アチェ博物館:アチェの歴史と文化を学ぶことができる博物館

アチェ博物館は別名「バンダアチェ博物館」とも呼ばれる州立の博物館です。インドネシアのバンダアチェにあるこの博物館は、インドネシア最古の博物館のひとつ。アチェの歴史と文化に関する品々を多く所蔵しています。そんなアチェ博物館の歴史と所蔵品について、くわしく解説します。

■アチェ博物館の歴史

アチェ博物館の建物は、伝統的なアチェ人の踊りを披露する場として使われていた家の形をしています。元々は、オランダ植民地時代の1914年8月13日から11月15日までスマランで開かれたデコロニアレテンツオンステリング(植民地博覧会)の際、アチェの民俗館のパビリオンとして使用されていました。

博覧会が終了した後、この建物はアチェに移転し、1915年にアチェ博物館として開設しました。この博物館に所蔵されていた展示物のほとんどは、アチェの民族工芸品をコレクションしていたフリードリッヒ・シュタムスハウスの個人コレクションです。1933年まで彼はアチェ博物館のキュレーターでした。

シュタムスハウスは引退後、自身のアチェ民族のコレクションのほとんどを母国であるオランダのトロンペン博物館に売却しています。

インドネシアの独立後、アチェ博物館は州の財産となり、現在のジャランスルタンアラディンマフムドシアンに移転しました。1974年には博物館の修復のための資金を得て、古い建物を修復し、さらにその横に新しい博物館の建物が新設されました。また、この資金によって新しくアチェの民族工芸品などの展示物が購入されています。1980年9月1日にアチェ博物館は正式にアチェ州立博物館としてオープンし、現在に至ります。

■アチェ博物館の所蔵品

アチェ博物館には、アチェにまつわるあらゆるものが所蔵されています。コレクションジャンルは幅広く、アチェの考古学、動植物、民族学、鉱物や石、貨幣、陶磁器、歴史的絵画などが扱われています。これらのコレクションは10のテーマに分けられて展示されています。その10のテーマとは、地質学・生物学・民族誌・考古学・ヒストリカ・貨幣額とヘラルディカ・言語学・ケラモノロジック(陶器など)・ファインアート・テクノロジーです。

そんなアチェ博物館のコレクションにはどのようなものが含まれているのでしょうか。主なコレクションを紹介します。

≪メールボックス≫
長方形で4つの足があるメールボックスです。側面とふたがガラスでできており、中にメールが入っているかを確認することができます。

このメールボックスは、ヨーロッパなどから来た使者が持ってきたメールを送る場所として使われていました。

≪クラムシェル≫

アチェの東海岸で発掘された巻貝の化石です。先史時代の遺構で発見されました。この遺構は、先史時代の人々のゴミ捨て場と考えられています。アチェの貝類の化石はロクスマウェからスマトラの国境の付近でも発見されています。

≪チャクラ・ドニャ≫

バイトゥラーマングランドモスクの前の木の下にかけられていたこのチャクラ・ドニャは、15世紀に明王朝の影響を受けて作られたものです。その後19世紀まで様々な変遷を重ねて現在に至っています。

≪シワイ≫

シワイは金やダイヤモンド、象牙などで装飾された武器です。16世紀の誇り高きアチェ貴族が使っていました。ただ、戦うためというよりも、どちらかといえば儀式で多く使用されるジュエリーのようなものだったようで、伝統的なアチェの模様が施されています。突発的な危険が迫ったときなどには、武器として使用することも可能です。

≪デュロイハム(ダーラム)≫

アラビア語で文字が刻まれている、金でできた貨幣です。表にはスリ・スルタン・アライディン・アフマドが刻まれています。1735年から1760年頃までに発行されたものと考えられています。

≪陶器類≫

製造元がわからないプレートなどの陶器類をコレクションしています。白いベースに鮮やかなアオサギが描かれているものや、そのほかの魚が描かれているプレートもあります。

≪文書など≫

主にアラビア語で書かれた物語やシナリオなどが数多くコレクションされています。当時のままの古文書を、近くで見ることができます。

≪ドラム≫

大きな木の中をくりぬいて作られているドラムです。革製のロープで両端の皮が固定されています。おもに楽器として使用されていたものです。いろいろな種類のドラムが展示されているので、アチェの人々の音楽に対する情熱を感じ取ることができるでしょう。

このほか、「ラパイ」というアチェの伝統的な楽器もコレクションされています。ヤギの皮で作られた、ダバスのゲームで使用される楽器です。

≪ディンプルストーン≫

ディンプルストーンは、コリアンダーなどのスパイスを砕くために使用されていました。下部は上部より小さくなっており、上部に開けられたくぼみでスパイスを砕いていたそう。上部には垂直線のモチーフが施されています。

≪ダーハムのネックレス≫

アチェ人の一般的な通貨で、ゴールドのデラムで作られています。この展示品は、11個のデラムの淵に装飾が施されており、boh derhamといわれるネックレスとして使用されていました。このほか、アチェ博物館にはアチェ人が使用していた帽子の飾りなどの様々な装飾品もコレクションされています。

≪シルバーマスク≫

女性の生殖器をカバーするための装飾品で、心臓を表すハートのかたちをしています。シルバーやゴールドで作られており、様々な宝石も埋め込まれていました。

≪ティカー(ティカデュエック)≫

ゲストの座席として使用されていたものです。素材はパンダナスの葉を青と紫に染めたものが使われ、美しい幾何学模様が織り込まれています。

≪ココナッツおろし金≫

ココナッツを絞ってココナッツオイルを作るときに使用しました。木製のおろし金の目は鉄でできています。主に、ワニや馬のかたちをしています。

■終わりに

アチェ博物館にはアチェ民族にちなんだ多種多様なものがコレクションされており、アチェの文化に浸かることができる博物館といえます。インドネシアのバンダアチェを訪れた際には、ぜひ足を延ばしてみてはいかがですか。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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