デヴィッド・クローネンバーグ:『エイリアス』シリーズや『ジェイソンX』を制作した映画監督

デヴィッド・クローネンバーグは、1943年3月15日カナダのトロントで生まれた映画監督です。『エイリアス』シリーズや『ジェイソンX』といった作品は高い評価を得ました。そんな彼の人生と作品について詳しく解説していきましょう。

■デヴィッド・クローネンバーグとは

デヴィッド・クローネンバーグは、リトアニア系ユダヤ人の家庭で育ちます。父親はクライムストーリー専門の記者、母親はバレエ団でピアニストをしていました。そんな両親の影響で、幼少期から物語を書いたり、クラシックギターを嗜んだりしていた彼は、すでに映画へ繋がる素養を育んでいたのかもしれません。

その後の1961年、トロント大学へ入学します。当初は生化学と生物学を専攻していたものの、翌年には英文学部へ転部。彼は、在学中から短編小説を発表しており、評価も受けていました。しかし、ウィリアム・S・バロウズなど敬愛する作家達の域には及ばないと感じ、次の道を模索するようになります。大学を卒業した後、ヨーロッパ(主にデンマーク)へ1年間滞在。その後、トロント大学の大学院修士課程へ進学しました。

この頃、友人の影響で映画に興味を持ち、16ミリの短編映画『トランスファー』を制作。また、35ミリの映画『ステレオ/均衡の遺失』などを監督し、映画監督としての名声を高めていきました。1971年、カナダ議会からの補助金によって、フランスなどのヨーロッパ諸国で生活を始めます。そこで、3本のテレビ用作品を制作した後、帰国しました。

帰国後には、多くのテレビ作品を制作。そして、1975年に寄生生物の恐ろしさを描いた映画『デヴィッド・クローネンバーグのシーバース』で、劇場映画監督としてデビューしました。その後も、『ラビッド』や『ファイヤーボール』などを制作し、1980年の『スキャナーズ』からは人気を得るようになります。また、『ヴィデオドローム』も興行的には振るわなかったものの、アンディ・ウォーホールを始めとしたアーティストたちからの高い評価を受け、カルト的な作品として人気になりました。

『Shivers 1975 Trailer | They Came From Within | David Cronenberg』

その後、1990年にはフランス政府より芸術文化勲章を受章。さらに、1999年にはカンヌ国際映画祭審査委員長を務め、2001年にはトロント大学より名誉法学博士号を授与されました。国際的にも高い評価を得た彼ですが、2002年に制作した『スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする』は、興行的に失敗。彼はプロデューサーも務めていたため、破産寸前まで追い込まれてしまったのです。

しかし、2005年には大手スタジオの支援を受け、『ヒストリー・オブ・バイオレンス』を制作。カンヌ国際映画祭でパルムドール、ゴールデングローブ賞作品賞にノミネートされます。また、全米映画批評家協会賞では監督賞を受賞するなど、好評を博しました。その後も、彼は続々と制作に取り組んでおり、今後が期待される監督の一人です。

■デヴィッド・クローネンバーグの作品

デヴィッド・クローネンバーグの特長といえば、独特なボディ・ホラー映画でしょう。ボディ・ホラー映画とは、身体が極度に変容したり、破裂したりするシーンを描く映画の事です。1975年の『デヴィッド・クローネンバーグのシーバース』では、肛門から侵入した寄生生物が宿主を操るという恐怖を描き、話題になりました。

そんな彼の作品について、主要な物をご紹介しましょう。

・『スキャナーズ』 1981年

彼の出世作である本作品は、超能力者たちの戦いを描いたSFホラー映画です。CGが採用される前の映画なので、派手なシーンは少ないものの、狂気的なシーンが話題を呼びました。また、ディック・スミス(アメリカのメイクアップアーティスト)の特殊メイクが様々な方面で評価を受けています。

ある日、放浪者のベイルはショッピングセンターで、客が残したハンバーガーを食べていました。そんなベイルを蔑むような目で見ていた婦人客に対し、悪意の目で睨んだところ、もがき苦しみ卒倒。この状況に混乱したベイルは、コート姿の男たちに麻酔銃を撃たれ、捕まってしまいます。

ベイルが目を覚ますと、そこは要人警護の国際的警備保障会社であるコンセック社が設立した超能力者の研究所で、自身がスキャナーである事も知りました。ベイルは、スキャナーたちを地下組織に集結させ、世界征服を企てているレボックの殺害を依頼されます。

『Scanners, David Cronenberg – Original Trailer HD – By Film&Clips』

・『ヒストリー・オブ・バイオレンス』 2005年

本作品は、ジョン・ワグナーのグラフィック・ノベルを映画化した作品です。2005年度のアカデミー賞ではデヴィッド・クローネンバーグが脚色賞、ウィリアム・ハートが助演男優賞にノミネートされ、話題となりました。

物語の舞台は、インディアナ州の田舎町ミルブルック。小さなダイナーを営むトム・ストールは、弁護士の妻エディと高校生の息子ジャック、そして幼い娘サラと共に平穏な日々を過ごしていました。そんなある日、トムの店が強盗に襲われますが、トムは見事に強盗を撃退。店の客や従業員を救ったトムは、一夜にして地元のヒーローとなるのです。

数日後、トムのダイナーに手下を連れたマフィアのカール・フォガティが現れます。ファガティは、トムの本名がジョーイ・キューザックであり、フィラデルフィア・マフィアのボスの弟であると主張しました。しかし、人違いであると否定するトムに納得できないフォガティは、一家に付き纏うようになります。

そんなトムの態度に痺れを切らしたフォガティは、息子のジャックを捕え、フィラデルフィアへ同行するように強迫。その時、トムはジョーイ・キューザックに豹変し、手下2人をいとも簡単に殺害してしまうのです。

『A History of Violence (Trailer)』

■おわりに

デヴィッド・クローネンバーグは、学生時代から映画に興味を持ち、ボディ・ホラー映画で高い評価を得ています。一時はハリウッド大作のオファーもありましたが、独自の制作スタイルを貫き通しました。カンヌ国際映画祭で審査委員長を務めるなど、後進を牽引する存在でもあります。

彼は、2014年の『マップ・トゥ・ザ・スターズ』以降、作品を発表していません。どのような作品を発表してくれるのか、今後の活躍に期待しましょう。

出典:Wikipedia David Cronenberg (06.2021)
出典:Wikipedia Scanners (06.2021)
出典:Wikipedia A History of Violence (06.2021)

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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