ラトビア国立美術館:ラトビアの歩みを伝える珠玉のコレクション

北ヨーロッパにあるラトビアで最古の美術館がラトビア国立美術館です。ラトビアを代表する画家ヴィルヘルムス・プルヴィティス、ヤニス・ローゼンタールズなど、巨匠の作品をじっくりと堪能できるでしょう。近年リニューアルオープンがされ、教会のように美しい建物も見どころのひとつとなっています。この記事では、ラトビア国立美術館の歴史やコレクションを紹介します。

◼︎ラトビア国立美術館とは

ラトビア国立美術館があるのは北ヨーロッパに属する共和制国家のラトビアです。ラトビアはバルト海の東岸にある3カ国、通称バルト三国に属する国で、美しい街並みがあることで知られています。首都のリガはラトビアで最大の街で「バルト海の真珠」と称される美しい街並みを維持しており、旧市街は世界遺産に認定されました。19世紀末から20世紀初頭にかけて発展したアール・ヌーヴォー調の美しい街並みに、魅了される人は後を絶ちません。

そんなラトビアの首都リガの新市街に、ラトビア国立美術館はあります。ラトビア国立美術館はバルト三国の歴史やラトビアの歩みを伝えてくれる施設で、LMNAの略称でも親しまれています。主に芸術作品を所蔵した本館をはじめ、5つの施設が名前を連ねており、そのすべての施設のコレクション総数はなんと10万点以上。圧倒的な作品数を誇っています。

ラトビア国立美術館の建物が完成したのは1905年のことでした。設計を担当したのはバルト・ドイツ人の建築家ウィルヘルム・ネウマンです。白色の落ち着いた見た目は洗練を重ねており、バロック様式、古典様式、アール・ヌーヴォー様式のエッセンスも随所に取り込まれています。アール・ヌーヴォー様式の建物が多いラトビアでも、屈指の美しさでしょう。

ラトビア国立美術館の建物が完成したのは1905年のことでした。設計を担当したのはバルト・ドイツ人の建築家ウィルヘルム・ネウマンです。白色の落ち着いた見た目は洗練を重ねており、バロック様式、古典様式、アール・ヌーヴォー様式のエッセンスも随所に取り込まれています。アール・ヌーヴォー様式の建物が多いラトビアでも、屈指の美しさでしょう。Photo4まるで教会や大聖堂のように荘厳、かつ重厚な美術館は、ラトビアの中でも特に重要な建物として知られています。アーチ状の窓が優雅な印象を引き立てるでしょう。美術館は2013年に一時的に閉館し、2016年にリニューアルオープンを果たしました。リニューアルの影響から建物内は整備が行き届いており、いつでも美しい状態で来場者を出迎えてくれます。

ラトビアの街並みを華やかに彩る国立美術館。そのコレクションの内容はいったいどのようなものなのでしょうか?次章では国立美術館のコレクション内容を掘り下げていきます。

◼︎ラトビア国立美術館のコレクション

ラトビア国立美術館では常時開催されている常設展と、時期によって異なる企画展が開催されています。そのうち常設展では油彩画、水彩画、版画、リトグラフ(平板画)、彫刻などのコレクションが公開されています。年代としては19世紀後半から20世紀初頭が主です。

所蔵しているコレクションに含まれる芸術家の数はなんと600人を超えるのだとか。まるでリガの街並みのように美しく、また華麗な芸術作品の共演を楽しめるでしょう。グスタフ・クルーツィス、ニコライ・レーリヒ、ゲルハルト・フォン・ローゼンなど、ヨーロッパを代表する巨匠の作品も含まれています。絵画の総数は7,000点を超えるというから圧巻でしょう。

展示によってはそれぞれの画家に焦点を当て、年代ごとに時系列順に紹介しているところもあります。著名な画家の技術の進歩や作風の変化を十分に感じることができるでしょう。

ここからはラトビア国立美術館の主要なコレクションをいくつかご紹介します。

・《冬》1910年

(Public Domain/‘Winter’ by Vilhelms Purvītis. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

《冬》は1910年、ラトビアを代表する画家ヴィルヘルムス・プルヴィティスによって制作された作品です。

ヴィルヘルムス・プルヴィティスは1872年生まれ、ラトビア芸術アカデミーの創設者の一人として知られている人物です。ラトビアのほかドイツやフランスなどのヨーロッパ圏で高い評価を集めました。1919年には美術学校の校長に就任するなど、ラトビアの芸術界を牽引するリーダーの一人として認識されています。

本作品は、雪が積もった風景を描写した作品です。画面手前には輝くような池が描かれており、水面に太陽が反射した自然の風景が見事に写し取られています。画面に表現された凍えるような冬の寒さは、鑑賞者に如実に伝わるでしょう。美術館を代表する画家の傑作です。

・《スプリングウォーターズ》1910年

(Public Domain/‘Spring Waters’ by Vilhelms Purvītis. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

《スプリングウォーターズ》も、先に紹介した《冬》同様に、ヴィルヘルムス・プルヴィティスによって制作されました。奥に広がる森と手前に広がる湖の対比が美しく、季節の変化を教えてくれます。画面に本当の水があるかのような描写は、さすがの一言でしょう。

雪解けの静寂な音まで伝わってきそうなほど、緻密な描写には舌を巻きます。季節感あふれる作品は、ヴィルヘルムス・プルヴィティスの絵画全般を通して伝わる大きな個性といえるでしょう。

・《After chuch》1894年

(Public Domain/‘After Church’ byJanis Rozentāls. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

《After chuch》は1894年、ロシア帝国出身の画家ヤニス・ローゼンタールズによって制作された作品です。

ヤニス・ローゼンタールズは1866年生まれ、ロシア帝国出身のラトビアを代表する画家です。作風は自然と人間の調和が感じられる独特の表現方法。特に肖像画の評価が高く、まるで本物の人間のような写実的な作品が多いです。名だたる傑作が多いのも納得でしょう。

本作品は「教会の後」と訳せる作品です。題名通り、教会から出てくる大勢の人々を画面上に描いています。特に目を引くのは画面手前に描かれた老夫婦で、画面左に配された幼い二人の少女と見事な対比を成しています。この構図は作品の要でしょうか?

また、画面奥に配された大勢の人々の表情や仕草まで、ヤニス・ローゼンタールズは抜かりなく描ききっています。まるで写真のように美しい情景は、画家の傑作のひとつに挙げられるでしょう。それぞれの人物の細かい表情まで、ぜひじっくり目を凝らしてみてください。

◼︎おわりに

ラトビアの首都リガにあるラトビア国立美術館の歴史やコレクションを紹介してきました。本館にはラトビアを中心として芸術作品が豊富に所蔵されています。また、ほかの4つの施設には装飾品、陶器、テキスタイルなどのコレクションが所蔵されています。ぜひ芸術作品の鑑賞と合わせて、ほかの施設にも足を運んでみてください。

ラトビアには国立美術館のほかにも美術館や博物館があります。ラトビアの歴史を紹介したラトビア占領博物館、リガやヨーロッパの車の歴史を展示したリガ自動車博物館など、さまざまな角度からラトビアの歴史を学べるでしょう。次回の旅行では、ぜひラトビアを訪れてみてください。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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