キャメロン・クロウ:音楽ジャーナリストからキャリアをはじめた映画監督

キャメロン・クロウは1957年7月13日にアメリカ合衆国カリフォルニア州のパームスプリングスに生まれた映画監督です。幼いころから音楽に傾倒し、15歳で音楽ジャーナリストになったのち、22歳で『初体験 リッジモント・ハイ』を発表してベストセラーになっています。その後は映画監督デビューし、数多くの作品を制作しました。そんなクロウの人生と作品について詳しく解説していきます。

■キャメロン・クロウとは

キャメロン・クロウは1957年7月13日にアメリカ合衆国カリフォルニア州、パームスプリングスに生まれた映画監督です。幼いころから音楽に傾倒していたクロウは15歳で音楽ジャーナリストとなり、「ローリング・ストーン」に寄稿。その経験をきっかけとして、さまざまなミュージシャンと交友を深めるようになっていきました。徐々に小説執筆にも挑戦するようになり、22歳の時に書いた小説『初体験/リッジモンド・ハイ』はベストセラー小説になります。同作は1982年に映画化され、クロウは脚本を手掛けました。

脚本家としての経験を積んだことで、クロウは徐々に映画界にも進出するようになっていきます。1989年には映画監督としてデビューし、2000年には『あの頃ペニー・レインと』でアカデミー脚本賞を受賞。ゴールデングローブ賞の作品賞にも選ばれました。

こうした劇場映画作品のほかにも、クロウは音楽業界でのキャリアを活かし、エルトン・ジョンとレオン・ラッセルのアルバム制作を題材にした「The Union」や「パール・ジャム20」といった音楽ドキュメンタリー作品も制作しています。

■キャメロン・クロウの作品

クロウ作品の特徴は、全体的にユーモアがちりばめられている点、また音楽ジャーナリストとしての経験を活かして各シーンに素晴らしい映画音楽を採用している点でしょう。元妻であるナンシー・ウィルソンはロックグループ「ハート」のメンバーで、クロウ作品の音楽を手がけたこともあります。また、音楽ジャーナリスト時代に交友を持つようになった数多くのアーティストからの影響もあるはずです。

そんなクロウは、どのような作品を制作してきたのでしょうか。代表作をいくつかご紹介します。

・『初体験/リッジモント・ハイ』 1982年

本作品は1982年に制作されたロマンティック・コメディ映画で、アメリカの高校生たちの恋と青春を描いています。全米興行収入週末成績最高3位を記録し、2005年にはアメリカ国立フィルム登録簿に永久登録されました。

リッジモント高校に通う若者たちを中心にした物語で、幼少期に別れを告げ、大人になるための第一歩を踏み出す時期のそれぞれの葛藤を描いています。15歳のステーシーは性交渉の経験がなく、どうしたらいいのかわからない気持ちでいっぱいです。経験豊富な友人のリンダに相談したり、デートをしたりしますが、段々とエスカレートしていってしまうステーシーの行動に注目の作品です。

・『シングルス』 1992年

本作品は1992年に制作されたロマンティック・コメディ映画で、2組のカップルの恋愛の行方とその周囲の人々の人間模様を描いています。ブリジット・フォンダやマット・ディロンなど、多くの若手スターが出演したことで話題になりました。

舞台はロックミュージックのイベントで盛り上がるシアトル。失恋したばかりのリンダは超特急列車の設計を夢見る青年スティーブと出会い意気投合し、付き合うようになります。スティーブと同じ独身者専用のアパートに住むウェイトレスのジャネットとロッカー志望のクリフもカップルとして愛を育んでいたものの、同じアパートの住人デヴィッドは恋人募集中のままでした。

ある日、リンダはスティーブの子どもを妊娠し、2人はさらに愛を深めていくものの、交通事故にあってリンダは流産してしまいます。失意のリンダはアラスカへと旅に出ることになります。一方、ジャネットはクリフにつれなくされ、その原因が小さい自分の胸にあるからだと思い込み、豊胸手術をうけようとするものの、整形外科医から今のままで十分だと諭されてしまいます。

映画はシアトルの1990年代初頭のグランジ・ムーブメントの最中に設定されており、そのムーブメントで著名ないくつかのミュージシャンも出演しています。

・『ザ・エージェント』 1996年

本作品は1996年に制作されたロマンティック・コメディ映画で、アカデミー賞作品賞、主演男優賞など5部門にノミネートされたほか、ゴールデングローブ賞でも3部門にノミネートされたことで話題になりました。

トム・クルーズ演じる優秀なスポーツ・エージェントのジェリー・マグワイアは、利益ばかりを追求する会社の方針に疑問を持ったため、提案書を提出するもそれがきっかけでクビになってしまいます。マグワイアは提案書に共感してくれたドロシーとともに会社を立ち上げ、仕事に没頭していくものの、そこで本当に大切なものは何なのかを追求するようになっていきます。

・『バニラ・スカイ』 2001年

本作品は2001年に公開されたロマンティック・サスペンス映画で、1997年のスペイン映画『オープン・ユア・アイズ』のリメイク作品にあたります。本作では舞台をニューヨークに移しているものの、ストーリーはほぼ同じで、同作でヒロインを演じたペネロペ・クロスが同じ役で出演しています。

主人公のデヴィッドは出版界の王様と呼ばれていた父が交通事故で死亡したことにより大富豪となり、パーティー三昧の日々を過ごしていました。そんなデヴィッドは、自身の誕生日パーティーで親友ブライアンの恋人ソフィアに一目ぼれしてしまいます。デヴィッドとの間に体の関係を持つジュリーはそれに気が付き、嫉妬のあまり自動車事故による無理心中を図ろうとします。

結局、運転していたジュリーは死亡し、助手席にいたデヴィッドは重体で3週間の昏睡状態に。そんなデヴィッドが目覚めると、ハンサムだった彼の顔は事故のせいで無残なものになっていました。この事故をきっかけに、デヴィッドの会社の老いた重役たちは会社を乗っ取ろうと策略するようになっていきます。

・『エリザベスタウン』 2005年

本作品は2005年に制作されたロマンティック・コメディ映画です。主人公のドリュー役をめぐってはアシュトン・カッチャーやジェームズ・フランコなどがオーディションを受けたものの、最終的に当時勢いづいていたオーランド・ブルームになったことで話題になりました。

シューズ会社に勤務する主人公のドリューは、自らデザインしたシューズが大失敗して約10億ドルもの損害を出してしまい、会社をクビになってしまいます。恋愛もうまくいかず、ドリューは絶望して自殺を決意。しかし、そんな時に父親の訃報を聞き、飛行機でケンタッキー州エリザベスタウンに向かいます。ドリューが人生の意味を取り戻していく様子が、希望を与えてくれる作品です。

■おわりに

キャメロン・クロウは1957年にアメリカ合衆国カリフォルニア州パームスプリングスに生まれた映画監督で、映画監督としては珍しく音楽ジャーナリストとしてキャリアをはじめた人物です。映画の所々にはクロウの音楽的センスが存分に生かされており、ストーリーはもちろん、音楽の豊かさも彼の映画作品の魅力の一つです。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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