フエ王立古代博物館:グエン王朝に関する遺物を展示する博物館

フエ王立古代博物館は、1923年に当時のカイディン王によって設立されました。元は「カイディン博物館」と呼ばれていました。博物館には、フエ王朝にかかわる様々なものが展示されています。そんなフエ王立古代博物館の歴史と所蔵品についてくわしく解説します。

■フエ王立古代博物館の歴史

フエはグエン王朝の首都として栄えた都市です。フエ王立古代博物館は1923年にグエン王朝のカイディン王(1916-1925)が博物館の設立に関する布告を行ったことで設立されることになりました。美術がとても好きな国王で美術を通して社会や政治、礼儀・作法などを浸透させることができると考えていました。この目的を達成するために博物館を作ることにしたのです。

当初、博物館を開設した王の名前を付けて「カイディン博物館」と呼ばれていました。フエでは最も古い博物館のひとつとしてとても人気があります。グエン王朝に関する遺物が展示されています。

グエン王朝があったロンアン宮殿の一角にあります。木造の平屋建ての建物は、1923年に建てられました。現存するベトナムの木造建築の中でもとても美しく素晴らしい建物といわれています。128本の柱に施されている装飾は繊細で緻密な彫刻が施され、博物館のインテリアやエクステリアは芸術性がとても高いものとなっています。館内はあまり広くはありませんが静かで落ち着きのある空間です。この博物館の建物自体も見所のひとつといえます。

フエ王立古代博物館は現在、フエ記念碑保護センターの管理下に置かれています。ロンアン王宮の近くにあるので王宮と共通の入場券で一緒に見学することができます。

■フエ王立古代博物館の所蔵品

フエ王立古代博物館にはグエン王朝(1802年〜1945年)に関する様々な1万点近くの遺物が展示されています。王宮で日常的に使われていた陶器や銀、真鍮製の食器や茶器、王室の人々の着物などの日用品から王の玉座や移動の際に使用した豪華な籠、王の絢爛豪華なベッド、王や女王が身に着けていた服や靴などがコレクションされています。さらに王室に関係した絵画や詩も展示されています。

当時の王室の人達が使用した物のほとんどが特注品で有名なアーティストが手作りした手工芸品です。その一つ一つがとても状態が良く保存されています。世界にひとつしか存在しない素晴らしい価値のあるものになります。職人たちの素晴らしい技術と作品を堪能できることでしょう。

20世紀初頭に発見されたチャパの遺構から出土した彫刻などがコレクションされています。チャパ王国は正式名称をチャンパープラ/ チャンパーナガラといい、中世東南アジアにおけるヒンドゥー教の古代王国です。その遺跡が発掘されたミーソン地区は聖域とされています。この遺跡から発掘された彫刻などがコレクションされています。

そんなフエ王立古代博物館のコレクションにはどのような作品が含まれているのでしょうか。主な所蔵品を紹介します。

※チャンパ王国遺跡

≪チャムの遺構≫

チャムの遺構の中から発掘されたチャンパの彫刻などが80点を超える遺物が展示されています。

彫刻はフランスの考古学者の手によって20世紀初頭に発掘されました。その後ベトナム国内の様々な博物館が所蔵することになり、フエ王立古代博物館もそのうちのひとつになります。

これらの貴重な彫刻を保管し展示するためにチャンパルームと呼ばれる古代チャンパの彫刻などを専門に展示・保管する展示室が設けられることになりました。

とてもユニークな歴史的資料として今でも注目されている作品ばかりです。題材のほとんどはヒンドゥー教の神々ですが、中にはその使用目的などがよくわからない彫刻もあります。チャムの遺構では現在も発掘調査が続けられています。

≪グエン王朝の玉座とベッド≫

グエン王朝が栄えていた時代に使用されていた王の玉座とベッドが展示されています。肘おきには素晴らしいドラゴンの彫刻が施されているおり、当時のグエン王朝の権勢がうかがえます。足の部分にもドラゴンの緻密な彫刻があり、王の力を示すにふさわしい玉座となっています。

王のベッドの4本の足に施された彫刻も素晴らしいものといえます。ほぼ完全な形で残されているためその豪華さに圧倒されるといえます。

≪グエン王朝の服と靴≫

グエン王朝時代、女王が身にまとっていたロープが復元されています。あでやかな色彩のロープには模様が施されています。またバオダイ皇帝が使用していたイエローの靴も展示されています。実際に皇帝が使っていたとは考えられない程の素晴らしい保存状態です。グエン王朝の服や靴から当時の王室の服装を垣間見ることができるでしょう。

≪王室の日用品など≫

グエン王朝で日常的に使用していた花瓶などの陶器類がコレクションされています。これらの陶器類はとても良い状態で保存されており、当時の王宮の生活を感じることができます。

≪大砲など≫

フエ王立古代博物館の中庭や建物の外にはグエン王朝以前に作られたとされる様々な種類の大砲が展示されています。その時代に作られたとされる石碑や石像のコレクションや大きな青銅製の鐘や釜が展示されています。

※フエ皇居の廊下

終わりに

フエ王立古代博物館はグエン王朝の素晴らしい手工芸品と古代チャム王国のチャンパ彫刻を堪能できる博物館です。ベトナムのグエン王朝の生活と文化、社会とともにベトナムのチャム王国という古代の歴史に触れることができる貴重なスポットといえるでしょう。フエ王立古代博物館はフエ王宮のすぐ近くに位置しているため王宮と一緒に見学できます。ベトナムのフエを訪れた際にはぜひ足を延ばしてみてはいかがですか。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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