ヤン・シュヴァンクマイエル:シュルレアリストの映画監督

ヤン・シュヴァンクマイエルは1934年9月3日チェコスロバキアのプラハに生まれた映画監督です。アニメーションや映像作品を多く制作する一方、文学・芸術運動のシュルレアリストとしてドローイングやテラコッタ、オブジェなどの作品も制作しており、妻のエヴァ・シュヴァンクマイエロアヴァーとともに共同作業を行っていたことでも有名です。そんなシュヴァンクマイエルの人生と作品について詳しく解説していきます。

■ヤン・シュヴァンクマイエルとは

ヤン・シュヴァンクマイエルは1934年9月4日チェコスロバキアのプラハで生まれました。シュヴァンクマイエルはプラハの工芸高等学校に入学し、そこではじめてシュルレアリスムに触れることになります。卒業後はチェコ国立芸術アカデミー演劇学部人形劇科に入学しました。2年間兵役に就いたのち、シュルレアリストのエヴァ・シュヴァンクマイエロヴァーと結婚。その後は仮面劇や人形劇、そしてオブジェの制作を始めるようになっていきました。

1964年にクラートキー・フィルム・プラハで最初の映画作品『シュヴァルツヴァルト氏とエドガルの最後のトリック』を発表し、以後『アリス』や『ファウスト』といった長編作品を手掛けていきました。独自の世界観を表した作品であるとして、高い評価を集めています。

■ヤン・シュヴァンクマイエルの作品

ヤン・シュヴァンクマイエルの作品の特長は、作中で「食べる」という行為が頻繁に用いられていることでしょう。食べ物が不味そうに見えたり、不快感を及ぼすような描写が施されていたり、これは本人が子どものころから食べることが好きではなかったからと発言しています。

また本人は自らを「戦闘的シュルレアリスト」と称しており、社会主義や全体主義、商業中心主義などに抵抗を試みる作品が多くみられます。また政治的な主張が含まれていることも多く、作中にスターリン主義の崩壊が明確に表現されたこともありました。

そんなヤン・シュヴァンクマイエルの作品には、どのような作品が含まれているのでしょうか。主要な作品についてご紹介します。

参照: ヤン・シュヴァンクマイエル – Wikipedia アクセス日:2021年7月1日

・『アリス』 1988年

本作品は1988年に公開され、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」のストーリーを元に実写とアニメーションの合成で不気味な不思議の国を描いています。

散らかった部屋の中であまりの退屈さにうんざりしていたアリス。突然ガラスケースの中の白うさぎが動き出し、懐中時計を手に慌てて駆け出していきます。その姿に驚いたアリスは後を追い、いつしか不思議の国へとたどり着きました。白うさぎの後を追ったアリスはトランプの国にたどり着くものの、タルトを食べた罪で女王から死刑を命じられてしまいます。

・『オテサーネク 妄想の子ども』 2000年

本作品はチェコの民話「オテサーネク(食人木)」にインスピレーションを受け制作されました。

不妊に悩むホラーク夫妻。夫のカレルはノイローゼの妻ボジェナを慰めるために、庭で見つけた赤ん坊の形に似た切り株をプレゼントします。ボジェナはその切り株をオティークと名付け溺愛しました。次第にオティークは自らの意思で動き出し、恐ろしい食欲で瞬く間に成長。飼い猫や郵便配達員までもエサとしてしまうオティークを恐ろしく思った夫妻はオティークを地下室に閉じ込めてしまいます。

■おわりに

ヤン・シュヴァンクマイエルはチェコスロバキアのプラハに生まれた映画監督であり、シュルレアリストとしても活動している人物です。彼の作風はメタファーが巧妙に用いられているほか、社会主義や商業中心主義などに抵抗を試みる作品が多く、まさに「戦闘的シュルレアリスト」の作品に仕上がっています。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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