ハノイ警察博物館:警察組織を丸裸にする博物館

全世界に大方存在する、警察組織を身近に感じられる博物館です。自国の警察内部の事さえも滅多に知る機会はありませんが、この博物館ではベトナムの警察組織を丸裸にすることができます。勿論、展示物は過去の警察の姿なので今の警察とは違う部分もあるのかもしれませんが、その歴史を存分に知ることが出来ます。

○ハノイ警察博物館とは

※ハノイの通勤混雑の様子

ベトナムの首都として知られるハノイは、常にベトナムの発展をリードして来た、経済都市です。近年の経済成長は目覚ましく、ベトナムの首都というだけでは無い、東南アジア有数の世界都市と変貌しています。町もベトナム独特の気風を残しながらも近代化しており、発展途上国と言われた過去から脱却しつつあります。かつてはフランス軍を始め、日本軍に占領されたり、ベトナム戦争の激戦地になったりと平和の今日に辿り着く迄には、多々の戦を乗り越えて来ました。

そんな文化の中心ハノイには多数の博物館があり、多くの観光客が訪れます。その一つがこちらの警察博物館です。普段触れる事の出来ない警察の内部を知る事が出来ます。警察と聞くとお堅いイメージもありますが、この博物館には、ポップなプロバガンダ風のアートが壁一面に張られ、身近な雰囲気を醸し出しています。入場料は無料である事から、ふらっと立ち寄る人も多いようです。順路に従って、時代毎に警察の変貌を紹介しています。

○ハノイ警察博物館の収蔵品とは

※ハノイの警察官

歴代の偉大な警察官の勲章などが展示され、警察官が何処の国でも名誉な職である事が分かります。特に独立前の警察の姿と独立後の警察の姿の違いを比較する事ができ、ベトナムの情勢によって警察に求められていた責務が違う事を見て取ることができるでしょう。また、ベトナム戦争時の警察の姿からは、治安を守る正義の味方と言うよりも軍隊としての役割が強かった事がわかります。

マネキンも各所に置かれており、その親しみのある表情からは、権力組織という警察のイメージを和らげてくれます。ドアや窓も展示スペースとして利用されており、ふんだんに飾られたアートは楽しい雰囲気を演出しています。警察と言うお堅いイメージを良い意味で崩してくれます。

果たしてどのような収蔵品が有るのか、早速見て行きましょう。

〈白バイや自転車〉

※現在のベトナムの白バイ

警察官が過去に使用していた白バイが展示されています。白バイには、マネキンが股がり臨場感を出しています。マネキンが居てくれる事で実際の雰囲気をリアルに感じることができます。またマネキンは、警察と言う確固たる組織に似合わず、可愛らしい顔をしているので、ちょっと拍子抜けです。白バイは、古い年式に見えますが、今にも動き出しそうなほど躍動感があります。白バイと言う程、重装備ではなく普通の白いバイクなのですが、policeの文字が入っており、サイドカーには警察の紋章が貼ってあります。

また、警察官が使用していた自転車も展示されています。自転車は、まるで昔のドラマに出て来るような、古びていて何の装備も無い普通の自転車で、特別感はありません。自転車やバイクの付近では、誘導するマネキンも展示され、警察官の仕事風景も伺えます。また、マネキンが消防活動をしているかのようにホースを持って佇んでいる姿も見受けられます。

〈制服〉

※ハノイの女性警察官

歴代の制服が順番に並べられていて制服ファンには、たまらない一角となっています。制服は人民服風の茶色の無地のようなデザインが多く、一見すると工場の作業員のように見えますが、帽子をかぶることで、きちんとした着こなしができるようになっています。暑さ対策の為の半袖半ズボンの制服もありますが、防犯的には少し弱そうです。

上層部の方が着用する制服には線が入っており、身なりから階級を判断することができます。制服の列の横では、制服を着用して業務に励むマネキンを間近でみることが出来ますよ。これらの制服は上着のようになっており、直接着るのではなく、下にYシャツとネクタイを締める事でまた違った雰囲気を出しています。現場の警察官と言うよりインテリの警察官のように見えます。他にも、警察管のイメージとは異なる黄色いウィンドブレーカーのような制服があり、目を惹く存在となっています。

〈小道具や勲章など〉

※胸元の勲章が輝くハノイの警察官

カメラや銃などの小道具も豊富に展示されています。特に近年の小道具は、どんどん進化しており、経済発展の一部を見ているようです。電話機は、まるで黒電話のようにレトロで懐かしい気持ちにさせてくれます。通信機器もワープロを大きくしたような物で、打ち込むだけでも相当時間がかかったであろうと容易に想像ができます。

拳銃も戦争時の物は、兵士が持つような機関銃で警察官と言うよりも兵士としての役目が強かったのであろうと推察できます。警察官らしい小型の銃も展示されています。この場所だけは物々しい、重苦しい雰囲気が有り、気が引き締まります。特に戦争時の配備は、軍隊と変わらない物です。

また、歴代トップの警察官の勲章がずらりと並んでおり、圧巻の光景です。決して高価なジュエリーと言う訳では無いにも関わらず、古い物ながら名誉という光で輝いて見えます。

○終わりに

警察と聞くとかしこまったイメージですが、展示品の数々が親しみのある作りになっており、知ることのなかった警察の姿を垣間見ることが出来ます。ベトナムの警察の歴史を振り返ることのできる博物館です。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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