• HOME
  • 記事
  • 医師・研究者 , 医療
  • ノーベル生理学・医学賞 2017年 ジェフリー・ホール:体内時計を制御する分子メカニズムを発見したアメリカの遺伝学者、時間生物学者

ノーベル生理学・医学賞 2017年 ジェフリー・ホール:体内時計を制御する分子メカニズムを発見したアメリカの遺伝学者、時間生物学者

ジェフリー・ホールはアメリカの遺伝学者、時間生物学者です。2017年に『体内時計を制御する分子メカニズムの発見』でノーベル生理学・医学賞を受賞しました。そんなジェフリー・ホールの受賞までの道のりについて解説していきます。

◆幼少期、学生時代

ホールはニューヨーク州ブルックリンで生まれ、ワシントンD.C.の郊外で育ちました。父親のジョセフ・W・ホールはAP通信の記者として働いており、幼少期のホールに大きな影響を与えていたと言います。ホールはメリーランド州ベセスダのウォルタージョンソン高校に通い、1963年に卒業しました。その後ホールは医学のキャリアを追求することに決め、1963年にアマースト大学に進学しました。

◆受賞に至るまでの逸話など

※ワシントン大学

ホールは1967年になるとワシントン大学に入学し、遺伝学部に加わった後ローレンス・サンドラーの研究室で働き始めました。ホールはサンドラーと協力して減数分裂における染色体行動の遺伝的制御に着目し、『ショウジョウバエの年齢依存性酵素の変化』を分析しました。

※カリフォルニア工科大学

その後、ホールは順遺伝学のパイオニアであるシーモア・ベンザーとの研究をカリフォルニア工科大学で進めるよう奨励され、1971年にベンザーの研究室に加わりました。そこではショウジョウバエ研究の恩師であるダグラス・カンケル博士と協力して研究を進め、彼らは2つのプロジェクトで大きな進歩を遂げることとなります。しかしホールは研究結果を発表する前にベンザーの研究室を去り、1974年に生物学の助教授としてブランダイス大学に入学しました。

※イメージ画像

1960年代後半に、ホールはロナルドJ.コノプカによって生成された『睡眠覚醒サイクルの異常を引き起こす周期の変異』が求愛歌のサイクルにも影響を与えているのではないかと考え、求愛歌に対する周期変異の影響についての実験を開始しました。研究の結果、彼は周期の変異が概日リズムを変化させたのと同じように、求愛歌にも影響を与える働きがあることを発見しました。 pers対立遺伝子はより短い(約40秒)振動を生成し、perl対立遺伝子はより長く(約76秒)、peroは規則的な振動を持たない歌を生成しました。

1970年代後半、フロリアン・フォン・シルチャーとの共同研究によってショウジョウバエの雄が求愛行動をとる際に用いる求愛歌の制御に寄与する神経領域を特定することに成功しました。そして、さらに研究を進めたホールはショウジョウバエの求愛歌が約1分間の周期でリズミカルに作成されていることを発見しました。

※イメージ画像

1984年、ホールとマイケル・ロスバッシュの研究チームはキイロショウジョウバエの遺伝子クローンを作製し、研究を行いました。その結果、ショウジョウバエは体内時計を調節する機能を有していることを発見しました。また、この遺伝子によってコードされる伝令RNAおよびタンパク質は概日振動に応じて変化することを解明しました。

1990年に、ホールはマイケル・ロスバッシュとポール・ハーディンとの共同研究で、Periodタンパク質(PER)が自身の転写を抑制する役割を果たしていることを発見しました。 PERの正確な役割は不明ですが、彼らはショウジョウバエの概日時計の中心的なメカニズムとして機能する『負の転写翻訳フィードバックループモデル(TTFL)』を開発することができました。このオリジナルモデルでは、perの発現によりPERが増加し、PERの濃度が一定になるとperの発現が低下してPERの濃度が下がって再びperが発現するようになりました。

またホールは、別々の組織を異なる明暗サイクルに同時に同調させることに成功しました。色素分散因子タンパク質(PDF)が、細胞内のこれらの遺伝子の概日リズム、さらに自発運動の制御に役立つことを発見しました。これは、ショウジョウバエの脳の小さな腹側外側ニューロン(sLNvs)にローカライズされました。

このデータから、ホールは『sLNvがショウジョウバエの主要な発振器として機能し、PDFが細胞間の同期を可能にする』ことを結論付けました。これによりホールはマイケル・ロスバッシュ、マイケル・ヤングとともに2017年にノーベル医学・生理学賞を受賞しました。

◆おわりに

ホールとロスバッシュの研究チームによる『体内時計を制御する分子メカニズムの発見』は、不眠やうつ病、心臓疾患などの致命的な病気の症状改善につながる重大な発見となりました。

出典:Wikipedia
ジェフリー・ホール
Jeffrey C. Hall

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

関連記事一覧