ノーベル生理学・医学賞1963年ジョン・C・エックルス:神経細胞の研究に尽力した神経生理学者

ジョン・C・エックルスはオーストラリアの神経生理学者です。1963年に『神経細胞膜の末梢および中枢部における興奮と抑制に関するイオン機構の発見』でノーベル生理学・医学賞を受賞しました。精神が脳にもたらす影響を研究し続けた学者としても知られます。そんなジョン・C・エックルスについて詳しく解説していきます。

◆幼少期、学生時代

ジョン・C・エックルスは、1903年1月27日にオーストラリアのメルボルンで生まれました。ジョンは1925年にメルボルン大学医学部を主席で卒業後、神経細胞の研究を行っていたイギリスの生理学者チャールズ・シェリントンのもとで勉強するためオックスフォード大学に入学します。1927年には有望な若い科学者を表彰するジュニアリサーチフェローシップに選ばれるなどとても期待された学生でした。
彼は在学中に中枢神経系と末梢神経、平滑筋、心筋におけるシナプス伝達について研究しており、その際電気生理学のために新たに開発された増幅器とオシロスコープを使っていたと言われています。

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◆受賞に至るまでの逸話など

大学を卒業したジョンはオーストラリアのシドニーにある医療研究所で猫とカエル使った神経筋接合部の分析を行いましたが、戦争の影響もあり思うように進めることができませんでした。1944年からは再度中枢神経のシナプス伝達について研究を始め、興奮性シナプスと抑制性シナプスによって生成される電気的応答を初めて記録することに成功します。その後も多数の研究を続け抑制性シナプス後電位(IPSP)を発見するという偉業を達成し、1962年にイギリス王立協会から知識や化学の分野で重要な貢献をした人物に贈られるロイヤル・メダルを授与されます。
それらの功績が認められ、1963年にはノーベル生理学・医学賞受賞となったのです。受賞後はアメリカ哲学協会名誉会員に選ばれ、米国科学アカデミー外国人准教授を務めるなど、研究のみならず教育の面にも力を入れていました。また1977年には、カール・ポパーという哲学者と共同で『自我と脳』という本を出版しています。この本の中でジョンは「精神が脳をコントロールしている」という二元論を提唱しており、当時世界中で話題となりました。

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◆おわりに

神経細胞の研究に尽力したジョン・C・エックルス。脳科学にも密接な関係があるシナプスを研究し続けた彼は偉大な功績を残したと言えるでしょう。現代の医学にも大きな影響を与え続けている彼の研究と成果に心から敬意を表したいと思います。

出典:(THE NOBEL PRIZE、eccles)(5,2021)

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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