フランク・キャプラ:3度アカデミー監督賞を受賞した映画監督

(Public Domain /‘A portrait photo of Frank Capra.’ by Columbia Pictures. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

フランク・キャプラは1897年5月18日にイタリア、シチリア島ビザックイーノに生まれた映画監督です。『或る夜の出来事』『オペラハット』『我が家の楽園』で、3度のアカデミー監督賞を受賞したことで知られています。そんなフランク・キャプラの人生と作品について詳しく解説していきます。

(Public Domain /‘Frank Capra cuts Army film as a Signal Corps Reserve major during World War II.’ by Unknown author. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

■フランク・キャプラとは

フランク・キャプラは1897年5月18日にイタリア、シチリア島のビザックイーノに生まれました。生家はぶどう農園を営んでいたものの、7人兄弟であったため家は貧しかったそう。そのため、キャプラが6歳の時に家族でロサンゼルスに移住することになります。父親はオレンジ畑で働きますが、家計は火の車で、キャプラ自身も新聞の売り子やバンジョー弾きとして家にお金を入れていました。

1918年にはThroop Institute(後のカリフォルニア工科大学)でエンジニアリングを学び、卒業後は陸軍に従軍します。しかし、スペイン風邪にかかり除隊し、本のセールスなどの仕事などを転々とした後、シナリオの学校に入学しました。徐々に映画に関心を寄せるようになったキャプラは、1921年にクリスティ映画社に入社。その後、ポール・ガースン映画社に移り、喜劇映画の制作に関わるようになります。

1925年には、喜劇俳優ハリー・ラングトン主演のコメディ映画で長編監督デビューし、ラングトン専属の映画監督となりました。しかし、ラングトン自身が監督を手がけるようになったため、キャプラは仕事をなくしてしまいます。1928年にはコロンビア映画の重役ハリー・コーンらと専属契約を結ぶことになり、『サブマリン』、『渦巻く都会』、『空の王者』、『大飛行船』、『狂乱のアメリカ』の監督を担当しました。

(Public Domain /‘Original movie poster for the American film It Happened One Night (1934), directed by Frank Capra.’ by Columbia Pictures Corp. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

1933年にはのちに盟友となるロバート・リスキンと意気投合し、『一日だけの淑女』を発表。同作はアカデミー作品賞と監督賞にノミネートされ、キャプラとリスキンの出世作となりました。この作品では受賞を逃しましたが、1934年の『或る夜の出来事』ではアカデミー賞の作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、脚本賞と主要部門を制覇。同作の大ヒットを経てキャプラは国内でも認められるようになり、コロンビアもまたメジャースタジオの仲間入りを果たすことになります。その後もキャプラの快進撃は続き、1936年の『オペラハット』では再び監督賞を受賞。また、1938年の『我が家の楽園』では作品賞と3度目の監督賞を受賞しました。

1935年からはアカデミー会長をつとめるなどアメリカ映画界を牽引する立場となったキャプラでしたが、第二次世界大戦中は軍隊に志願し、アメリカ陸軍の映画班に所属します。日中戦争を描いた『ザ・バトル・オブ・チャイナ』をはじめとしたプロパガンダ映画を制作しました。

1945年にはジョージ・スティーブンスやウィリアム・ワイラーとともに制作会社リバティ・ピクチャーズを創設します。しかし、同スタジオで1946年に発表した『素晴らしき哉、人生!』が興行的に大失敗してしまったことでキャプラは自信を喪失し、1964年には映画界から引退することになります。

(Public Domain /‘Theatrical poster for the release of the 1946 film It’s a Wonderful Life, starring James Stewart and Donna Reed.’ by Copyright 1946 RKO Radio Pictures Inc. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

一方、1970年代からパブリックドメインとなった『素晴らしき哉、人生!』がクリスマスの時期に頻繁に放映されるようになってからは、それまでキャプラを知らない若い世代から再評価されるようになりました。その後、1991年にキャプラは老衰のため、94歳の生涯を閉じています。

(Public Domain /‘L. to R. : Walter Brennan, Gary Cooper, Irving Bacon, Barbara Stanwyck & James Gleason in Meet John Doe’ by film screenshot (Frank Capra Prod. / Warner Bros.). Image via WIKIMEDIA COMMONS)

■フランク・キャプラの作品

フランク・キャプラの作品の特徴は、全体的にユーモアあふれるストーリー展開となっているところです。キャプラはもともと喜劇映画の制作からそのキャリアをはじめたことから、古き良きアメリカ映画の影響を大きく受けていると考えられます。

そんなキャプラは、どのような作品を制作してきたのでしょうか。代表作をいくつかご紹介します。

(Public Domain /‘Promotional photograph of the film Lady for a Day starring Warren William and May Robson’ by Columbia Pictures. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

・『一日だけの淑女』 1933年

本作品は1933年に公開されたコメディ映画で、デイモン・ラニアンの短編小説を原作としています。

主人公のアニーは、ブロードウェイでりんごを売る浮浪者。彼女は、スペインで育った娘のルイーズに、ニューヨークの上流社会に属していると思わせています。しかし、ルイーズは婚約者とその父親であるスペインの貴族を伴って、突然アメリカに行くことをアニーに伝えるのです。そこで、アニーのリンゴが幸運をもたらすと信じているギャング、デイブの助けによって、アニーはルイーズの滞在中に上流社会に溶け込んでいるように見せかけられていくのです。

(Public Domain /‘Cropped screenshot of Clark Gable and Claudette Colbert from the trailer for the film It Happened One Night.’ by Trailer screenshot, from DVD It Happened One Night, Columbia, 1999. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

・『或る夜の出来事』 1934年

本作品は1934年に公開されたコメディ映画です。アカデミー賞では主要5部門でノミネートされ、そのまま5部門とも受賞するという大記録を打ち立てました。

富豪の令嬢エリーはプレイボーイの飛行士ウェストリーとの結婚を父親に反対され、辛い日々を過ごしていました。そんな娘に業を煮やした父親は、エリーを海上に浮かぶヨットに監禁してしまいます。エリーはそんな父親に反発し、ヨットから海へとダイブして脱出に成功。マイアミからニューヨークへ向かう夜行バスに乗ることになるのです。

彼女の乗るバスに居合わせたのは、失業中の新聞記者ピーター。2人は座席をめぐって大喧嘩を繰り広げるものの、バスは大雨で立ち往生してしまいます。エリーとピーターは乏しい所持金をやりくりし、新婚夫婦と偽り安宿の一室に泊まることになりました。そこで、ピーターは部屋の真ん中にロープを張り、毛布を掛けて「ジェリコの壁」と呼び、エリーの貞操とピーターの面子を守ることにします。

その後、2人は所持金も少なくなり、ヒッチハイクをしながらニューヨークを目指すことになりますが、苦楽を共にすることで2人は惹かれ合うようになっていました。しかし、ピーターは無一文でエリーと結婚するわけにはいかないと思い、夜中にエリーを残してひとりモーテルを出てしまいます。翌朝、ピーターに捨てられたと勘違いしたエリーは父親に連絡を取り、半ば自暴自棄でウェストリーと結婚することになります。

そんなエリーの状況を聞いたピーターは、ひどく憤ってしまいました。彼は結婚式の当日にエリーの父親の元を訪れ、エリーをニューヨークまで送り届けた経費を請求。父親はピーターのその態度が気に入り、エリーに本心を確かめます。そこでエリーはピーターへの深い愛情を自覚し、2人は結ばれることになるのです。

■おわりに

フランク・キャプラは3度もアカデミー監督賞を受賞した映画監督であり、アメリカ映画界を牽引した人物と言えるでしょう。晩年こそ失意の日々を送ったものの、それぞれの作品はアメリカ黄金時代を象徴する作品となりました。お時間のある際には、ぜひ彼の作品を鑑賞してみてはいかがでしょうか。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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