ホー・チ・ミン博物館:ベトナムの革命家の歴史に迫る

ベトナムで知らない人はいない革命家、ホー・チ・ミンの生涯を知り尽くせる博物館です。ベトナムの歴史を知るには、必ず覚えるべき彼の半生を知る事でベトナムの歴史を学ぶ事が出来ます。ホー・チ・ミンの歴史は、ベトナムの歴史と言っても過言ではありません。

○ホー・チ・ミン博物館とは

(Public Domain /‘Ho Chi Minh’by Jebulon. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)※1921年頃のホー・チ・ミン本人

ハノイは、政治と文化の都であるベトナムの首都です。東南アジア最大都市であるハノイは、経済都市としてアジアの経済をリードしています。特に近年のベトナムは、ハノイを中心に経済発展が目覚ましく、ベトナムの近代化の象徴として君臨しています。かつては、ベトナム戦争の激戦地として激しい戦闘が繰り広げられ、多くの犠牲者を出しました。現在の平和なハノイの姿からは想像する事が出来ません。荒れ果てた地から急激な発展を遂げています。

ハノイにあるこちらの博物館では、ベトナムの有名人ホー・チ・ミンの生涯を誕生から振り返る事が出来ます。彼の生誕100年を記念して1990年に設立されました。ホー・チ・ミンは、ベトナム建国の父と言われる英雄で、地元の大学では彼の事を学習するのが必修科目になる程です。博物館には、観光客のみならず地元の若者も絶えず訪れています。

○ホー・チ・ミン博物館の収蔵品とは

博物館内では、ホー・チ・ミンがベトナムと共に歩んで来た軌跡が数多く展示されています。ホー・チ・ミンを詳しく知らない人でもその凄さとベトナムの歴史を同時に知ることが出来ます。博物館は、一見すると神殿のような荘厳なオーラを外観からも放っており、誇り高き人物である事が分かります。ホー・チ・ミンは、独立と自由を念頭に社会主義国家としての国を作りあげ、その樹立に尽力しました。その流れを詳しく知る事が出来ます。

特に写真の展示は豊富にあり、ホー・チ・ミンの事だけに限らず、ベトナム戦争や抗仏戦争のベトナムの姿を知ることが出来ます。戦争の残酷さをあらためて実感し、どのようにベトナムが復興していったのかを知る事ができます。そしてベトナムの地に住む少数民族の事も詳しく展示され、どのような民族がベトナムの地で生活を育んで来たのか分かります。また、彼が手本としていたロシアのレーニンの展示も僅かにあります。
果たしてどのような展示があるのでしょうか?早速見て行きましょう。

〈パリの家の再現〉

ホー・チ・ミンは、当時フランスの植民地であったベトナム中部で生まれました。その地は、特に弾圧の激しい地帯でした。この博物館では、ベトナムを変えるべく、世界を知るためにフランスに渡ったホー・チ・ミンが、パリで住んでいた家が再現されています。とても小さい一室で、慎ましく暮らしていた事が分かります。また、ベトナムを出て世界を回った時の感想や経験をホー・チ・ミンの言葉で説明がされ、当時どのような思いであったのか分かります。世界を回る事で当時の世界情勢、そしてベトナムに求められている姿を追い求めていた、若かりし頃の情熱を秘めたホー・チ・ミンの姿を知ることが出来ます。

また、パリの家で当時使用していた煉瓦ヒーターが展示されています。年代物ながら時代の経過を感じさせない代物となっています。ホー・チ・ミンが使用していたという付加価値は勿論ですが、1920年代にこのような生活道具が使われていたと言う歴史を同時に知る事が出来ます。そして当時のパリの住居の番地のプレートが掲げられ、この場所だけまるでタイプスリップしたかのようです。ここでホー・チ・ミンが何を思っていたのかと思うと感慨深いものがあります。

〈ホー・チ・ミンの生家の再現〉

この博物館では、ホー・チ・ミンの生家が再現されています。それは質素な家で、決して裕福な暮らしをしていた訳では無い事が分かります。当時の農村では、多くの人々がこのような暮らしであったのではないかと考えられます。再現された家には、ホー・チ・ミンの両親が利用していたという機織り機やハンモックが展示され、何気無い日常を知ることができます。特にホー・チ・ミンの父は、大変勤勉な儒学者であったと言われています。

〈ホー・チ・ミンが使用していたと言われる身の回り品の数々〉

晩年ホー・チ・ミン本人が使用していたと言われる身回り品も多数残されています。人民服を始め帽子やステッキ、サンダルもあり何だかとても身近なおじさんに感じられ、親近感が湧いてきます。実際地元では、ホーおじさんとして親しまれており、まさしくホーおじさんの姿その物です。使い古された様子が、如何にも本人が使っていたと言う風格を醸し出しています。ホー・チ・ミンが秘密基地にしていたとされる洞窟で、使用していたテーブルセットもあります。ここでベトナム独立運動を画策していたのかと思うと、歴史的発想の場にあった貴重な物であることが認識できます。

〈戦争系の展示〉

抗仏戦争の展示では、物資を運ぶ自転車が展示されています。その荷台には、もう積みきらない程の大量の物資が積まれ、自転車を動かすだけでも大変であろうと想像ができます。兵器を抱え、突進している兵士の姿も展示されています。人と人がこんな兵器を持って、戦っていた現実を思い知り、胸が痛みます。抗米戦争での展示では、B52に対する勝利の展示や、各国からプレゼントされたとされる食器類が展示されており、ホー・チ・ミンの偉大さを改めて実感できます。

独立運動のエネルギーを表現したとされる山の噴火の展示では、とても力強い人々のパワーを感じます。多くの人が独立を願い、その思いを秘めていた事が分かります。火山自体は、小ぶりであるものの、その色合いや特徴からは人々の強い思いを感じることのできる演出となっており、ホー・チ・ミンは、それらの思いを体現したのであろうと確信できます。

○終わりに

ホー・チ・ミンの歴史を知るという事は、ベトナムの歴史を知るという事でもあります。ベトナムの発展は、ホー・チ・ミンの活躍あってこそのものなのです。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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