼ばれたアントニオ・ブランコのとても個性的な作品が展示されています。伝統的なバリ絵画とは違うアントニオ・ブランコの世界を堪能できる美術館といえるでしょう。そんなブランコ・ルネッサンス美術館の歴史と所蔵品を紹介します。

ブランコ・ルネッサンス美術館とは

ブランコ・ルネッサンス美術館は2001年9月15日にオープンしました。この美術館は「バリのダリ」といわれていたアントニオ・ブランコの作品を展示するために、ブランコ本人が建設した美術館です。

建物はヨーロッパ・ロココ様式を取り入れているため、館内にはイタリアの大理石や螺旋階段など、ヨーロッパの雰囲気が漂っています。また、バリの人々が信仰するヒンドゥー教を大切にしていたブランコは、その教えを守って建物を20,000平方メートルの土地に建てており、最上階にはブランコの重要な作品が収められています。この土地はウブド王族からプレゼントされたものです。バリの精霊「ニスカラ」に敬意を表して、ドーム型の天井のステンドグラスからは自然の光が差し込むようになっています。ヨーロッパ調の豪華な美術館の内装はブランコの夢だったといわれています。しかし、ブランコ本人は美術館の完成を見ることはできましたが、美術館のオープンを見ることなく他界しました。

もともとはこの美術館はブランコ本人が住んでいた建物です。そのため、生前ブランコが使用していたアトリエが美術館に隣接してそのまま残されています。

ブランコ・ルネッサンス美術館は、芸術家アントニオ・ブランコのすべてが凝縮された美術館といえます。

ブランコ・ルネッサンス美術館の所蔵品

ブランコ・ルネッサンス美術館は、バリで最も成功した作家といわれるアントニオ・ブランコの作品を集めた美術館です。併設されているブランコ本人が使用していたアトリエは、見学もすることができます。画家本人の製作活動がどのように行われていたかを感じることができるでしょう。

アントニオ・ブランコの作品は本人が「バリのダリ」といっていた通り、かなり個性的なタッチの画風です。一般的なバリ絵画とはかけ離れており、バリ絵画ではあまり題材にすることがない裸婦画や人物画を描いています。特に、裸婦画のモデルを務めたのがブランコのバリ人の妻であるロンジでした。ロンジはバリでも有名な踊り子で、最初はブランコの絵のモデルになることを拒否していました。それは、モデルとしてヌードにならなければならなかったからです。やがてロンジはブランコのモデルのなることを承諾すると同時に、彼の妻となっています。

アントニオ・ブランコは1912年9月15日、フィリピンのマニラでスペイン人の両親のもとに生まれています。彼の父は医師としてマニラに住み、ブランコはマニラのアメリカンセントラルスクールで学んでいます。そのためブランコは、スペイン語、フランス語、英語、タガログ語、インドネシア語、バリ語の6か国語が話せたそうです。

マニラで高校を卒業した後ブランコはアメリカへわたり、ニューヨークの国立アカデミーで美術の勉強をしています。1952年になると、ブランコは世界旅行へ出かけます。やがて、インドネシアのバリ島・ウブドに上陸し、ウブド王族と親交を深めた結果、ウブドの土地を贈られることになりました。その土地でブランコは愛妻ロンジとともに生涯を過ごすことになるのです。ちなみに、ロンジとの間には4人の子どもが生まれています。そのうちの一人マリオ氏は、現在でも画家として活躍しています。

ブランコは長年、自分の作品を集めた美術館を建設することが夢でした。ブランコは自分の住んでいた邸宅に美術館が完成したことを見届け、1999年に亡くなっています。

アントニオ・ブランコの作品は、インドネシアだけではなく海外からも高い評価を受けています。中にはとても官能的な作品もあるため評価が分かれることがありますが、肉体美の魅力に取りつかれていたブランコの素晴らしい世界感を作品から感じとることができます。

アントニオ・ブランコの作品のもうひとつの特徴は、ブランコの作品がすべて手作りの額縁に入れられているということです。この額縁だけでもひとつの芸術作品といえるほど素晴らしいものです。ブランコ・ルネッサンス美術館に展示されている彼の絵画作品は、オリジナルの額に入れられることによって額と一体化し、さらに芸術性がアップしているといえるでしょう。

≪バリニーズ・ダンサー≫アントニオ・ブランコ

バリの人々はヒンドゥー教を信仰しており、このヒンドゥー教には踊りが欠かせないといわれています。本作品は、バリの伝統的なダンスを踊っているダンサーを描いたものです。ブランコ・ルネッサンス美術館ではこの作品を特製の額に入れ、美術館に入場するとすぐに見ることができるように入口正面に展示されています。とても目を引く大型の作品です。

≪ザ・ドリアン・ウィズ・ドリアン≫マリオ・ブランコ

本作品は、アントニオ・ブランコの息子であるマリオ・ブランコによって描かれました。マリオ氏はインドネシアほか、マレーシア、オーストラリア、日本、アメリカ、ヨーロッパでも活躍しています。現在でもブランコ・ルネッサンス美術館のある敷地内にアトリエを構え、製作活動を行っています。

この作品は、そんなマリオ氏が描いた静物画です。マリオ氏は、父親からヨーロッパ芸術を学び、母親からバリの感性を受け継いだともいえるでしょう。独特のオリジナルの額がこの絵と一体化することで、素晴らしい作品となっています。

終わりに

ブランコ・ルネッサンス美術館は、バリ島のウブド地区の中心部から少し離れた閑静な高台にあります。そのため、美術館からの素晴らしい景観も楽しむことができます。バリ絵画とは一味違ったアントニオ・ブランコの作品が多数所蔵されている美術館です。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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