ノーベル生理学・医学賞 2009年 ジャック・W・ショスタク:細胞の寿命を左右するテロメア配列を発見した研究者

ジャック・W・ショスタクはアメリカ出身の生物学者です。2009年にテロメア配列を発見した功績によりノーベル生理学・医学賞を受賞しました。また共同研究者である生物学者のエリザベス・H・ブラックバーンと分子生物学者のキャロル・W・グライダーも同時受賞しています。そんなジャック・W・ショスタクの受賞までの道のりについて詳しく解説していきます。

◆彼の生年月日と生まれた町について

ジャック・W・ショスタクは1952年11月9日にイギリスのロンドンで生まれました。

ロンドンはイギリスの首都でヨーロッパ最大の都市であり、古代ローマ帝国が創建したロンディニウムを起源としており、都市範囲は中世以来ほぼ変化していません。現在は商業や教育、金融、芸術などの幅広い業種の中心地として栄えており、世界中からビジネスマンや観光客が多く訪れます。また同一都市としては最多回数3度のオリンピック開催地となっており、スポーツでも有名な地域として知られています。

◆幼少期や学生時代

ショスタクは航空エンジニアであった父の息子として生まれ、モントリオール郊外のリバーデール高校を卒業すると、マギル大学に入学し細胞生物学を学ぶようになります。
そして遺伝学者であったチェン・K・チャイ博士の指導の下で生物学を習得し、卒業後はニューヨークへ移りコーネル大学の大学院に入学しました。その後、彼の関心は分子生物学の遺伝子構造へ移り、同じ大学院生であったジョン・スタイルズと共同でDNA配列の研究を行ったのちレイ・ウー教授の研究室に所属します。

博士課程を修了する1977年にウー教授の研究室に酵母遺伝学者のロドニー・ロススタインが参加し、酵母の形質転換実験を共同で行うことになります。そしてロドニーから酵母に関する豊富な知識を得て、組み換え研究に着手し酵母人工染色体を構築することに成功しました。

◆受賞に至るまでの逸話など

博士号を取得したショスタクはシドニー・ファーバー癌研究所(現在のダナ・ファーバー癌研究所)で勤務を始めた後、ハーバード大学医学部で自身の研究室を立ち上げ、大学院生たちを指導しつつ研究に邁進しました。

1984年からマサチューセッツ総合病院(MGH)で設立されたばかりの分子生物学部に招かれます。ショスタクを呼び寄せたのは学部を創設したハワード・グッドマンで、彼は最先端のバイオテクノロジーに関わる重要人物であり、学部運営に産業界を巻き込み大手企業と約10年間のサポートについて合意していました。この環境に魅力を感じたショスタクはマサチューセッツ総合病院で働くことを決意します。そして研究分野を拡大しようと考えたショスタクはハーバード大学でさまざまなカリキュラムを受け、1988年からハーバード大学医学部の教授に就任します。

シドニー・ファーバー癌研究所に所属するとDNAの二本鎖切断と組換えによる修復について調べることから始め、その過程でDNAの末端で起こる反応について考え、セミナーや国際会議で情報を集めることになりました。

1980年の夏に出席した会議で生物学者のブラックバーンと出会います。ブラックバーンは単細胞生物であるテトラヒメナを使用した実験で「染色体末端には回文構造があり、DNA複製と関係していること」を発見し、さらなるテロメア配列の解明を目指していました。彼女はショスタクのもつ人工染色体の知識に魅力を感じ共同研究を提案します。

ショスタク自身もテロメア配列の機能に興味を持っていたため、ショスタクとブラックバーンの共同研究がスタートします。彼らはテトラヒメナの実験においてショスタクが作った人工染色体を使用し、テロメア配列の存在と役割の解明に成功しました。

そしてショスタクはテロメア構造に関する研究により2009年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。共同研究者であるブラックバーンとテロメラーゼをブラックバーンと共に発見したグライダーも同時受賞しました。また、ショスタクは1994年の米国科学アカデミー賞分子生物学部門を始めとして、2006年にアルバート・ラスカー基礎医学研究賞を、2008年にハイネケン賞を、さらに2009年にはトムソン・ロイター引用栄誉賞などを受賞しています。

ノーベル賞受賞後のショスタクは、人工的に細胞の構成要素を構築することで「生命の起源」に迫ろうと研究を続けています。

◆終わりに

ジャック・W・ショスタクはブラックバーンとの共同研究により「テロメア配列の解明」に成功した生物学者です。この研究結果は「酵素テロメラーゼ」の発見に繋がり、さまざまな病気の治療法解明のきっかけになると期待されています。また、酵母の染色体を人工的に構築した世界初の人物としても有名です。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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