フレデブルク要塞博物館:インドネシアの苦難の近現代史を知ることの出来る博物館

かつて植民地であったこの地にとって独立は、国民の悲願でもありました。それを実現するべく当時の人々がどれだけ努力し、悲しくも辛い思いをして来たか、目を背けたくなるような重いテーマも、過去に我々人類が確かに通って来た道であり、それを理解し戒めにする事ができる博物館になっています。

○フレデブルク要塞博物館とは

インドネシアの古都として知られるジャグジャカルタは、かつてインドネシア独立の為に、たくさんの血が流れたこの地で平和を願った街です。臨時の首都として機能していた事もあり、比較的早く発展しました。また、多くの伝統的なジャワ文化が残されており今でも観光客を楽しませてくれます。

街には大規模な商店街があり多くの露店商が立ち並んでいたり、宮殿も残っていたりするなど、古き良き文化と人々のありふれた日常が混ざり合う町でもあります。

そんなジャグジャカルタに構えるフレデブルク要塞博物館は、植民地時代に要塞として使用されていた為、外観も少し物々しい雰囲気があります。気軽に入ろうと思う感じではありません。独立戦争時に活躍したとされる英雄的な五人の将校の銅像の姿があり、少々威圧感を感じるかもしれません。そんな雰囲気を醸し出す博物館ですが、一歩外に出ると明るい露店商の掛け声が鳴り響き独特な空気が流れる空間となっています。

○フレデブルク要塞博物館の収蔵品とは

騒がしくも地元の人々の活気と賑わいが感じられる通りを抜け博物館に入ると、そこからは、独特な重苦しい空気が漂っています。そんな空気とは裏腹に、博物館は土日にもなると観光客で溢れています。要塞には広い庭園があり、銅像が迎えてくれます。軍人姿の銅像からは、物々しさを感じます。

独立戦争時の姿をありのままに説明しており、ジオラマによって分かりやすく体現してくれています。インドネシアの近現代史を丸々分かるように時系列になっており、当時の人々の暮らしぶりやどんな出来事があったのを感じることができます。また、観光客向けにトイレの衛生面に気を使っており、安心して鑑賞出来ます。

果たしてどのような収蔵品があるのでしょうか?早速見て行きましょう。

〈王族に関する展示〉

現スルタンの父王にあたるハメンクブウォノ9世の戴冠式の様子をジオラマで写し出しています。ジャグジャカルタ州のみ特別区として、現在でもスルタン制度が残っており、複雑な文化の形容が見え隠れしています。参加者達は、王を始め伝統的な礼服を身に纏い荘厳で厳かな雰囲気の中で儀式が粛々と行われているのが分かります。偉い役人とおぼしき人達は、椅子に着座し、それ以外の人は、後ろに着座して王の方を静かに眺めています。ハメンクブウォノ9世は、大変国民からも人気の厚い人でしたが、1988年に亡くなりました。

〈軍事系の展示〉

日本軍が現地の人々に軍事訓練をしているジオラマがあります。参加者は、成人のみならず小学生位の子供達も含まれている事が分かります。揃えたかのように皆丸刈りを強制されており、個性も何も認められない風潮にある事が分かります。日本によって、発行された紙幣などもあり、日本軍の行動がインドネシアの人々に侵食していた事が分かります。
また、オランダ軍がインドネシアを侵略して来た時の情景を事細かにジオラマにしています。1945年に日本の敗戦の後インドネシアは独立を宣言しましたが、それが認められずオランダ軍との間で戦闘となった悲しい歴史があります。爆撃され炎が燃え盛るシーンは、特徴的です。博物館ではオランダ人部隊に立ち向かい戦った現地の青年達の映画が流されています。インドネシアの人々の勇姿の塊を感じる内容になっています。

〈当時の人々の様子など〉

ロウムシャと呼ばれる人々が強制的に労働させられている様子が収まっています。所謂奴隷のように扱われていたのか、過酷な扱いを受けていた事が分かります。服を着ていませんが、監視員のような軍人は、偉そうな格好をして鋭い眼光で監視しています。彼等の地位がとても低くかった事が分かります。ジオラマで見るとあまりにも過酷過ぎて一見原始人のようにも見えますが、それだけ過酷な現場に居た事が分かります。

砂糖工場でストライキを行っている現地の人々が怒りを爆発させているジオラマもあります。リーダーなのか責任者らしき人物が軍人の方に詰め寄り、抗議している事が分かります。それだけ工場は、劣悪な環境と言う事でしょう。工員とおぼしき人達は、皆後ろの方でその様子を小さく見守っています。機関銃を持つ軍人相手に抗議するのは、命懸けですし当時の力関係が良く分かります。

○終わりに

インドネシアは、その地を支配していた様々な国々の武力への抗戦によって、独立を勝ち得た国であることが分かります。この博物館は独立に至るまでの苦難が滲み出ている故、重苦しく感じるのかもしれません。歴史はどの立場に立つかによって見える風景が全く異なるということを改めて感じさせてくれます。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

関連記事一覧