ノーベル生理学・医学賞2017年マイケル・ロスバッシュ:体内時計を制御する分子メカニズムを発見したアメリカの遺伝学者、時間生物学者

マイケル・ロスバッシュはアメリカの遺伝学者、時間生物学者です。2017年に『体内時計を制御する分子メカニズムの発見』によってジェフリー・ホール、マイケル・ヤングと共にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。そんなマイケル・ロスバッシュの受賞までの道のりについて解説していきます。

◆幼少期、学生時代

マイケル・ロスバッシュは1944年3月7日、アメリカ・ミズーリ州・カンザスシティで生まれました。彼が2歳のときに一家はボストンに移住し、それ以来彼はボストン・レッドソックスの熱心なファンとなりました。

ロスバッシュは当初数学に興味を持っていましたが、カリフォルニア工科大学で生物学を受講したことや、夏にノーマン・デヴィッドソンの研究室で働いた経験から生物学に興味を持ち、研究していくこととなりました。1965年にはカリフォルニア工科大学を卒業し、化学の学位をとりました。

◆受賞に至るまでの逸話など

その後、ロスバッシュはフルブライト奨学金を利用してパリの生物学物理科学研究所に1年間滞在します。1970年にマサチューセッツ工科大学で生物物理学の分野において医学の学位を取得し、エディンバラ大学の遺伝学分野で博士研究員として3年間過ごした後1974年にブランダイス大学の教員に加わりました。

※ブランダイス大学

ブランダイス大学では同僚のジェフリー・ホールと共同で、『生物の体内時計の概日リズムにおける遺伝的影響』について研究しました。

また、彼らはキイロショウジョウバエを使用して活動と休息のパターンを研究し、1984年にキイロショウジョウバエのperiod(per)のクローンを作成しました。同僚のポール・ハーディンが研究を進め、periodのmRNAとその翻訳の産物であるタンパク質(PER)の量が概日周期において変動することを発見し、1990年に概日時計の基本として転写翻訳の負のフィードバックループ(TTFL)モデルを提唱しました。

※イメージ

1992年、ロスバッシュは再びホール、ハーディンと協力してTTFLのメカニズムをより綿密に調査しました。彼らは特にperiod遺伝子のmRNA量変動の調節について関心をもち、調査の結果perのmRNA量は転写で制御されていることを発見しました。

1998年5月、ロスバッシュらは後に『dClock』と呼ばれるようになるperとtim遺伝子の転写を活性化させる哺乳類の概日時計の相同体を発見しました。また、キイロショウジョウバエの時計遺伝子の周期で哺乳類のBMAL1遺伝子の相同体も発見しました。1998年11月、ロスバッシュ達はキイロショウジョウバエのcryb変異体を発見し、クリプトクロムタンパク質が概日リズムの光受容体に関与しているという結論に至りました。

キイロショウジョウバエでは、背側(LNd)および腹側(LNV)ニューロンを含む特定の側方ニューロン(LN)が概日リズムに重要であることが示されています。LNVニューロンはPDF遺伝子を発現するため、これはclockから出力される信号であると仮定されていました。

Pdf神経ホルモン遺伝子の変異(pdf01)はLNVを選択的に切断したハエと同様の行動、反応を示しました。どちらも外からの光による刺激に対しては同調しましたが、刺激の無い条件下ではほとんど周期性を示すことはありませんでした。また、どちらの実験でもいくつかのハエは弱い自律的な周期生を示しました。この実験の結果から、研究者はLNVニューロンが重要な概日ペースメーカーニューロンであり、PDFが主要な概日伝達物質であると考えるようになりました。

これらの研究の功績により、2017年にジェフリー・ホール、マイケル・ヤングらと共にノーベル生理学・医学賞を受賞することになりました。

◆おわりに

マイケル・ロスバッシュは現在、mRNA処理と概日リズムの根底にある遺伝的メカニズムの研究を続けています。また、特定のニューロングループに対する光の影響を調査し、1つのサブグループがライトオン(夜明け)に光感受性であり、別のサブグループがライトオフ(夕暮れ)に光感受性であることを発見しました。彼は夜明けの細胞は覚醒を促進し、夕暮れの細胞は睡眠を促進することを発表しています。

出典:(Wikipedia)

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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