ベトナム森林博物館:ベトナムの森林資源の調査・収集・保存・展示のための博物館

ベトナム森林博物館は、ベトナムの森林資源に関する調査・収集・保存・展示をすることを目的としています。さらに、子どもたちへの自然教育活動をすることで、次世代へ大切なベトナムの森林資源を残すための、知識を伝えています。そんなベトナム森林博物館の歴史とコレクションについてくわしく解説します。

■ベトナム森林博物館の歴史

※マングローブの眺め

ベトナム森林博物館は、2006年に構想され2010年12月17日、ベトナムの農業農村開発省と林業総局によって設立されました。ベトナム森林博物館の開設にあたりベトナム国内だけではなく国際的にも多くの協力を得ることができました。

ベトナムはかつて、国土のほとんどが豊かな森林で覆われていました。とくにマングローブや原生熱帯雨林には、貴重な動植物が生息しています。しかし、1943年には国土の森林率が43%にまで減少しました。さらにベトナム戦争時の森林消失や枯葉剤の使用、戦後の経済成長にともない、森林率はさらに低下してしまいました。そのためベトナム政府は、森林の保全と回復に力をいれることを決意。ベトナム森林博物館は、政府による森林保全と回復のための政策の一環として開設されました。

ベトナム森林博物館は、ベトナムの森林資源、すなわちベトナムに生息する植物・爬虫類や両生類を含む動物・昆虫などの調査・収集・保存・展示を行っています。さらに専門家による適切な指導のもとでワークショップを行い、多くの人々が自然環境の保全や教育を適切に行うことができるよう努めています。

ベトナム森林博物館は、ベトナムの森林資源、すなわちベトナムに生息する植物・爬虫類や両生類を含む動物・昆虫などの調査・収集・保存・展示を行っています。さらに専門家による適切な指導のもとでワークショップを行い、多くの人々が自然環境の保全や教育を適切に行うことができるよう努めています。

■ベトナム森林博物館の所蔵品

※館内のイメージ

ベトナム森林博物館には、常設展示として12,000点を超える植物標本、15,000点以上の昆虫標本、200点を超える動物標本がそれぞれのテーマに分類されて保存・展示されています。またベトナム森林博物館は、独自にベトナムの森林を縮小したといえる植物園も所有しています。

そんなベトナム森林博物館にはどのようなコレクションが含まれているのでしょうか。主なコレクションを紹介します。

≪植物園≫

※ベトナムにある果実

ベトナム森林博物館は、ベトナムの森林の生態系を再現した植物園を保有しています。この植物園はハノイの中心部から南へ約12キロのタントリ地区、ビンキンコミューンにあります。大都市ハノイからとても近いということが特徴です。

ベトナム森林博物館が所有・管理する植物園は、3ヘクタール以上の広さがあり、現在60科目からなる約200種類のもの植物が4000本ほど植えられています。およそ50年前からある貴重な植物の数々も見ることができます。

ベトナム森林博物館の植物園には、世界のレッドリストに掲載され絶滅が危惧されているスア、トンムーなど約30種類の植物も植えられています。この植物園を訪れるだけで、ベトナムに生息している様々な植物や昆虫などに触れることができるといえます。

ベトナム森林博物館では、この植物園を観光と教育の両方に有効活用しています。ベトナムの森林をミニチュアにしたようなこの植物園は、学術的にもとても貴重なものといえるでしょう。

植物園は森林、竹、果樹、薬草の4つに区分されています。森林部門では赤ユーカリ、白ユーカリ、アカシアマンギウム、ゴンインドネシア、サイゴンマレーシアなど、外来種の大木があります。またベトナム戦争の時、アメリカ軍の化学兵器から生き残った唯一の木として知られる超亜木が南ベトナムから移植されています。果樹ではジャックフルーツ、鞭毛、マンゴー、サウ、ソンなどが育てられ、鳥類などの貴重な餌となっています。また竹は専門のエリアで15種類以上が栽培されています。薬草類は製薬業界の中でも貴重とされているアモムム、ブラックウコン、シングルリーフ、リバイバル、リエンウィンドなどが緑のじゅうたんを作っています。

さらに貴重な森林資源だけではなく、ベトナム戦争時にアメリカ軍が残したバンカーや爆弾クレーターも貴重な資料として植物園内に残されています。植物園では爆弾クレーターを改装して養魚池として活用されています。

≪動物のショールーム≫

※ベトナムで見ることのできるフクロウ

ベトナム森林博物館の動物のショールームは、哺乳類・鳥類・両生類と爬虫類の3つの展示エリアに分けられています。

哺乳類の展示エリアには、2011年にユックドン国立公園から移送された、2頭のゾウの骸骨やサイの骨格など、珍しい展示品があります。このほか虎やサルなど約40種の動物が展示されています。

鳥類のエリアには、フクロウ、ムクドリ、キジ、ハトなど60種類、100頭の標本が展示されています。今にも飛び立ちそうな素晴らしい標本ばかりです。

両生類・爬虫類のエリアには、カメ目、ワニ目、有鱗目、カエル目、アンコウ目に分類された20種類、100匹以上の生物が展示されており、一部の爬虫類と両生類の成長の様子が紹介されています。

≪植物のショールーム≫

ベトナムに生息する250 科目、約4000種類の標本が12,000本展示されています。これらの標本はおもに1960年代からコレクションされたものです。この植物のショールームではベトナムの植物のほとんどを見ることができます。貴重とされる薬草類の標本は特に素晴らしいものです。

≪昆虫のショールーム≫

※ベトナムで見ることのできる蝶

このショールームには、ベトナムに生息する40科目、700種類の昆虫のサンプルが、15,000匹以上展示されています。これらの標本の中には、世界的にもとても珍しいものが多く含まれています。また、蝶の羽で作られた民族絵画が展示されており、その美しい絵画は多くの訪問者の目を奪うものになっています。

≪森林開発のプロセスのエリア≫

ベトナムの森林開発のプロセスで使用された、多くの道具が展示されています。産業用機器(定規、地図描画ペン、電卓、拡大鏡)やカメラ、高度計、コンパス、ハンモック、防水シートなどに加え、山岳民族が使用していた弓や石弓も展示されています。ベトナムの森林開発のプロセスを知る上でも貴重なコレクションといえるでしょう。

終わりに

※ベトナムにあるエコパーク

ベトナム森林博物館は大都市、ハノイにおいてベトナムの自然に手軽に触れることができる貴重な博物館といえるでしょう。この博物館は平日のみオープンしています。ハノイを訪れた際にはぜひ足を延ばしてみてはいかがですか。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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