グエン・ヴァン・フイェン博物館:ベトナムの歴史を担ってきた男グエン・ヴァン・フイェン氏の生涯を通して学ぶベトナムの歴史

グエン・ヴァン・フイェン博物館は、ベトナム・ハノイ市にある、グエン・ヴァン・フイェン氏の生涯と経歴について紹介している博物館です。フイェン氏はフランスでの教育を受けた学者で、1946年からベトナムの教育大臣を務めました。彼の生涯についての展示を通して、ベトナムの歴史や文化の変化を感じとれる博物館となっています。

■グエン・ヴァン・フイェン博物館

グエン・ヴァン・フイェン博物館は、ベトナム社会主義人民共和国のハノイ郊外、ホアイ・ドック県のライシャ村にあります。ベトナム民主主義共和国時代における教育システムの確立に尽力したグエン・ヴァン・フイェン氏の、個人の功績や記録、生涯と作品を展示している博物館です。

ライシャ村へはハノイからタクシーで約30分かかりますので、時間に余裕を持って出かけるのを忘れずに。また、開館は週末のみとなっていますので、訪れる際は開館時間と併せてチェックしておくと良いでしょう。

グエン・ヴァン・フイェン博物館のあるホアイ・ドック地区は、フイェン氏の生まれた場所です。この地区は、稲作や果樹の栽培などを行う農村地帯だそうです。そんなのどかな村に生まれ育ったフイェン氏はやがて教授となり、ベトナム教育大臣を務めました。

1975年にフイェン氏が亡くなったのち、息子のグエン・ヴァン・ホイ氏の手によって、2014年にフイェン氏の功績をたたええるグエン・ヴァン・フイェン博物館が設立されたました。博物館の建物は、一見4階建てのアパートのようにも見える白を基調とした非常にシンプルなデザインです。晴れている日に訪れると、建物と空の色のコントラストが非常に美しく映えます。
博物館の建築に携わったのは、フランスの建築家VéroniqueDollfusおよびフランスのグラフィックデザイナーPatrick Hoarau、そしてPham Dam Caでした。

■グエン・ヴァン・フイェン博物館の所蔵・展示品

150平方メートルほどのスペースに、約400点の品々が展示されています。所蔵品は、19世紀後半から20世紀後半までのものが中心です。法的文書をはじめとした個人記録や絵画、写真、ビデオクリップを見ることができます。

グエン・ヴァン・フイェン博物館の構成は、「国の歴史は各個人から始まる」をモットーに、フイェン氏の生涯を通してベトナムという国の歴史とその変化を知ることができるようになっているのが特徴です。

さらに、展示のガイドツアーはフイェン氏の親族によって行われることもあるそうです。このツアーに参加すれば、フイェン氏の遺した功績や物品、写真について詳細に知ることができるでしょう。

では、グエン・ヴァン・フイェン博物館にはどのような所蔵・展示品があるのでしょうか。ここで、所蔵・展示品の一部をご紹介します。

・《グエン・ヴァン・フイェン氏の生涯に関する写真展示》

(Public Domain /‘Ong Huyen’by Unknown auther. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

グエン・ヴァン・フイェン博物館では、フイェン氏の生涯について、写真を展示しています。幼少期の写真をはじめ、青年期、フランス留学時代、そして教育大臣就任後など、数多くの写真でフイェン氏の生涯を知ることができるようになっています。

1923年頃から、フイェン氏は弟のグエン・ヴァン・フォン氏と共にフランスへ留学に送られました。最初、フイェン氏はモンベリオで文学を学び、その後はパリのソルボンヌ大学で法律を学んで博士論文を書きます。そして、ソルボンヌ大学の博士号を取得した最初のベトナム人学者になったのです。フランス留学は、フイェン氏のその後のキャリアや人生に大きな影響を与え、異文化について知見を広める助けとなったようです。

1935年に祖国ベトナムに戻ったフイェン氏は、フランスでの知識を生かして教鞭を取り、研究を重ねていきました。そんな最中に起こったのがベトナム革命です。ホー・チ・ミン氏が首相に就任すると、フイェン氏は首相により直々に教育大臣に任命されました。

フイェン氏は最初、この任命を「不慣れ」を理由に断ったものの、それでも自分を信頼するホー・チ・ミン氏の信頼と助言により、教育大臣になることを決めました。

以降はベトナムの教育推進活動に尽力し、各地への訪問をするなど、多大な功績を残していきました。

・《モバードの腕時計》

金色の時計の針と文字盤が非常に美しいこの腕時計は、1954年にジュネーブ会議が終了した後、ファム・ヴァン・ドン氏によってフイェン氏に贈られた腕時計なのだそうです。時計の文字盤には、革命家のホー・チ・ミン氏が描かれています。フイェン氏はこの腕時計を長い間持ち続け、亡くなるときも身に着けていたほど大切にしていたといわれています。

博物館ではこれ以外にも、フイェン氏の生活に関わるものや、活動に関するすべての資料や物品、寄贈された記念品などが大切に保管・展示されています。

■おわりに

グエン・ヴァン・フイェン博物館は、Facebookを通して博物館についての情報を頻繁に更新しています。どんな展示があるかもチェックすることができますので、気になるあなたはまずはグエン・ヴァン・フイェン博物館のFacebookページにアクセスしてみましょう。

人物を通して歴史をより深く知ってみたい、人とは違う観光スポットに行ってみたい、というあなたは、ベトナム・ハノイのグエン・ヴァン・フイェン博物館に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
ライシャ村の農村文化を見ながらグエン・ヴァン・フイェン博物館を見学した後、フイェン氏が設立したベトナム民族学博物館を訪問すれば、ベトナムのために尽力したグエン・ヴァン・フイェン氏に思いを馳せることができるはずです。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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