ルイジアナ近代美術館:世界で一番美しいと評価される美術館

ルイジアナ近代美術館はデンマークのフムレベックにある美術館で、1958年に開館しました。3000点以上におよぶ、世界の一流アーティストたちによる近現代アートが展示されています。美術館そのものも、アート、建築、自然の融合により来館者を魅了しています。さらに、海を臨むロケーションや緑豊かな環境は憩いの場ともなっており、世界で一番美しい美術館といわれるほどの人気を誇ります。そんなルイジアナ近代美術館の歴史と所蔵品について、詳しく解説していきます。

ルイジアナ近代美術館とは

ルイジアナ近代美術館は、デンマークのコペンハーゲン近郊に位置するフムレベックという町にあります。個人の伯爵邸であった建物を改築し、1958年に開館しました。後の改築により、新たに建てられた新館と回路でつなげられ、現在の回路型の美術館となりました。この美術館では、ピカソやアンディ・ウォーホールなどの作品を含めた、世界の一流アーティストたちによる近現代アートが展示されています。館内には解放感のあるガラス張りの廊下や休憩の場が多く設けられ、アート、建築、そして自然の見事な融合により、来館者を魅了しています。彫刻作品が点在する広い中庭や、湖のある公園、海の景色を臨む丘など、素晴らしいロケーションによって憩いの場ともなっており、世界で一番美しい美術館といわれています。

ルイジアナ近代美術館の所蔵品

ルイジアナ近代美術館では、パブロ・ピカソやアンディ・ウォーホール、草間彌生などの作品を含む3000点以上のコレクションがあります。モダンクラシックや抽象表現主義の美術作品、ポップアート、ミニマルアート、ビデオ、インスタレーションにいたるまで、多くの近現代アートを観賞することができます。また、中庭にはヘンリー・ムーア、アレクサンダー・カルダーなどの彫刻作品が展示されているので、建物内外で鑑賞を楽しむことができます。

そんなルイジアナ近代美術館のコレクションには、どのような作品が含まれているのでしょうか。主要な作品をご紹介します。

《歩く男》1960年アルベルト・ジャコメッティ

本作品は1960年頃のもので、20世紀モダニズム彫刻の代表といわれるスイスの彫刻家アルベルト・ジャコメッティによって制作されています。

アルベルト・ジャコメッティは1901年、スイスのイタリア系の家に生まれました。後期印象派作家である父親ジョヴァンニ・ジャコメッティの影響により、幼少期から芸術に関心を持っていました。初期の頃は、キュビズムやシュルレアリスムの作風で制作していたのですが、1935年頃からはそれらの作風を捨て、具象的構図を深く追求していきました。ジャコメッティは独自の人物像を模索していくなかで、極力余分なものをそぎ落として本質に迫ろうしていました。1950年頃からは、限界と思えるほどまでに細身の人物像を作りました。これらの作品は、現代における人間の実存が表現されていると高い評価を受けました。

本作品は、この美術館の中でも特に注目されているジャコメッティの展示室にあります。ここでは、一面のガラス戸の外にある柳や池の景色が背景となって、彫刻作品が設置されています。展示室そのものが空間と作品が調和した総合アートとして、国際評価の高いものとなっています。ジャコメッティの代表作である本作品は、時代とともに常に変化し続け、ルイジアナの象徴となっているとも言われています。

《リクライニング・フィギュアNo.5》1963~1964年頃ヘンリー・ムーア

本作品は1963~1964年頃、20世紀のイギリスを代表する彫刻家ヘンリー・ムーアによって制作された彫刻作品です。

ヘンリー・ムーアは1898年にイギリスのヨークシャーで、炭鉱夫の息子として生まれました。11歳の頃に学校で粘土などによる造形を褒められたのがきっかけとなり、彫刻家になることを決意したといわれています。大理石やブロンズによる多くのモニュメントにより、世界中でもよく知られているムーアの主な題材は「母と子」「横たわる像」などの抽象化された大きな人体像です。「横たわる像」は当初、オルメカ文明やマヤ文明などの石像、特に1925年にパリで見たチャック・モールの石膏模型から大きく影響を受けていました。しかし、後の像では胴体に極端な穴が開けられた抽象的な形になっていることから、彼と同時代に活動した彫刻家バーバラ・ヘップワースとともに試みたものであるといわれています。ムーアの築いたモダニズム美術は、イギリス美術を国際的にさせる大きな役割を果たしていました。

《無題》1971年頃ドナルド・ジャッド

本作品は1971年頃のもので、近代純粋彫刻の創造者といわれるアメリカの美術家ドナルド・ジャッドによって制作されています。

ドナルド・ジャッドは1928年、アメリカのミズーリ州で生まれました。当初は画家および版画家として活動し高い評価を得ていましたが、その後立体作品の制作へと移り、ミニマルアートを代表する芸術家として活躍しました。ジャッドはそれまでのヨーロッパにおける彫刻の表現を変革し、近代彫刻に新しい流れをもたらした人物として知られています。色彩、形態の純粋性や、作品と空間との関係性を追求し、さらにアルミニウムやコルテン鋼などを用いた抽象的な彫刻を制作しました。ジャッドの制作する作品のほとんどは「無題」とされ、タイトルがつけられていません。彼は、それまでの芸術が象徴してきたものを脱して、作品そのものと周囲との関係性を絶ち、自立させるための純粋芸術を目指していたのです。これらのジャッドによる純粋な形態の立体作品は、多くの芸術家、建築家、デザイナーたちに影響を与えていきました。

おわりに

ルイジアナ近代美術館は、デンマークの首都コペンハーゲンから北へ電車で約30分の場所にあります。海を臨む素晴らしいロケーションに恵まれ、芸術鑑賞だけでなく景色そのものを楽しむこともでき、年齢を問わず国内外から毎年多くの観光客が訪れています。高い場所にあるカフェテリアからのオーシャンビューは人気があり、コンサートも開かれています。子供向けの展示やワークショップが行われるキッズウィングもあるため、家族連れも多いようです。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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