ノーベル生理学・医学賞 1982年 スネ・ベリストローム:16年の研究をかけて受賞にたどり着いたスウェーデンの生化学者

スネ・ベリストロームはスウェーデンの生化学者です。1982年に生理活性物質として体の恒常的維持に重要な役割である一群の分子プロスタグアンジンの発見とその研究によりノーベル生理学・医学賞を受賞しました。そんなスネ・ベリストロームの受賞までの道のりを詳しく解説していきます。

◆生年月日・生まれた町・生まれた町の概要

スネ・ベリストロームは1916年1月10日にスウェーデンのストックホルムで生まれました。
ストックホルムは国内で最大の都市であり、首都でもあります。2016年には人口は約92万人で、北欧最大の人口を誇っています。北欧を代表する都市で、水に浮いているような美しい景観から「北欧のヴェニス」「水の都」と呼ばれています。
ストックホルムはスウェーデンの政治、経済、文化の中心地として発展し、多民族都市として発展を続けています。

◆幼少期・学生時代

スネ・ベリストロームはストックホルムで生まれました。1934年にストックホルムにあるカロリンスカ研究所で医学を学び始めます。カロリンスカ研究所(医療大学)ではジョルベスの助手として働きました。
第二次大戦中は研究を一時中断し、1940年から1942年の間アメリカに渡ります。1942年になるとスウェーデンに戻り、カロリンスカ研究所で生化学の研究をしました。その後今度はスイスのバーゼル大学で学び最終的にまたスウェーデンに戻り研究を再開することにしました。1944年には医学と生物学で博士号を取得します。

※画像はイメージです

◆受賞に至るまでの逸話など

ベリストロームは1946年にスウェーデンのルンド大学の研究室にいるとき、のちの1970年にノーベル生理学・医学賞を受賞するウルフ・フォン・オイラーに出会います。オイラーは1934年にプロスタグアンジンを発見しますがこの物質の単離(特定の要素だけを取り出すこと)にまだ成功していませんでした。その為、オイラーは自分の研究を引き継いで貰おうとベリストロームにプロスタグアンジンを単離する研究を勧め託すことにしたのです。
ベリストロームはプロスタグアンジンという未知の物質の研究に大変魅力を感じますが、ルンド大学の当時の研究室では設備や研究スタッフなどが不十分であることに気が付きます。そこでベリストロームはまず研究室を充実させるための準備を開始することにします。そしてようやく1950年代に入って研究室の設備が整い本格的にプロスタグアンジンの研究に取り組みはじめました。

ベリストロームはカロリンスカ研究所のノーベル研究室でもプロスタグアンジンの研究に没頭します。その実験内容は比較的多くのプロスタグアンジンが含まれているとされるヒツジの精嚢腺からプロスタグアンジンの単離を試むことでした。その結果ベリストロームはこのヒツジの精嚢腺からPGE₁とPGF₁というふたつの種類のプロスタグアンジンを単離することに成功しました。
1960年に入ってもベリストロームはプロスタグアンジンの研究を続けました。最初の単離成功から4年後には6種類のプロスタグアンジンの単離に成功することになります。そしてベリストロームはついにこの未知の物質であったプロスタグアンジンの単離と構造解明に成功しました。
1964年にはプロスタグアンジンが不飽和脂肪酸から合成されることを発見しました。オイラーが発見した当初、プロスタグアンジンは前立腺でだけ生成されると考えられていましたが、ベリストロームの構造解明以降の研究の結果現在ではプロスタグアンジンは体中のあらゆるところにある生理活性物質であり、生命の恒常的な維持に大きな役割を果たしていることがわかっています。

ベリストロームがプロスタグランジンの発見者であるオイラーから研究を引き継いだのは彼が30歳の時です。そしてベリストロームがプロスタグアンジンの単離に成功し構造を解明したのは彼が46歳の時でした。引き継いだ研究は16年の歳月を費やし成し遂げるに至りました。
その後、1982年にベリストロームは「生理活性物質として体の恒常的維持に重要な役割である一群の分子プロスタグランジンの発見」でノーベル生理学・医学賞を受賞することになりました。

終わりに

スネ・ベリストロームが生理活性物質であるプロスタグランジンの単離と構造解明に成功したことにより、プロスタグランジンの研究は大きく前進することになります。ベリストロームはその後のプロスタグランジンの研究において中心的人物なっています。

出典(Wikipedia、引用):スネ・ベリストローム(05,2021)

出典(ノーベル賞アウトリーチ、引用):Sune K. BergströmSune (05,2021)

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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