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ノーベル生理学・医学賞2014年 ジョン・オキーフ:モーセル夫妻と共に脳における空間認知システムを構成する細胞を発見したアメリカ合衆国・イギリスの神経科学者

ジョン・オキーフはアメリカ合衆国・イギリスの神経科学者です。2014年に脳がどのようにして空間を認識するかという空間認知システムを構成する細胞を発見した功績によりマイブリット・モーセル、エドバルド・モーセルとともにノーベル生理学・医学賞を受賞しました。そんなジョン・オキーフの受賞までの道のりを詳しく解説していきます。

◆生年月日・生まれた町・生まれた町の概要

ジョン・オキーフは1939年11月18日、アメリカ合衆国ニューヨークでアイルランドからの移民である両親の間に生まれました。

ニューヨーク市はブロンクス、ブルックリン、マンハッタン、クイーンズ、スタテンアイランドという5つの行政区からなる人口約820万人の大都市です。アメリカの都市の中でも公共交通機関がとても発達しており、24時間運航しているものもあります。そのためニューヨークは「眠らない町」「ビッグ・アップル」「ゴッサム」というニックネームがあります。

◆幼少期・学生時代

ジョン・オキーフの両親はアイルランドからの移民です。彼の両親はアイルランドで小学校も卒業していませんでした。世界恐慌を前に両親はアイルランドからニューヨークに渡っています。

オキーフは地元のカトリック系の学校で初等教育を受けます。そしてイエスズ会の高校であるレイズに進学します。しかしラテン語やギリシャ語の理解が出来ず積極的に勉強に挑めませんでした。それに伴い成績も伸び悩み大学へ行くための奨学金を得ることができませんでした。大学へ通う学費を賄うため高校卒業後はウォール街の証券会社の事務職や保険会社で勤務しました。

オキーフは昼間仕事をしながらニューヨーク大学で3年間航空工学を勉強します。しかし仕事と勉学の両立は難しく、オキーフは大学で勉強することを選択します。オキーフは大学で哲学や心理学など幅広く勉強します。そして生理心理学コースで学び、1963年に大学を卒業します。

※マギル大学

卒業後、モントリオールのマギル大学の大学院へと進学します。

オキーフは1967年、米国立精神衛生研究所の博士研究員(ポスドク)としてユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンで研究することになります。1987年には同大学の教授となり、現在もこの大学に勤務しています。そのためオキーフはアメリカとイギリスの国籍を持っています。

◆受賞に至るまでの逸話など

ジョン・オキーフの妻はカント哲学の研究者でした。カントは18世紀のドイツの哲学者です。カントは人の空間認識について人間は心のなかに直感的に空間を認識できる能力を持っているため脳で空間を認識するという考えを提唱していました。オキーフは空間の認識について脳科学の立場から研究し解明することにとても魅力を感じていました。

※画像はイメージです

そしてオキーフは脳の中に空間を認識することができる部位があるのではないかと考えます。その役目を担うのは「海馬」ではないかと推測します。その理由は海馬が損傷したとき記憶障害などが起きるためといわれています。

そこでオキーフはネズミの海馬に極小電極を埋め込み、ネズミが四角い箱の中を自由に動き回っているときの海馬ニューロンのパターンを電気的に記録し調べることにしました。その結果ひとつの海馬ニューロンはひとつの場所で発火活動をすることに気が付きます。それぞれの海馬ニューロンは特定の場所でそれぞれ発火活動が起こるためオキーフはこのニューロンを「場所細胞」と名付けました。場所細胞は場所の情報を記憶することができる細胞であることを発見したのです。そしてたくさんの場所細胞が集まることで自分がどの場所にいるのかを認識することができます。つまり海馬に認識地図ができるというわけです。

さらにオキーフは「場所細胞の位相前進」という現象があることを発見します。あるときオキーフはマギル大学の同僚であったヴァンダーヴォルフから彼が発見した海馬からの脳波とオキーフが発見した場所細胞の間には何か関係があるのではないかという質問をされます。

オキーフはさっそく実験をはじめ「シータ波」という脳波によって場所細胞の発火のタイミングを詳しく決定していることを発見します。さらにシータ波と場所細胞の発火は完全に同期しているのではなく少しずつタイミングがずれていくことに気が付きました。オキーフはこの現象を「場所細胞の位相前進」と名付けました。この現象では人間が道を歩くときにわずか0.1秒の間に今まで歩いてきた道とこれから歩いていく道の情報が海馬の中で表現されているということになります。

オキーフはその後の2014年にノーベル生理学・医学賞をモーセル夫妻と共に受賞しました。

終わりに

ジョン・オキーフは人間が空間をどのように認識するのかという空間認識システムを解明することに成功しました。この発見は場所細胞という細胞が空間認識を行っているというまさに画期的なものだったといえるでしょう。

出典(Wikipedia、引用):John O’Keefe (neuroscientist) (06.2021)
出典(the Nobel Prize、引用):John O’Keefe – Biographical – NobelPrize.org (06.2021)

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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