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ノーベル生理学・医学賞2015年 大村智:線虫の寄生によって引き起こされる感染症に対する新しい治療法を発見した日本の科学者

大村智は日本の科学者です。2015年、ウィリアム・C・キャンベルと共に線虫の寄生によって引き起こされる感染症に対する新しい治療法(新薬)を発見した功績によりノーベル生理学・医学賞を受賞しました。そんな大村智の受賞までの道のりを詳しく解説していきます。

◆生年月日・生まれた町・生まれた町の概要

大村智は1935年7月12日、山梨県韮崎市で生まれました。韮崎市は山梨県の北部に位置する市で東西は南アルプス国立公園や県立南アルプス巨摩自然公園に属する山々に囲まれた自然豊かな地域です。

現在、韮崎市はサッカーの町として全国に知られています。全国高等学校サッカー大会の常連校があり、プロサッカーチームのヴァンフォーレ甲府の設立当初からのホームです。また韮崎市はヴァンフォーレ甲府の大株主でもあります。

◆幼少期・学生時代

大村智は山梨県韮崎の農家に5人兄弟の長男として生まれました。子どものころから農業の手伝いや家畜の世話などをすることが多かったといいます。そのため大学に進学するまでまともに勉強することはなかったといいます。

高校時代に大村は勉強よりもスポーツに熱中し、スキー部と卓球部の主将を務めています。国民体育大会に出場した経験を持っています。
1954年高校卒業後、山梨大学学芸学部(現在は教育学部)自然科学部に入学します。1958年山梨大学を卒業しましたが、成績はあまりいいとは言えなかったようです。地元の高校で理科教師を目指しますが特に採用に結びつくことは無く埼玉県へ移住することにしました。移住後、東京都立墨田工業高校定時制の理科教師として5年間教鞭をとりました。この時勉学に励む高校生の姿を見て改めて自身もまた勉強をしたいと考えるようになりました。

1960年東京理科大学大学院理学部研究室の研究生となります。大村智は高校教諭として教鞭をとりながら1963年に修士課程を修了します。
修士課程を修了するのに3年間かかったのは、当初研究していたテーマが横浜国立大学の教授と同じであり、さらに先にその教授によって論文が提出されたことで研究テーマが変更されたためでした。

◆受賞に至るまでの逸話など

大村は東京理科大学大学院を卒業後、山梨大学の工学部の助手となります。1965年に山梨大学を退職後、社団法人北里研究所の研究部抗生物質研究室技師補として赴任しました。北里研究所では抗生物質の研究を行い、ロイコマイシンの構造を解明することになります。1968年にはロイコマイシンの研究で東京大学から薬学博士を授与されます。さらに1970年には東京理科大学から理学博士を授与されました。

※メルク・アンド・カンパニー社

1971年、ウェズリアン大学の客員教授を兼任することになりアメリカへ留学することになります。ウェズリアン大学で研究していた時、メルク・アンド・カンパニー社から研究費を援助してもらうことになりました。

1973年、アメリカでの研究を続けようと考えていた大村でしたが北里研究所抗生物質研究室の室長に就任するために帰国することになりました。そして大村はメルク社との産学提携として共同研究を開始します。
1974年、大村は静岡県伊東市近郊のゴルフ場の土壌の菌の培養液の色と性質に着目し、これは何かあるかもしれないと提携先であるメルク社にサンプルを送ることにしました。

メルク社では新薬開発の為にキャンベルのチームが10万種類ほどあるバクテリアの中から有望なバクテリアを探していました。キャンベルのチームは大村から送られてきたサンプルを研究することにしました。この新しい種類の放線菌は大村とメルク社との共同で研究が進みその結果、大村はイベルメクチンを発見します。

このイベルメクチンは様々な研究の結果寄生虫の駆除にとても有効なことがわかりました。動物の神経や筋肉細胞は電気信号を送って細胞の中の収縮を行っています。インベルメクチンは寄生虫の神経や筋細胞への電気信号を阻害するという効果があるため寄生虫を麻痺させ駆除することができるのです。

そしてインベルメクチンは牛1頭に対してわずかな量でほとんどの寄生虫が駆除されるように改良されました。しかも効果が高いにもかかわらず、副作用がほとんどないというメリットがありました。

大村らが発見したインベルメクチンは最初、牛などの家畜の寄生虫駆除剤として開発されました。その効果は素晴らしいもので多くの家畜の命を救うこととなりました。インベルメクチンの発見は産学提携が成功した素晴らしい結果といえるでしょう。

家畜への効果が確認されるとインベルメクチンは人にも効果があるのではないかと考えられました。数々の臨床の結果オンコセルカ症にとくに有効であることがわかりました。現在ではインベルメクチンは「ストロメクトール」という名称で販売されています。

メルク社は動物薬としてインベルメクチンを販売することで多大な利益を得ました。そのためメルク社と大村は、ヒト用のインベルメクチンを無償で提供することにしました。この功績により大村はノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

終わりに

※写真はイメージです

大村智は、メルク・アンド・カンパニー社との提携により多額のロイヤリティを得ることができました。そして経営難が続いていた北里研究所の立て直しや新しい病院や看護学校の建設資金となりました。さらにメルク社と提携して大村智は現在でも無償でオンコセルカ症撲滅のため薬を提供しています。

出典(Wikipedia 引用):大村智 (06.2021)

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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