ラトビア占領博物館:コレクションと巡るラトビアの歴史

バルト三国に含まれるラトビア共和国の歴史を展示した施設が、ラトビア占領博物館です。1940年から1991年にかけて、ソ連とナチス・ドイツによって占領されたラトビアの歴史に焦点を当てています。当時の写真や映像、新聞記事の展示からは、占領時代のラトビアの苦悩がありありと伝わってくるでしょう。決して明るい内容の展示ではありませんが、ラトビアを訪れたら必見の施設です。この記事では、ラトビア占領博物館の歴史や見どころを紹介します。

◼︎ラトビア占領博物館とは

ラトビアは北ヨーロッパに属する共和制国家。西はバルト海、北はエストニア、南はリトアニア、ロシア、ベラルーシとも国境を接する国です。国民の約27%はロシア系とされ、英語、ドイツ語などの話者も多く、国際的な素養が根付いている国として知られています。その影響からか外国系企業の進出も頻繁におこなわれており、ラトビア内は国際性に満ち溢れています。

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/ラトビア

首都のリガは2世紀から東ローマ帝国への交易の要所として栄えてきました。12世紀までには漁業や畜産業でも名声を獲得。大きな発展を遂げていきます。「バルト海の真珠」と賞賛される美しい街並みは有名でしょう。旧市街は世界遺産に認定され、大勢の人たちが訪れています。

ラトビア占領博物館があるのは、そんなバルト海の真珠・リガの一角です。ラトビア大学のすぐそばに位置しており、館内は学生の姿が散見されます。博物館の設立は1993年。ウィスコンシン大学の教授を務めていたパウリス・ラズダの提唱によって、占領博物館は創設されました。

ラトビアの、特に20世紀は占領の歴史といっても過言ではありません。1940年から1941年までソ連によって占領され、1941年から1944年にかけてナチス・ドイツによって占領。1944年から1991年にかけて再びソ連に占領された歴史があります。年数にしておよそ50年もの歴史です。

博物館には、そんなラトビアの占領の歴史がところ狭しと展示されています。決して明るい歴史、展示ではないかもしれませんが、ラトビアを訪れたら足を運ぶ人が多いというのも納得でしょう。写真や映像、当時の新聞記事の切り抜きなど、博物館の見どころは豊富にあります。

使用されている建物は1971年に建造されたもので、1991年まではほかの博物館として利用されていました。黒を基調としたモダンな外観は一見の価値があるでしょう。まるでブロックを積み上げたかのようなユニークな形状が目を引きます。遠目にもその存在感に気づくでしょう。

ラトビアの歴史を知るには欠かせないラトビア占領博物館。そのコレクション内容の見どころは、いったいどのようなものなのでしょうか?次章で詳しく紹介していきます。

◼︎ラトビア占領博物館の見どころ

ラトビア占領博物館に所蔵されているコレクションの総数は、2017年時点ですでに60,000点を超えていました。展示の中心にあるのはラトビア占領時代の写真やパネル、ポスターや映像、そして当時の生活用品などです。

(Soviet labor camp barrack display at Occupation Museum.)

新聞記事の切り抜きを読めば、ラトビアがどのような状況にあったかが一目瞭然でしょう。展示の解説はラトビア語のほか英語やドイツ語も表示されています。語学に通じていれば、より展示を理解できるはずです。写真や映像などは、直感的・視覚的にも理解しやすいでしょう。

金や銀の輝かしい円盤に、白や赤の布がつけられたメダルは、当時の勲章や表彰の事実を雄弁に伝えてくれるでしょう。毎年展示されたメダルを受け取った人がいるのかもしれませんね。

金や銀の輝かしい円盤に、白や赤の布がつけられたメダルは、当時の勲章や表彰の事実を雄弁に伝えてくれるでしょう。毎年展示されたメダルを受け取った人がいるのかもしれませんね。

ここからは、そんなラトビア占領博物館の中でも特に主要な見どころを紹介します。

・軍服や銃

ガラスケースの向こうに展示されているのが、暗い緑色と赤い腕章が輝く軍服、そして茶色と黒が重厚な見た目の銃です。軍服のボタンはいまだに輝きを失っておらず、煌々とした金色を維持しています。銃はキレイに手入れされており、おそらく現役で使用できるものでしょう。

背景には戦車の写真が掲示されており、戦場にいるかのような臨場感を展示品に与えています。状況を解説したパネルも一緒に展示されているので、どんな環境で使用されたものか、知ることができるでしょう。映像も流れているので、思わず足を止めてしまうかもしれません。

占領時代にはこのような軍服をまとった軍人たちが多数出入りしていたのでしょうか?当時の状況を想像せずにはいられない、博物館の貴重なコレクションのひとつです。

・当時使用されたであろうパイプやバッグ

コンパクトなガラスケースに挟まれて展示されているのが、占領時代に使用されたであろうパイプやバッグです。カメラやハンカチと一緒に展示されているので、もしかしたら一人の個人の持ち物でしょうか?パイプは山吹色の落ち着いた色合いが特徴で、ぽってりとした形は失われていません。下にケースらしき布が敷かれており、大切に使われていたことが分かります。

バッグは女性用でしょう。小さな持ち手が大人のお洒落さを演出しています。中には赤と白を基調とした、ラトビアの国旗らしき色合いの布が入っています。この布を常に持ち歩いていたとしたら、国民の愛国心は相当なものだったのでしょう。バッグの表面は多少塗装がはげてはいますが、それでもキレイな状態です。横の解説を読めば、詳細が明らかになるでしょう。

◼︎おわりに

ラトビアにあるラトビア占領博物館の歴史や見どころを紹介してきました。1940年から1991年にかけて、ラトビアが独立を達成するまでに受けた苦難の時代を知ることができるでしょう。ラトビア観光前に立ち寄れば、現在の街並みの美しさがより心に響くことになるはずです。

世界遺産リガの一角にある占領博物館は、モダンな建物も魅力のひとつです。川沿いにあるので、散策しながら目指してみるのもよいかもしれませんね。バルト三国やラトビアを訪れたら、ぜひリガにあるラトビア占領博物館に足を延ばしてみてください。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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