ノーベル生理学・医学賞1935年ハンス・シュペーマン:形成体・胚誘導を発見し、医学の進歩に大きく貢献したドイツの医学者

ハンス・シュペーマンは、ドイツの発生学者です。彼は胚について研究し、胚の特定箇所によって細胞や組織が臓器へと誘導される「胚誘導」を発見しました。その功績により1935年ノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

○生年月日、生まれた町、生まれた町の概要

※シュトゥットガルトの景観

ハンス・シュペーマンは、1869年6月27日にヴュルテンベルク王国の首都シュトゥットガルトにて誕生しました。

ヴュルテンベルク王国は、19世紀から20世紀初頭にかけてドイツ南部を統治していた王国です。第二次世界大戦後にバーデン共和国と合併し、現在はドイツのバーデン=ヴュルテンベルク州となっています。

ヴュルテンベルク王国の首都シュトゥットガルトは、現在ポルシェやボッシュと言った世界的企業の本社が置かれ、ドイツの工業都市として栄えています。また、かつての王国の名残を所々に残し、美しい街並みや観光名所にも恵まれた活気的な都市です。

○幼年期、学生時代

シュペーマンは本の販売業を営んでいる両親の元に生まれました。1888年に学校を卒業した彼は、その後父の下で家業を手伝うことになります。

※ハイベルクデルク大学

1891年にはハイベルクデルク大学に入学し、医学を学ぶようになります。彼は解剖学に興味を持ち、学生時代から発生学的実験を積極的に行っていきました。大学卒業後は妻と結婚し、プライベート面を充実させると同時に臨床実験にも取り掛かるようになり、研究者としての一歩を歩み始めました。

○受賞に至る迄の逸話など

※ミュンヘン大学
※ヴュルツブルク大学

1893年から1894年にかけて、シュペーマンはミュンヘン大学で臨床実験を行っていました。当初は医者を目指していた彼でしたが、発生医学に強い関心を持ち、発生学者としての道を目指すようになります。その後、彼はヴュルツブルク大学の動物学研究所へと移動し、1908年まで講義を担当しました。

(Public Domain /‘Jacques Loeb’byunknown/pseudonymous.Image via WIKIMEDIA COMMONS)※ジャック・レーブ
(Public Domain /‘August Weismann’byLinnean Society.Image via WIKIMEDIA COMMONS)※アウグスト・ヴァイスマン

1902年、シュペーマンはジャック・レーブやアウグスト・ヴァイスマンの研究を元にして細胞分裂の研究を行っていました。彼は細胞を産毛で結ぶことによって分割することに成功し、さらに2割球期のイモリ胚を新生児の毛で結ぶことによって、人工的な双子形成を行う実験なども成功させました。

1924年には、イモリの原腸胚初期の原口背唇部を切り取り、それを予定外肺葉に移植する実験を行います。すると移植部位の原口背唇部を中心に様々な部位が形成されるだけでは無く、胚が形成される結果となりました。

この結果から原口背唇部に分化を引き起こす作用があることを発見したシュペーマンは、それに対して「形成体」と名付け、数年間の研究の全容を論文として発表しました。

また、形成体には分化していない細胞に対して分化を促す作用がある事を発見し、それに対してシュペーマンは「誘導」と称しました。

シュペーマンが発見したとされる形成体は、「オーガナイザー」もしくは「オーガナイザー・センター」とも呼ばれます。これらの実験は、共同研究者でありシュースマンの一番弟子的な存在であったヒルデ・プレショルトと共に行われました。

そして1928年、シュペーマンは両生類の胚を使用し、体細胞核移植を成功させました。この成功はクローン技術の始まりとも言える素晴らしい功績です。それらの実績により、1935年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

その後、長年研究者として第一線で活躍してきたシュースマンは、フライブルク大学の動物学教授として定年まで教鞭を取り、その傍ら研究者として研究を続ける生活を送っていました。そして1941年9月12日、心臓病によりこの世を去りました。

○まとめ

ジャック・レーブやアウグスト・ヴァイスマンの研究を元に細胞分裂の研究を行ってきたハンス・シュペーマン。彼は研究によって細胞の分割や人工的な双子形成に成功すると、さらに原口背唇部を予定外肺葉に移植する実験を行い、起こった結果に対して「形成体」と名付けました。彼はそれを論文として発表し、その後は形成体に未知の作用を発見、その作用には「誘導」という名称をつけます。そして彼は体細胞核移植にも成功し、1935年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。彼の発見は医学にとって非常に大きな進歩となり、その功績は計り知れないものと言えるでしょう。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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