ノーベル生理学・医学賞1981年デイヴィッド・H・ヒューベル:大脳での情報処理に関する謎を解明したカナダの神経生理学者

デイヴィッド・H・ヒューベルはカナダの神経生理学者です。「視覚系における情報処理に関する発見」という内容で1981年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。ネコを使った実験を行ったことでも知られています。そんなデイヴィッド・H・ヒューベルの受賞までの道のりを詳しく解説していきます。

◆幼少期・学生時代

デイヴィッド・H・ヒューベルは1926年2月27日にカナダのオンタリオ州にあるウィンザーという街で生まれました。デイヴィッドは6歳〜18歳までケベック州ウトルモンにあるストラスコナ・アカデミーで学び、卒業後はモントリオールにあるマギル大学で数学と物理を勉強します。その後マギル大学の医学部に進学し生物学などを本格的に学び、病院での実務講習などを通して神経学に興味を持ち研究の道に進みます。

◆受賞に至るまでの逸話など

戦争により徴兵されたデイヴィッドは、神経精神医学部のウォルターリード陸軍研究所に配属されました。ここでネコの視覚に関する研究を始めることになり、ネコの起きたときと寝たときの視覚野の状態を記録していく実験を行います。そして「網膜神経節細胞と外側膝状体のニューロンに小さな受容野があるのであれば、大脳皮質視覚野のニューロンにも受容野があるのではないか」と考えさらに実験を進めました。デイヴィッドはネコに麻酔をして視覚野に微小電極を刺入し、スクリーンに明暗を映し出したときのネコの視覚野に対するニューロン反応について記録します。するとある一定の棒状刺激に対してだけ反応しており、大脳皮質視覚野のニューロンが線分に反応することを発見。そしてこの線分に反応するニューロンを「単細胞型」、「複雑細胞型」、「超複雑型細胞」の3つに分類したのです。「単細胞型細胞」は光が付いたときと消えたときにそれぞれON、OFFにする受容野があり、「複雑型細胞型」は受容野のすべてでON、OFFの反応を示します。「超複雑型細胞」は複雑型と同じ反応をし、さらに線分が長いと反応しなくなる性質を持っていることを突き止めました。またネコの片目を眼帯などで短時間遮蔽すると、遮蔽されないもう片方の目が役割をカバーして視覚野に情報を送っていることも明らかにしました。この事実は弱視や色盲に対する理解を深める起因となっています。
これらの研究の成果が認められ、デイヴィッドは1981年にノーベル生理学・医学賞を受賞。他にもローゼンスティール賞(Rosenstiel Award)、ルイザ・グロス・ホロウィッツ賞(Louisa Gross Horwitz Prize)、ディクソン賞(Dickson Prize)、ラルフ・W・ジェラルド賞(Ralph W. Gerard Prize)など数々の賞を受賞しています。

◆終わりに

ネコを使った実験により感覚情報処理の謎を解明したデイヴィッド・H・ヒューベル。彼が研究を行なって以降多くの学者が視覚野について調べるようになり、神経生理学の中でもっとも進んだ分野となりました。またデイヴィッドが導き出した実験の成果をもとに、白内障や斜視の治療法も確立されています。医療の発展に大きく貢献したデイヴィッドは将来語り継がれるべき学者の一人となるでしょう。

出典:(Wikipedia、デイヴィッド・ヒューベル)(6,2021)

出典:(THE NOBEL PRIZE、hubel)(6,2021)

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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