ノーベル生理学・医学賞1963年アラン・ロイド・ホジキン:神経細胞の研究で高く評価された学者

アラン・ロイド・ホジキンはイギリスの生物物理者です。1963年に『神経細胞膜の末梢および中枢部における興奮と抑制に関するイオン機構の発見』でノーベル生理学・医学賞を受賞しました。アメリカケンサキイカを使った実験や、イオンチャネルについて研究したことでも知られています。そんなアラン・ロイド・ホジキンの受賞までの道のりについて詳しく解説していきます。

◆幼少期、学生時代

アラン・ロイド・ホジキンは、1914年2月5日にイギリスのオックスフォードシャー州バンベリーで生まれました。田舎町の自然あふれる環境の中で育ったため幼い頃から博物学に興味を持ち、特に鳥類学には強く関心があったようです。彼はダウンズ・マルバーンやグレシャム・スクールで学び、グレシャム・スクール在学中には英国王立鳥類保護協会主催のエッセイコンテストで銅メダルを受賞しています。ケンブリッジ大学に進学するとカエルの坐骨神経を使った実験などを行い、植物学、動物学、化学の知識を深めていきました。

◆受賞に至るまでの逸話など

大学時代に行ったカエルの神経実験以降より深く研究を進めてきたアランは、イオンチャネルの仮説を証明するため活動電位を測る実験を始めます。ボルテージクランプと呼ばれる電気生理学的技術が初めて用いられたほか、アメリカケンサキイカを使って今までは確認することのできなかった小さな神経繊維電流を記録することに成功します。
しかし第二次世界大戦の影響により実験は一時中断。アランは英国王立航空機研究所でパイロットへの酸素供給や、減圧症などの航空医学に取り組みます。1940年には電気通信研究機関に異動しレーダーや空中射撃システムの開発メンバーに配属され、翌年にはそのシステムを搭載した飛行機のテスト飛行にも参加しました。
戦争が終わると無事に中断されていた実験を再開。様々な財団や協会から支援を受けながら海洋生物協会の研究所でさらに研究を進めます。その結果「選択的透過性細胞膜」を横切るイオンの動きを確立させたアランは、活動電位の間に発生するイオン交換がどのように起こるのかにも着目し、電気化学的勾配に逆らいカリウムを吸収する分泌メカニズムがあることも実証したのです。数々の実験により神経の興奮、抑制の仕組みを解明する事に成功した彼はその功績を称えられ、1963年にノーベル生理学・医学賞を受賞。ノーベル賞受賞者が参加する晩餐会では、「国王とノーベル賞委員会に感謝したい」とスピーチを行なっています。受賞後は王立協会から会員資格を与えられ海洋生物協会の会長を務めるなど積極的に活動を続け、1998年12月20日84歳で亡くなりました。

◆おわりに

イオンチャンネルの研究で知られるアラン・ロイド・ホジキン。神経細胞を語る上で欠かせない発見や研究をした、後世に語り継ぐべき研究者の一人です。戦争による実験中断など様々な困難に立ち向かいながら研究を続けたその熱意と成果に、心から敬意を表したいと思います。

出典:(THENOBELPRIZE、hodgkin)(5,2021)

出典:(Wikipedia、Alan_Hodgkin)(5,2021)

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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